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ILMサーバ・ソリューション・パッケージのイメージ
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EMCジャパン株式会社は9月15日、同社のハイエンドNAS(Network Attached Storage)製品「Celerra」と、ローエンド向けストレージ「Centera」を利用し、ポリシーベースの効率的なアーカイブを行うソフトウェア「Centera File Archiver(CFA)」を発表した。また、CFAと「Celerra NS500」、Centeraを1ラックに収めた「ILMサーバ・ソリューション・パッケージ(以下、ILMサーバー)」を合わせて発表した。いずれも同日より販売開始する。
CFAは、Celerraをデータの書き込みや参照を頻繁に行う1次ストレージ、CenteraをCelerra上にあるファイルの中から利用頻度が落ちたものなどをアーカイブするための2次ストレージとして利用し、一定のルールに従ってCelerraからCenteraへ自動的に移動するといったデータ管理を行うソフトウェア。CelerraにあったファイルをCenteraに移動した後に、エンドユーザーがそのファイルを利用する場合も、Celerra上にある場合とほとんど変わりなくアクセスできるという。
一般に1次ストレージをファイルサーバーとした場合、そのまま放置するとファイルが蓄積され、ストレージの追加や移動、または不要なファイルを見つけ出しての消去を余儀なくされる。CFAは、ストレージ中のファイルを管理し、種類や最終アクセス・更新日などで決められた一定の条件(ポリシー)に従って比較的安価な2次ストレージに移動するといった、データの価値に合わせて最適なストレージに保存する「ILM(Information Lifecycle Management)」に基づく機能を備える。
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各データの経年によるデータ価値の変化
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代表取締役社長 ナイハイゼル・エドワード氏
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同社代表取締役社長のナイハイゼル・エドワード氏は「例えば、データベース中のデータは、時間がたつにつれ価値が下がっていくが、メールは法により保存が義務づけられているので、価値は一定となる」と述べ、データによって経年による価値の変化が異なることを説明する。ILMサーバーは、こうした価値の変化に基づいたポリシーを設定することで、データ保存コストの最適化やコンプライアンスの遵守を実現する。
データの急増によるストレージ圧迫の原因の1つとして、まったく同じファイルの重複保存がある。例えばメールデータをファイルサーバーに保存する際、CCなどにより同じメールの添付ファイルを複数人が受信すると、人数分だけ同じファイルがストレージに書き込まれる。ILMサーバーでは、こうしたファイルをCelerraからCenteraに移動する際、1ファイルのみをCenteraに保存する(シングルインスタンス)ことでデータ量を削減する。各ユーザーは移動前と同様「透過的に」ファイルへアクセスすることが可能だ。
また、コンプライアンスなどにより保存を義務づけられたデータに対して、アーカイブデータの内容改変や消去を禁止することもできる。
CelerraからCenteraにファイルを移動した場合、Celerra上には「スタブファイル」という元ファイルのメタデータと移動先を示す約8KBのファイルが作成される。同社プロダクト&ソリューション・マーケティング本部プロダクト・マーケティング部のマーク清水氏によると、他ベンダーの同種ソフトで作られるショートカットやシンボリックファイルでは、アプリケーションによって元ファイルを参照できなくなることがあるが、スタブファイルはそうした心配がないという。
ILMサーバーの価格は、Celerra1TB、Centera2GB、CFAがセットとなった最小構成で1047万9000円から(価格は2005年内限定)。オプションで各種アップグレードやCFA冗長化などを提供する。また、同社製品の既存ユーザー向けにCFAの単体販売なども行うとのこと。同社では3年間で1000台の販売を目標としている。
■ URL
EMCジャパン株式会社
http://www.emc2.co.jp/
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( 朝夷 剛士 )
2005/09/15 18:03
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