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サン、新設計のOpteron搭載サーバーでx86事業強化


米Sun Microsystems会長兼CEO スコット・マクニーリ氏(左)と、米AMD会長兼CEO ヘクター・ルイズ氏(右)

Dell PowerEdge 6850との比較
 サン・マイクロシステムズ株式会社(サン)は9月16日、Opteronを搭載するサーバーとワークステーションの新製品を発表した。32/64ビット両対応に加え、Solaris/Windows/Red Hat Linuxをサポートし、x86サーバーにおいても攻勢をかける構えだ。出荷開始は10月上旬より順次。

 今回発表されたサーバーは、「コードネーム:Galaxy」と呼ばれていたもので、幅広いプラットホームへの対応のほか「省電力・省スペース・低コスト」を特徴としている。同社ではx86サーバー戦略においてライバルと位置づけているDellの「Power Edge 6850」と比較し、1.5倍の処理速度でありながら、消費電力は1/3、サイズは1/4、価格は1/2だとしている。

 こうした特徴は、同社が2006年初旬にも投入を予定している次世代SPARC系CPU(コードネーム:Niagara)でも同様のアナウンスで「運用コストの削減」を強調しており、同社のサーバー戦略における重要な要素であるといえそうだ。

 ちなみに新サーバーは、同社が2004年2月に買収したサーバーベンダー米Kealiaの技術がベースとなっており、これにより復帰したSunの創業メンバーの1人でもあるアンディ・ベクトルシャイム氏が率いるチームが設計・開発したとのことだ。国内での発表会に参加した米Sun Microsystems会長兼CEOのスコット・マクニーリ氏は「コンシューマ向けコンピュータデザイナーとしては(米Appleの)スティーブ・ジョブズ氏が最も優れているかもしれないが、産業用では(ベクトルシャイム氏が)最高の人材といえる」と語った。

 同社では、これに続き2~4Wayのミドルレンジ向け、4~8Wayのハイエンド向けOpteronサーバーも開発中で、今後半年から1年以内に発表するとのことだ。

 同席した米AMD会長兼CEOのヘクター・ルイズ氏は、SunとAMDがこのサーバーを共同で開発したことを挙げ「(SunとAMDは)単にサプライヤーとベンダーの間ではない」と両社の協力関係を強調した。また「ユーザーに優れた選択肢を提供することが重要だ」と述べ、サーバーの幅広い対応プラットフォームの優位性を語るとともに、ライバルであるIntelをけん制した。マクニーリ氏も「DellもAMD(のチップ搭載サーバー)を出すべきではないか」と述べた。


デュアル/シングルコアのOpteron 200シリーズを最大2基搭載可能な「Sun Fire X4200サーバ」。価格は34万3350円から HDDの搭載可能な個数とPCI-X拡張スロット数以外のスペックはほぼX4200と共通の「Sun Fire X4100サーバ」。価格は29万850円から

デュアル/シングルコアのOpteron 100シリーズを1基搭載する「Sun Fire X2100サーバ」。価格は9万8700円から シングルコアのOpteron 100シリーズを1基搭載するワークステーション「Sun Ultra 20 Workstation」。価格は11万8650円から

 同社取締役マーケティング統括本部長の杉本博史氏は、各サーバー製品について、RAIDやリモート管理機能など「エンタープライズで必要とされる機能はすべて標準搭載している。SPARCで培った経験を入れ込んだ」と、他社製品との違いを説明した。また、ワークステーションのUltra 20においては「Sun Studio 10」「Sun Java Studio Creator」「Sun Java Studio Enterprise 7」といった同社の開発ソフトが標準で付属しており「開発者にとって非常にコストパフォーマンスが高い製品」と位置づけた。

 各製品には標準でSolaris 10が付属するほか、WindowsとRed Hat Linuxの32/64ビットといった広く利用されているプラットフォームに対応する。マクニーリ氏は、「Microsoftと直接サポートの契約を結んでいる。今後アップデートやパッチも提供していく」と述べ、これら以外の「HP-UXやAIXなどはx86プラットフォームに対応しておらず、ユーザーボリュームがないため、存続は厳しくなるだろう」との見解を示した。

 かねてより同社では、Opteronサーバーはローエンドからミドルレンジの単一処理向け、SPARCサーバーはCMT(Chip Multi Threading)技術を生かした複数同時処理、およびハイエンド向けプラットフォームになると位置づけていた。マクニーリ氏はOpteronサーバーが同社の売上に占める割合の見通しについて、明言は避けたものの「非常に多い。今後の売上成長率は100%を超えるのではないか」と、期待を示した。



URL
  サン・マイクロシステムズ株式会社
  http://jp.sun.com/
  プレスリリース
  http://jp.sun.com/company/Press/release/2005/0916.html

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( 朝夷 剛士 )
2005/09/16 19:05

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