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日本HP、ブレードサーバーの管理・運用性向上を中心とした新戦略


 日本ヒューレット・パッカード株式会社は10月11日、ブレードサーバーシステム「HP BladeSystem(以下、BladeSystem)」のソフトウェア、ハードウェア、サービスなど新商品を発売し、新たな戦略を展開すると発表した。

 今回発表されたのは、(1)ブレードサーバーにおいて利用される「VMware」や、マイクロソフトの「Virtual Server」に対応し、物理サーバーと仮想サーバー間、あるいは仮想サーバー同士での移行を容易に行えるソフトウェア「HP Proliant Essentials Server Migration Pack(以下、SMP)」、(2)SAS(Serial Attached SCSI)HDDを採用したブレードサーバー「HP ProLiant BL35p SASモデル(以下、BL35p SASモデル)」、(3)従来の直販に加えパートナー経由での販売を意識した製品体系の見直しと価格改定、の3点。


VMware、Virtual Server対応の移行ソフトと集中管理ソフト

 SMPは、ブレードサーバーを活用する際に利用頻度の高い仮想サーバー環境の導入時、容易に物理サーバーから仮想サーバーへのOS・アプリケーション移行ができるというソフトウェア。また、逆に仮想サーバーから物理サーバーへの移行や、仮想サーバーソフト間の移行などにも対応し、従来数日~数週間必要とした移行を数分で完了させることができるという。価格は1サーバーライセンス12,600円。10サーバーライセンス11万5500円、台数無制限の年間ライセンス168万円も用意される。出荷は11月上旬より。

 また、システムの仮想化を推進・支援するソフトウェアとして、すでに発売されている複数の仮想サーバーの一元管理が行える「HP ProLiant Essentials Virtual Machine Management Pack(以下、VMM)」にも新機能が加わり、VMware、Virtual Serverの仮想サーバー環境と物理サーバー環境を、同一画面から一元的に管理することが可能となった。

 同社は、こうしたツール群によって構成される、システムの仮想化を推進・支援するコンセプト「HP ProLiant Essentials Virtualization Management Software(以下、VMS)」を同日に発表した。エンタープライズストレージ・サーバ統括本部ブレードシステム部部長の正田三四郎氏は、同コンセプトに基づく製品群により「仮想化を行う際にユーザーが直面する管理の煩雑さや、構築作業時の負荷を軽減できる」とした。


物理サーバーと仮想サーバー間、あるいは仮想サーバー同士での移行を容易に行えるSMP SMPにて物理サーバーから仮想サーバーへのOS・アプリケーションを移行する手順

SASインターフェイス搭載ブレードサーバー

ブレードサーバーとラックマウントサーバーの価格・消費電力比較
 BL35p SASモデルは、従来製品のATAモデルをベースにディスクアクセスが高速なSASインターフェイス、およびHDDを搭載した製品。ディスクアクセスが特に重要となるWebサーバーなどに最適だという。基本仕様は、デュアルコアOpteron 275(2.2GHz)または265(1.8GHz)の2Way、メモリ最大16GB(PC2700 DDR 333MHz SDRAM使用時)、HDD 72GB/36GB(最大2台)。価格は31万5000円から。10月下旬より出荷開始。

 また、従来製品において最大32%引き下げる価格改定を行った。「4台以上、台数が増えれば増えるほど価格が安く、低消費電力となる。ブレードを選ばない手はない」(正田氏)。


パートナー経由の販売を強化する新サービスメニュー

 新たな販売施策としては、従来見積もりにて対応していたサービスの一部を定型化し、パートナー経由での販売を強化する。今回発表されたのは(1)製品と共にシステムの要件定義からシステム設計、導入までを一貫して実施する「HP BladeSystem Optimizedエクスプレスサービス(189万円~)」、(2)サーバー導入時のソフトウェアインストールなどの手間を簡略化するソフトウェア「Rapid Deployment Pack(RDP)」のインストール、セットアップを行うサービス「RDPスタートアップサービス(68万2500円/1セットアップ)」、(3)各関連ソフトウェア導入後の電話サポートサービス(44万1000円/10インシデント)の3点。同日より提供開始する。さらに、ブレードサーバーの販売パートナーを募集し、トレーニングなどのサービスを提供していく。


「ブレードの用途は一般化しつつある」

執行役員 エンタープライズストレージ・サーバ統括本部長の松本芳武氏
 同社は、2005年始めに64ビットコンピューティングとともに仮想化技術を利用したブレードサーバーを推進するサーバー戦略を発表し、各プラットホームにおいてラインアップを強化してきた。日本HP 執行役員 エンタープライズストレージ・サーバ統括本部長の松本芳武氏は「当初ブレードは特殊用途やアーリーアダプター向け製品とされていたが、当社からブレードを導入するユーザーのプラットフォームを調べるとWindowsである割合が徐々に増加しており、ラックマウント型と同じ一般的な用途で導入するユーザーが増えている」と述べた。

 また、導入するブレードサーバーも従来の1Wayから2Way、あるいはデュアルコアCPUを選択する率が高まっており、サーバー選択においては、こうした高い処理能力をいかに効率的に配分するといった管理・運用性の高さが重要視されているという。松本氏は今回の管理ソフトウェア強化により「新世代のブレードをリードするのはHP」と自信を示し、ブレードサーバー市場においてシェア30~40%を獲得する目的を掲げた。

 なお、同社によると、同日にインテルより発表されたデュアルコアXeon、およびItanium 2を搭載するブレードサーバーを年内にも発表するとのこと。


ブレードサーバーに適用されるOSと、2CPUブレードサーバーの売れ行き 管理性・運用性に注目が集まるブレードサーバー


URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/
  プレスリリース
  http://www1.jpn.hp.com/info/newsroom/pr/fy2005/fy05-185.html

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( 朝夷 剛士 )
2005/10/11 19:00

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