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シグマグリッド
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NEC 執行役員常務 山本正彦氏
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日本電気株式会社(NEC)は10月12日、サーバーやストレージ、ネットワークといったITリソースを高機能ラックに収納し、ラックと専用ソフトにて高度な運用管理を行うプラットホーム「シグマグリッド」を発表、同日より発売した。出荷開始は10月末より。
シグマグリッドは、高機能ラック「シグマフレーム」と、これに収納する同社製サーバー「NX7700iシリーズ」「Express5800シリーズ」(OSはWindows、Red Hat Enterprise Linux、HP-UXのマルチ対応)、ストレージシステム「iStorageシリーズ」、各種ネットワーク機器など、およびこれらの一元管理やリソースの最適配置を行うソフトウェア「WebSAM SigmaSystemCenter(以下、SigmaSystemCenter)」から構成される。
シグマフレームとSigmaSystemCenterが連携して、サーバーなど各種リソースの最適化と複雑性をなくした高度な管理機能を提供し、サーバー統合とTCO削減を実現するというものだ。同社執行役員常務の山本正彦氏は「300台のサーバーを統合した場合、保守・運用管理コストを含めたトータルコストで年間25%削減することが目標」としている。なお、SigmaSystemCenterはシグマフレーム内だけでなく既存の同社システムの運用管理も行える。
山本氏はシグマグリッドのキーテクノロジーとして、(1)仮想化技術を用いてCPU部とストレージ(I/O部)を分離し、各部を自由に組み合わせることができる「フローティングI/O」、(2)各種リソースをプールしておき、負荷が高まった部分に自動的に割り当てる「ダイナミックプール」、(3)ケーブルの再配線などを行わずコンソール上の操作で構成を変更できる「シグマハイウェイ」の搭載を挙げる。
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サーバー、ストレージなど各種モジュールが詰まったラック内
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裏側の両脇にあるのがケーブルレスで各モジュールと接続できるシグマハイウェイ
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対応モジュールは専用インターフェイスがつく
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サーバーとIOのつながりを視覚的に確認し、変更することが可能
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物理構成もコンソール上から確認でき、サーバーなどのモジュールを接続すると、自動的に認識し制御することが可能となる
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中でも、フローティングI/Oは同社が「業界初」というテクノロジーで、サーバーとI/Oを直結したり、あるいは複数のサーバーでI/Oを共有することができ、これらをシステム内で共存させることも可能だ。執行役員常務の伊久美功一氏は「I/Oモジュールとサーバーモジュールを自由に組み合わせて運用することが可能」と説明する。これらの物理/論理構成の設定・確認はSigmaSystemCenterから一元的に行える。
こうした機能の活用例として同社は、サーバー内において複数のクライアントPCのOS環境を動作させてシンクライアントを実現する「仮想PC」をシグマグリッド内に構築し、PC上のアプリケーションを動作させたままクライアントOS環境を別のサーバーに移動させるデモを行った。例えば昼間はシグマグリッドの各リソースをシンクライアント用に、夜間はバッチ処理業務用にI/Oを割り当てるといったことができるという。
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I/Oの仮想化によりサーバーと自由に組み合わせることが可能
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昼は仮想PC、夜間は業務バッチ処理をメインとした活用例
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また、2006年早々にはシステムの負荷に応じてCPUの動作モードや筐体の消費電力を自動的に制御し、消費電力を抑える省電力運転も可能になるという。これはシグマグリッドのマネジメントモジュールのファームウェアをアップデートすることで対応する。
価格は電源ユニット・マネジメントモジュール・シングルラインのシグマハイウェイで構成されるシグマフレームが100万円から、SigmaSystemCenter(基本ライセンス)が120万円から。当面は直販での提供が中心となり、今後2年間で500システムの販売を目標としている。
■ URL
日本電気株式会社
http://www.nec.co.jp/
プレスリリース
http://www.nec.co.jp/press/ja/0510/1202.html
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( 朝夷 剛士 )
2005/10/12 16:43
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