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日本IBM、POWER5+に対応したUNIXサーバー新モデル―4コアモジュール搭載製品も


IBM System p5 550Qのラックマウント型。同製品にはこのほか、タワー型筐体を採用したモデルも用意されている

デュアルコアプロセッサ×2と3次キャッシュを集積した「QCM(Quad Core Module)」
 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は10月12日、POWER5/POWER5+プロセッサを搭載したUNIXサーバーの新モデルを発表した。同モデルは7月に発表された新方針「IBM Systems Agenda」に準拠した製品として提供され、名称がこれまでの「IBM eServer pSeries」から「IBM System p5」へ変更される。出荷は10月14日より開始される予定。

 IBM Systems Agendaは、「Virtualization」「Openness」「Collaboration」の3つの柱からなる方針で、「ユーザーのオンデマンド・ビジネス実現をITインフラ面から支援する」というもの。同方針に基づく製品としてはすでにメインフレーム「IBM System z9 109」が提供されており、IBM System p5シリーズへの名称変更はその第2弾という位置付けになる。

 IBMのUNIXサーバーにおいては、プロセッサと3次キャッシュを一体化した「セラミックモジュール」が提供されている。従来は、デュアルコアプロセッサ1個(2Way)をパッケージ化したDCM(Dual Chip Module)が用意されていたが、POWER5+ではデュアルコアプロセッサ2個(4Way)構成のQCM(Quad Core Module)も新たに製品化され、新モデルのうち、「IBM System p5 550Q」で利用できるようにしている。これによって、同モデルでは4Uサイズながら最大8Way(1.5GHz QCM×2)構成が可能になった。

 また「IBM System p5 550/520」では、POWER5よりもクロック周波数が向上した1.9GHzのPOWER5+ DCMを搭載し、基本性能を強化している。あわせて今回は、シングルモジュールのPOWER5(1.65GHz)×1もしくはPOWER5のDCM(1.5/1.65GHz)×1を搭載可能な、日本IBM初の1Uラックマウント型UNIXサーバー「IBM System p5 505」と、従来8Wayモデルのみだった2Uラックマウント型サーバー「IBM eServer p5 モデル575」の16Wayモデルも発売された。従来よりも高密度化が可能になった両製品は、データセンターやHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)分野を主な対象として提供される。

 またこれらのIBM System p5の新モデルはすべて、メモリにDDR2-533、拡張スロットにPCI-X 266(64ビット)の高速インターフェイスを採用したほか、新仮想化ソフト「IVM(Integrated Virtualization Manager)」をサポートし、Webブラウザを用いた簡単な操作で仮想化の設定を行えるようにした。残念ながら複数のサーバーを一括して管理することができないが、これまで必須だった専用端末が不要になっているほか、最短3クリックで仮想化が完了するようになったという。


日本IBMのシステム製品事業 pSeries事業部長の武藤和博氏
 なお、IAではなくPOWER系プロセッサを利用することのメリットについて日本IBMは、「Scale Within」という概念を持ちだして説明する。従来、システムを拡大する場合はサーバーを増設するスケールアウト、サーバー自身をより高性能なものに置き換えるスケールアップの両手法が取られる。しかし、高性能で、また1つのプロセッサを最大10区画まで論理的に分割できるSystem p5シリーズを用いれば、ワークロード負荷に応じて資源を追加する仮想的なスケールアップと、ワークロードを統合するために論理的な区画を追加する仮想的なスケールアウトが1台のサーバー内で行えるため、効果的なサーバー統合が可能になるというのである。

 日本IBMのシステム製品事業 pSeries事業部長の武藤和博氏は「1つのサーバーさえあれば、仮想化技術でデータベース、ファイル、アプリケーションの各サーバーを統合できるし、仮想化も簡単にできるようにした。中小企業の基幹業務などでぜひ使ってもらいたい」と述べ、中堅・中小企業向けにもアピールしていく考えを示した。

 価格は、System p5 550Qが343万6300円(税別)より、同 505が69万4100円(同)より、などとなっている。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  ニュースリリース
  http://www-6.ibm.com/jp/press/20051012001.html

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  ・ IBM、Systemに回帰する新方針「IBM Systems Agenda」を宣言(2005/07/28)


( 石井 一志 )
2005/10/12 17:13

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