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ウィルコム、定額でWebブラウズ・メール・通話が可能なモバイル情報端末「W-ZERO3」

キーボードや無線LANも搭載、OSはWindows Mobile 5.0

キーボードとタッチペンの2スタイルに対応するW-ZERO3

携帯電話と並べたところ
 株式会社ウィルコムは10月20日、PHS機能を内蔵できる多機能情報端末「W-ZERO3(型番:WS003SH(B))」を12月上旬より発売すると発表した。価格はオープンプライスだが、代表取締役社長の八剱洋一郎氏は「(実勢)5万円を切る価格で出したい」としている。一般量販店、オフィシャルWebサイトによる直販、および同社販売パートナーより販売される。

 W-ZERO3は、ウィルコムとシャープ、マイクロソフトの3社共同で作られた端末で、OSには「Windows Mobile 5.0」を採用している。PHS機能は、10月19日に発表された「W-SIM」カードを内蔵することで利用でき、最大128kbpsのデータ通信のほか、単体での音声通話も可能。また、IEEE 802.11b対応無線LAN機能も備える。Windows Mobileを搭載し単体での通話機能を持つ情報端末としては日本初。

 本体は、3.7型液晶(VGA・65536色表示、タッチパネル対応、視野角160度)、QWERTY配列のキーボード、約133万画素のカメラを搭載する。無線LANのほか、USBケーブル、およびminiSDカードを介してPCとデータ連携することが可能。サイズは一般のPDAに近い約70×130×26(W×H×D)mm、重量は約220g。バッテリー駆動時間は、連続通話で約5時間、連続待ち受けで約200時間(電波状態ランプ消灯時)。

 なお、PCとUSBケーブルで接続することで、PCからW-ZERO3を介したPHSデータ通信も可能となっている(ただし料金が若干異なる)。



ペンタッチ操作。音声通話も画面をタッチして番号を入力する 本体をスライドさせるとQWERTY配列のキーボードが出てくる。ペンタッチで操作する際は画面を縦に、キーボードを出すと自動的に横に切り替える設定も可能 裏側のカバーを外したところ。手前に見えるのがW-SIMカード、白く見えるのがバッテリー。カメラ・スピーカーも見える

4種類の方法でPCと連携・データ交換が可能
 アプリケーションは基本的にWindows Mobile 5.0に準じ、Internet ExplolerによるWebブラウジング(Flash対応)、Outlookによるメールの送受信(POP/SMTP、専用ツールでウィルコムライトメールにも対応)や電話帳・スケジュールデータの同期、Word/Excelファイルの編集/閲覧、PowerPoint/PDFファイルの閲覧、Windows Media Player 10 Mobileによる音声・動画再生が可能。また、アプリックスのJava実行環境「JBlend」、シャープの電子文庫(XMDF形式)ビューアを標準搭載する。

 企業ユーザー向け機能としては、Windows Mobile 5.0でVPN接続に標準対応するほか、インテリシンクの「Intellisync Mobile Suite」と併用することでExchange ServerやLotus Notes/Dominoなど各種グループウェアとの連携、遠隔からの端末内データ消去、アクセス管理などが可能となっている。

 W-ZERO3の発売に合わせ、料金プランにNTTコミュニケーションズの「HOTSPOT」に対応する無線LANオプションが加わる。料金はAIR-EDGEユーザー・データ定額プランユーザーが700円、AIR-EDGE PROユーザーは無料。ただしW-ZERO3限定で2006年5月末日まで無料となる。

 ウィルコムでは、基本料込みの月額2,900円で通話料・Eメール無料の「音声定額」を展開しているほか、11月下旬より月額1,050円(10万パケットまで。以降上限金額の3,800円まで従量課金)の「データ定額」プランの開始を予定しており、合計で月額3,950円(最大6,700円)で定額の音声通話・データ通信が可能となる(PCを利用した接続の場合、データ定額の上限が6,300円となるため最大9,200円)。


PC・ケータイを超える第3のツール、市場規模は「約440万人」

ウィルコム代表取締役社長 八剱洋一郎氏
 八剱氏はW-ZERO3のネーミングについて「WはWillcom/Windows/WirelessのW。ZEROはPCでもケータイでもPDAでもない新しいものをゼロから作っていくこと。そして3は第3のコミュニケーションツールであること、そしてPHS音声・データ通信・無線LANの3Wayに対応すること、さらにウィルコム、シャープ、マイクロソフト3社の力作であることから名付けた」と説明し、同社にとって非常に戦略的製品であるとした。

 このうち第3のコミュニケーションツールとは、ケータイとPCを意識したものだが、W-ZERO3はこれらが備える機動性と高性能を合わせ持ち、この2つを超えるまったく新しいツールであるという。この新しい市場には、ケータイ・PC両市場から合計で約440万人もの規模があると見込んでいる。

 この440万人という数字は、PC/PDA・ケータイ市場におけるそれぞれのセグメント別に獲得できる割合を合算したものだ。PC/PDAにおいてはモバイルノートPCを使うユーザーの3割が買い増し、あるいは買い替えるとしており、PDAユーザーは50%が買い替え、据え置き型PCのユーザーも10%が2台目として購入するだろうと同社は予測している。ケータイにおいては通話・通信両方の機能を重視する「多機能希求派」が全体の31%、2700万人を占めており、内10%の270万人の需要にW-ZERO3が合致するという。


PC/PDA市場からは約173万台ものビジネスチャンスがあると予測 ケータイ市場には約2700万人の多機能希求派がおり、POPメールとフルブラウザを利用するのは、その約10%との予測

ケータイやPDAとは異なるという「通信融合端末市場」
 「まったく新しい市場なだけに先は読みづらい」とする八剱氏だが、音声・データ通信の定額制という大きな武器を持ち、携帯キャリアがなかなか踏み込めない領域なだけに、W-ZERO3はPHSの巻き返しを狙う切り札といえる。

 ただし、今後の生産計画について八剱氏は「(2006年3月までの)年度内に約10万台前後で様子を見る」と、予測する大きな市場規模に対しやや慎重な供給体制で臨むとしている。これは同社としても手探りの状態であることを示している。

 この姿勢はW-ZERO3に搭載される機能にも表れている。W-ZERO3は従来のPHSやPDAなどと比較しても多機能だが、Bluetooth・テレビ・ラジオ・GPS・FeliCaといった携帯電話に搭載されている機能の搭載は「検討はしたが、まずは市場に早く投入しユーザーの反応を見たいため見送られた」(八剱氏)。ユーザーの反応・要望から次世代のW-ZERO3に盛り込む機能を検討するとのことだ。

 なお、W-ZERO3はW-SIMを組み込まなくても動作が可能だが、当面の間はW-SIMとのセット販売となり、単体での販売は「検討中」とのこと。仮に単体販売が実現しても価格はセット販売より高値になるという。

 発表会には共同開発したシャープ代表取締役専務 情報通信事業統轄の松本雅史氏、マイクロソフト代表執行役社長のダレン・ヒューストン氏が列席、さらにW-ZERO3のCPUにPXA270(416MHz)が搭載されていることからインテル取締役事業開発本部の町田栄作氏も参加しW-ZERO3への期待を語った。


シャープ代表取締役専務 情報通信事業統轄 松本雅史氏「液晶技術とPCやザウルスで培った技術を融合した」。「ザウルスとW-ZERO3どちらを買えばいいか悩んだら?」との質問に少々戸惑いながら「どちらも買ってください」 マイクロソフト代表執行役社長 ダレン・ヒューストン氏。「日本には3800万人のインフォメーションワーカーがおり、その2/3がモバイルアクセスを必要としている」。さらに「発売日がX-box360と重なるかもしれないので、そのときは秋葉原に両方買ってほしい」とコメント インテル取締役事業開発本部 町田栄作氏「W-ZERO3にはX-Scaleアーキテクチャが採用されPCとの親和性が明確に示されている」


URL
  ウィルコム株式会社
  http://www.willcom-inc.com/ja/
  プレスリリース
  http://www.willcom-inc.com/ja/corporate/press/2005/10/20/index.html
  関連記事:ウィルコム、W-SIM対応の音声端末を11月25日発売(ケータイWatch)
  http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/26151.html

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( 朝夷 剛士 )
2005/10/20 19:58

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