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米Stratus Technology 社長兼CEO デビット・ラウレロ氏(左)とNEC取締役執行役員専務 小林一彦氏(右)
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3つのチップを統合した新アーキテクチャ
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一方のハードウェアが故障しても継続稼働が可能なFTサーバー
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日本電気株式会社(NEC)は11月25日、無停止型サーバー(フォールト・トレラントサーバー、以下FTサーバー)分野で米Stratus Technologiesと、共同開発や資本提携を含めた提携強化を図ると発表した。
今回発表されたのは、(1)FTサーバーの製造において、NECは新アーキテクチャを搭載した自社開発・製造する制御LSIを、Stratusは制御ソフト(2006年下期製品化予定)を開発し、ハードウェア生産をNECコンピュータテクノに統合する、(2)NECはStratusに900万ドルを出資する、(3)次世代型FTサーバーの研究・開発を両社共同で行う、の3点。
NEC取締役執行役員専務の小林一彦氏によると、FTサーバー市場はNECとStratusを合わせると世界・国内ともシェア90%以上と「独壇場になっている」という(NECとStratusの比率はほぼ半々)。しかし2005年の出荷台数は全世界で3200台と小さい。今回の提携強化は、研究から製造までの効率化により、早期開発とコストダウンを促進しての市場規模の拡大が狙い。2008年には約2.5倍となる両社合計1万1000台、3年間合計で2万台強の出荷を目標とする。
両社のFTサーバーは、基幹システムで利用が拡大しているWindowsとLinuxが特別な改変なく稼働することが特徴。今後、ミッションクリティカル分野でこれらOSの需要拡大が見込まれていることから「ソリューションとしての市場を見ると、3ケタ億円レベルになる」(小林氏)とのことだ。
FTサーバーは、OS以下すべてのハードウェアコンポーネントを二重化し、同一のプログラムを双方同期して実行する。OSからはこの仕組みを認識しないため、片方のハードウェアが故障しても稼働を続ける。片方が稼働している間に故障したコンポーネントを交換することで、継続して稼働させることができる。「人間でいうと、臓器がすべて2つ用意され、心臓が1つ止まっても生活に問題ない“不死身の人間”だ」(小林氏)。
しかし、従来の技術では高速クロックやデュアルコア・マルチコア化されたCPUや、PCI-Expressなど高速I/Oを採用したアーキテクチャには対応しない。そこでNECは従来3つのLSIを要していた制御チップを1チップに統合した新アーキテクチャを開発した。小林氏によると、新型LSIはほぼ完成しており、2006年初旬にも製品化を予定しているという。このアーキテクチャをNEC製・Stratus製両方のFTサーバーに採用する。
小林氏によると、FTサーバーはNEC・Stratus以外で富士通と日本IBMが他社製品のOEMとして出荷しているが「1CPUサーバーにソフトウェアを利用して二重化しており、OSもWindowsのみ。出荷台数は50台に満たないだろう」と、NEC・Stratus製品を脅かすものではないとした。さらに関連技術でいくつもの特許を取得していることから、今後も大きな競合製品は現れないとの見解を示した。
■ URL
日本電気株式会社
http://www.nec.co.jp/
プレスリリース
http://www.nec.co.jp/press/ja/0511/2501.html
米Stratus Technologies
http://www.stratus.com/
( 朝夷 剛士 )
2005/11/25 17:34
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