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サン、UltraSPARC T1を搭載する新サーバーを発売

「性能5倍、電力消費1/5、設置面積1/4」

Sun Fire T2000
 サン・マイクロシステムズ株式会社(以下、サン)は12月7日、新プロセッサ「UltraSPARC T1」を搭載したサーバー「Sun Fire CoolThreads」を発表した。1Uの「Sun Fire T1000(以下、T1000。価格は48万4050円から)」、および2Uの「Sun Fire T2000(以下、T2000。価格は114万9750円から)」を同日より発売する。出荷はT1000が2006年1月下旬より、T2000が12月中旬より。

 UltraSPARC T1は、米国で11月に正式発表されたマルチコア設計のSPARC系新世代(9世代目)プロセッサで、それまで「コードネーム:Niagara(ナイアガラ)」と呼ばれていた。今回発表された新サーバー群はUltraSPARC T1を搭載する初の製品となる。対応OSはSolaris 10。

 今回発表されたサーバーには、4~8コアを内蔵するUltraSPARC T1が1基搭載され、それぞれ4つのスレッド(計算処理の単位)を同時処理するCMT(Chip Multi Threading)技術により、最大32の処理を同時に行うことができる。各コアとチップ上の2次キャッシュメモリは134GB/秒の帯域幅で接続。クロック周波数は1.0~1.2GHzと高速ではないが、多数の処理を同時に行える特性から「ターゲットはWebアプリケーションサーバー」(取締役マーケティング統括本部長 杉本博史氏)など、比較的フロントエンドでの利用を想定している。

 UltraSPARC T1におけるもう一つの特徴が低消費電力。1プロセッサあたり100W超が多いサーバー向けプロセッサの中、73Wとした。このためサーバー自体の消費電力を低下させることができる(T1000は180W、T2000は275W。いずれも同社測定値)ほか、発生する熱量を抑え、同時に排熱機構の縮小によって処理能力あたりに占めるスペースを抑えることができる。

 このような性能向上と低消費電力を実現したUltraSPARC T1に搭載する技術を同社は「CoolThreadsテクノロジー」と呼んでおり、Sun Fire CoolThreadsは“業界標準のサーバー”と比較して「性能5倍、電力消費1/5、設置面積1/4」を実現するとしている。


「性能5倍、電力消費1/5、4倍の設置効率」というSun Fire CoolThreads CoolThreadsを搭載するUltraSPARC T1 構成例と価格

 こうした特徴を具体化するため、同社は「SWaP(Space Watts and Performance)」という新たな指標を示した。これは「性能/(スペース×消費電力)」という式で求められる数値を「SWaP率」とし、値が高いほどスペースや消費電力あたりの性能が高いというもの。T1000やT2000は、XeonやPOWER 5などを搭載する他社製品と比較して数倍の数値となるという。

 米Sun データセンター戦略担当バイスプレジデントのスティーブ・キャンベル氏は、「今、データセンターの80%はサーバーの設置スペースや消費電力の増大を深刻な問題としてとらえており、サーバー選択の重要な要素としている」と述べ、新サーバーがこれを解決する「ブレイクスルー」ソリューションとなるとした。サン代表取締役社長のダン・ミラー氏も、原油価格高騰や地球温暖化など、経済・環境面の視点からも消費電力やスペースを抑えることが重要なファクタになると語った。

 なお、今回発表されたのは1U、2Uサーバーのみであったが、UltraSPARC T1の特徴から今後ブレードサーバーへの適用も考えられる。キャンベル氏は「現在のところは様子見。ただしUltraSPARC T1はブレードに最適な構成となるプロセッサ」と述べ、可能性を示した。


SWaPの仕組み SWaPにおける他社製品との比較 サン代表取締役社長ダン・ミラー氏(左)、米Sun データセンター戦略担当バイスプレジデント スティーブ・キャンベル氏(中)、サン取締役マーケティング統括本部長 杉本博史氏

UltraSPARC T1の設計情報をオープンソース化

 同社はUltraSPARC T1の設計情報を2006年3月をめどにオープンソース化する考えを示した。この設計情報には(1)設計のRTLソース(Verilogで表現)、(2)評価スイートとシミュレーションモデル、(3)ISA仕様、(4)Solarisポートを含むとしている。キャンベル氏はこの目的について「次世代アプリケーションやシステム、アーキテクチャの開発に役立ち、コミュニティを形成できる」と述べた。同社はSolarisやJava Enterprise Systemなどのオープンソース化を発表しており、こうした戦略をハードウェアにも適用した形となる。



URL
  サン・マイクロシステムズ株式会社
  http://jp.sun.com/
  プレスリリース
  http://jp.sun.com/company/Press/release/2005/1207.html

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( 朝夷 剛士 )
2005/12/07 15:59

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