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ネットアップ、異機種混合環境に対応したD2Dバックアップ装置など


NearStore VTL600

マーケティング本部長の高沢冬樹氏
 日本ネットワーク・アプライアンス株式会社(以下、ネットアップ)は2月16日、異機種混在環境でも利用可能なD2D(Disk to Disk)バックアップアプライアンス「NearStore VTLシリーズ」と、データ暗号化アプライアンス「Decru DataFort E-Series 3.0」を発表した。同日より出荷を開始する。

 VTLシリーズは、ディスクアレイを仮想的なテープライブラリに見立ててバックアップできるようにする、仮想テープライブラリ製品。同社のニアラインストレージ「NearStore Rシリーズ」のハードウェアをベースに、米本社が買収した米Alacritusのソフトを入れ込んで開発した。容量は、下位版の「VTL600」が4.5TB~84TB、上位版の「VTL1200」が9TB~168TBで、それぞれ256/512の仮想ライブラリ、1500/3000の仮想ドライブを割り当てることが可能という。

 マーケティング本部長の高沢冬樹氏によれば、VTLシリーズの競合に対する最大の特徴は、「パフォーマンス自己最適化機能」と「テープ使用効率最適化機能」だという。前者は、バックアップストリームを動的に仮想テープに割り振ることで、特定の仮想テープ/ドライブがパフォーマンス上のボトルネックになることを防ぐ機能。「他社製品では、ストリームの仮想テープ装置への割り当て設定がアンバランスだと、ホットスポットが発生してしまうため、継続的なマニュアルチューニングが必要になる。当社製品では都度、最適化が自動で行われるため、常にパフォーマンスを維持できる」(同氏)。

 またテープ使用効率最適化機能は、物理テープのサイズに応じた仮想テープの容量をアサインする機能。テープバックアップ時には圧縮作業が発生するため、仮想テープのデータが物理テープに格納される際にはサイズが小さくなる。ところが、従来のソリューションでは、これを考慮していないため、約50%程度しか物理テープの容量を使えていなかったという。ネットアップではこれを改善し、運用コストを含むテープメディアの費用を削減できるようにしているのである。


代表取締役社長の鈴木康正氏

Decru DataFort E-Series 3.0
 加えて、異種混合環境への適合性も備えているとのことで、バックアップソフトはCA、シマンテック(旧ベリタス)、EMC Legatoなどさまざまなものに対応するほか、バックアップ元となるストレージも多くの機種に対応する。「これまで当社のD2Dのバックアップ対象は当社製品のみに限られていたが、その比率はオープン系市場の9%に過ぎなかった。今回の製品では他社のストレージ環境もターゲットにできるという点で、これまでとは違った展開になる」(代表取締役社長の鈴木康正氏)。

 なお、同社ではこれまでもNearStore Rシリーズと管理ソフト「SnapVault」、シマンテック製バックアップソフト「NetBackup」の組み合わせを用いた異機種混在環境向けバックアップシステムを提供してきたが、今回のソリューションでは、アプライアンス化されている製品ならではの運用の簡便さをアピールするほか、NearStore Rなどをまだ導入していないユーザーに向けても、広く展開するとしている。

 一方、E-Series 3.0は、NAS/IP-SANやテープバックアップのデータを暗号化するための製品。もともとは米本社が買収した米Decruの製品で、スピードを落とさず256ビットのAESによる暗号化を行えるほか、既存環境をほとんど変更することなく導入できる、透過的な製品だという。またスマートカード認証をパスしなければいっさいの操作ができないなど、アプライアンス本体も強固なセキュリティで守られている。高沢氏によれば「すでに相当の引き合いがある」とのことで、ネットアップではVTLシリーズと組み合わせて、「D2Dバックアップの目玉」として展開する考え。

 価格は、VTLシリーズが2200万円から、E-Series 3.0が400万円から。ネットアップは製品販売とあわせて、コンサルティングサービスも拡充。顧客のニーズに合わせた最適化の提案などとともに、積極的に販売を図るとしている。



URL
  日本ネットワーク・アプライアンス株式会社
  http://www-jp.netapp.com/
  プレスリリース
  http://www-jp.netapp.com/news/press/2006/news_rel_20060216.html


( 石井 一志 )
2006/02/16 17:33

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