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APC Japan、サーバーの高密度化に対応する新冷却システム

ラック列単位で効率的に熱排気を処理

 株式会社エーピーシー・ジャパン(以下、APC Japan)は、電算室やデータセンター向けに新コンセプトの冷却製品群を4月5日から発売開始すると発表した。発売するのは、高密度冷却ソリューション「InfraStruXure InRow RC」とラック内通気補助機器「Air Removal Unit」の2製品で、6月から順次出荷を開始する予定。

 新製品は、薄型サーバーやブレードサーバーの高密度化によって発熱密度が増加しているデータセンターやサーバールームの冷却に対応するもの。従来、データセンターの冷却には主に精密空調装置が使用され、部屋全体を空調することで設置されたサーバー機器を冷却する手法がとられていたが、発熱量が5kWを超えるラックが複数並ぶ場合などには十分な冷却風量が確保できなくなっていたという。

 今回発売するInfraStruXure InRow RCは、ラックの列(Row)内に組み入れて設置するモジュール型の冷却ユニットで、冷水方式の熱交換システムを採用し、高温の排気をラックのすぐ横で取り込んで効率的に処理できるのが特徴。


高密度冷却ソリューション「InfraStruXure InRow RC」 InfraStruXure InRow RCの冷却システム

デビット・プルマー社長
 APC Japanのデビット・プルマー社長は新ソリューションのメリットとして、「従来の冷却システムに比べて、導入・運用コストを削減できることが一つ。また、ラック列単位で効率的な冷却を実現することでホットスポットの発生を防ぎ、サーバー利用者へのサービスレベルを向上できる。さらに、二電源入力方式を採用するとともに、ケーブル系統と水配管系統を完全に分離することでシステムの信頼性を確保し、運用面でのリスクも大幅に低減できる」と説明した。

 とくにコスト削減については、導入段階においてフリーアクセスフロアの冷却を省略できるため、新設時には工期の短縮と初期投資の最適化を実現でき、運用開始後は排気を高温のまま集めて冷却システムに送り込むことで、温度差が大きくなるほど冷却効率が高まり、運用費の低減が可能になるという。


米APC本社・ロバート・ハナ クーリングソリューション担当ジェネラルマネージャ
 また、ラック列単位で冷却を行うという新たなコンセプトに関して、米APC本社・ロバート・ハナ クーリングソリューション担当ジェネラルマネージャは、「従来の精密空調装置による冷却では風の流れが不確実で、熱負荷の増減やエアコンのオン/オフにともなう変化を予測することができなかった。ラック列単位で冷却することで、発熱密度に応じて冷却風の流れや冷却温度を正確にデザインし、その通りのパフォーマンスを提供することができる」としている。

 InfraStruXure InRow RCの本体価格はオープンだが、同社では1台約100万円を想定している。

 同時に発売するAir Removal Unitは、ラック背面に装着し、ラック内の熱せられた排気を強制的に上部に排出するユニット。4つのファンを装備し、1つのファンが故障しても、冗長化されているため機能低下することなく使用できる。ファンはモジュール形式のため、短時間で交換できるようになっている。

 本体に設置されたLCDディスプレイによって、ドアを開けずに操作することができ、機器の設置場所でローカルに監視・操作できるほか、ネットワーク経由での監視・操作も可能。42Uもしくは48Uのラックの高さに対応する。価格は、33万3165円。



URL
  株式会社エーピーシー・ジャパン
  http://www.apc.com/jp/


( 唐沢 正和 )
2006/04/05 19:17

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