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富士通、メインフレームの新製品を投入


GS21 900モデルグループ
 富士通株式会社は5月15日、グローバルサーバ「GS21シリーズ」の新モデルを発表した。

 最上位となるGS21 900モデルグループとして20モデル、上位機種となるGS21 500モデルグループとして19モデルをそれぞれ5月15日から販売開始する。出荷開始は2007年2月。

 SPARCチップと同じプロセス/回路を採用した90nm CMOSテクノロジーによるCPUを、メインフレームでは初めて搭載。基幹系IAサーバーであるPRIMEQUESTで採用した超高速チップ間同期型伝送技術(MTL)などの同社独自技術も搭載している。

 MTLでは、CPUとCPU間およびCPUとメモリー間のトータルシステムスループットを、従来比約2倍となる240Gbyte/sとした。

 さらに、メインフレームの業務量、データ量の増大に対応し、OSを強化。OS IV/MSP AFIIなどにおいて、接続可能ボリューム数を2倍に、同時実行ジョブ数を1.5倍に、システム記憶最大容量を2倍にそれぞれ拡大したほか、OS IV/XSP AFIIなどではカタログ管理簿の動的最適化により、パッチ業務を最大1.5倍に高速化している。これらをGSS21i V50として、OS IV/MSPおよびOS IV/XSPのパッケージとして提供する。

 GS21 900モデルグループは、従来のGS21 600モデルグループに比べて、単体プロセッサ処理性能で1.5倍の性能向上を実現。最大16CPU、16クラスタまでの拡張が可能になっている。価格は、月額1163万2000円から。

 GS21 500モデルグループは、GS21 400モデルグループに比べて、単体プロセッサで1.3倍の性能向上を実現。コストパフォーマンスを約20%向上させている。価格は月額241万4000円から。


GS21シリーズのシステムボード GS21シリーズのCPUモジュール

経営執行役サーバシステム事業本部・山中明事業本部長
 「IBMのzシリーズに比べると性能が劣るとの指摘もあるが、zシリーズとの性能競争を追うのではなく、顧客の性能要件にあわせて性能を決めていきたい」(富士通の経営執行役サーバシステム事業本部・山中明事業本部長)としている。

 GS21シリーズ全体で2008年度末までに、1000台の販売を目指す。

 また、同時に、グローバルサーバ製品においてSOAへの対応を発表し、従来の顧客資産をそのまま継承できるようにする。

 Interstage AIM ApplicationDirector V30により、アプリケーションサービスアダプタを提供。グローバルサーバ上の業務アプリケーションを変更することなく、標準インターフェイスを利用したフロントエンドサービス、バックエンドサービスなどとの連携利用が可能になる。

 さらに、TCP/IPネットワークへの対応や、IPv6との接続を実現する機能をパッケージ化した「NETSTAGE/オープンアダプタパックV1.0」を提供する。

 「メインフレーム市場は縮小傾向にあるが、社会インフラシステムとしての需要や、企業情報システムの中核サーバーとして、また膨大なアプリケーション資産を維持したいという声がある。調査結果でも、メインフレームを継続するユーザーとメインフレームの一部をオープン化するといったユーザーが4分の3を占めており、メインフレームに対する需要は根強い。富士通は20年間にわたり、メインフレーム市場で出荷金額、出荷台数ともにトップシェアを維持しており、単純にメインフレームをやめるというわけにはいかない」(山中事業本部長)として、「2009年頃には、次期エンハンスを予定している。それにあわせてソフトの強化も行っていく」とした。


 また、同社では、GS21上でオープンシステムを動作させるエミュレータの投入に関して検討を行っていることを明らかにしたほか、今回の製品発表を、新サーバー製品群の第1弾として、UNIXサーバーのPRIMEPOWER、IAサーバーのPRIMEQUEST、PRIMERGYの新製品をそれぞれ短期間に発表していく考えを示した。

 一方、PRIMEFORCE 3000シリーズに、エンタープライズディスクアレイ「ETERNUS 8000」の搭載を可能とすることを同時に発表した。同一筐体内での最大容量を1.9テラバイトへと拡大することで、増大するデータ量にも対応する。PRIMEFORCEは、2008年度末までに500台の販売を予定している。


グローバルサーバのSOA対応 グローバルサーバの展開計画


URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  プレスリリース
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2006/05/15-2.html


( 大河原 克行 )
2006/05/15 13:19

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