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ノキア、企業向け3Gモバイルデバイスを今秋発売

エンタープライズソリューション事業の拡大に本腰

新商品の「E60」(左)と「E61」
 ノキア・ジャパン株式会社は6月7日、企業ユーザー向けの3Gモバイルデバイス「Nokia Eseries(ノキアEシリーズ)」を秋以降をめどに販売開始すると発表した。ラインアップは「Nokia E60」と「Nokia E61」の2機種。これを機に同社では、エンタープライズソリューション事業拡大に本格的に取り組んでいく考えで、「Eseries」を使ったビジネスモバイルソリューションを提供するため、業界のリーディングカンパニーとの協業も積極的に行っていく方針。

 Nokia Eseriesは、企業ユーザー向けに優れた操作性や機能性を備えたモバイルデバイス。今回発売する「E60」と「E61」は、3GとGSMに対応し、日本でも海外でも使用できるSIMロックフリーモデルとなっている。各モデルには、モバイルEメールや無線LAN上でのVoIPのサポートなど各種モバイルアプリケーションを搭載することも可能。

 また、社内や外出先で互いに連絡を取り、迅速に連携できるようにIP電話(VoIP)、SIPベースの通話サービスをサポートしているほか、アバイアやシスコのIPコミュニケーションシステムを導入している企業では社内ネットワークへの接続も可能となる。

 セキュリティ機能としては、業界初のOMA準拠のDevice Managementリモート管理機能をサポートするとともに、デバイスワイプ機能、デバイスロックとタスク管理、アプリケーション管理、カスタマイズ機能などを備えている。


Nokia Eseriesの主な機能 「E60」と「E61」の特長 「E61」によるモバイルEメールの使い方

Nokia本社のスコット・クーパー副社長
 Nokia Eseriesの発表にあたり開催された記者説明会には、Nokia本社エンタープライズ・ソリューションズ モビリティ・ソリューションズ副社長のスコット・クーパー氏が出席。ワールドワイドでの企業向けモバイルデバイス市場の動向について、「これまでラップトップPCで使われていたエンタープライズアプリケーションが、そのままモバイルデバイスでも利用できるようになってきた。2007年から2008年初頭には、企業の65%がエンタープライズアプリケーションの一部をモバイルデバイスに搭載することが見込まれている。さらに、2008年までにはスマートフォンの80%にエンタープライズアプリケーションが搭載されるようになり、企業の70%がワイヤレスEメールを利用するようになるだろう」と述べた。

 そして、「こうした成長市場をターゲットに、ボイスとデータ、さらにはセキュリティ面で優れた機能を備えたEseriesを積極的に展開し、企業向けモバイルデバイス市場におけるリーディングカンパニーを目指す」考えを示した。


ノキア・ジャパンの森本昌夫カントリージェネラルマネージャー
 これを受け、ノキア・ジャパンのエンタープライズ・ソリューション事業部カントリージェネラルマネージャーの森本昌夫氏は、日本でのエンタープライズソリューション戦略について「今回の新製品を機に、今年度はモバイルEメールとモバイルボイスの2点にフォーカスし、本格的にエンタープライズソリューション事業を展開していく」と述べた。

 モバイルEメール分野については、「現在、企業でのモバイルEメールの利用者は40万人で、そのなかで社内メールをモバイルデバイスでやりとりしている人は20万人程度。まだまだ市場規模は小さく、それだけわれわれにも大きなチャンスがあると期待している。ノキア・ジャパンとしては、高機能のEメールクライアントであるIntellisyncを展開するとともに、パートナーとの協業を進め、市場活性化に取り組んでいく」とした。

 一方、モバイルボイス分野については、「2006年の国内におけるVoIP端末市場はまだ30万台規模だが、2008年には60万台まで伸びることが見込まれている。また、すでに240万回線以上のPHSが企業のワイヤレス電話として普及している背景もあり、そのリプレース需要にも期待できる」という。

 この2つの分野をカバーする企業向けモバイルデバイスが今回発表したEseriesとなり、「企業から求められるモバイルデバイスへの要件をすべて満たした製品」と自信を見せた。


日本のEnterprise Mobile Email市場 ノキアのEnterprise Mobile Email戦略 日本のVoIP端末市場

 各モデルの特徴としては、「E60」は操作性に優れたコンパクトなボディデザインのスタンダードモデル。スピーカーフォン、電話会議などの音声通話機能をはじめ、無線LAN上でのIP電話などのアプリケーションを搭載している。416×352ドットの高解像度1600万色表示のディスプレイによって、メールやカレンダーへの文字入力も簡単に行える。

 「E61」はモバイルEメールに最適なモデルで、超薄型のボディに大型2.8インチのQVGA1600万色表示のディスプレイ、4wayジョイスティック、フルキーボードを搭載し、モバイル環境でのEメール活用をサポートする。添付ファイルの閲覧機能に加え、ドキュメント、スプレッドシート、プレゼンテーションの編集機能も備えている。

 価格はオープンプライスだが、ワールドワイドでの実勢価格は350~450ユーロ(約4万9000円~約6万3000円)という。なお、ノキアブランド以外ではボーダフォンから今秋にもEseriesの2モデルが国内向けに発売される予定。


日本におけるエンタープライズ・ソリューション事業部の目標
 今後のエンタープライズソリューション戦略について、森本カントリーマネージャーは、「2009年を目標に、デバイスでは企業向け端末ビジネスで日本市場のリーディングポジションを目指す。ソフトウェアではモバイルウェアという市場を確立し、この市場でもリーディングポジションを目指していく。また、セキュリティについては、セキュリティアプライアンスの分野で引き続き、現在のポジションを維持していきたい」と語った。



URL
  ノキア・ジャパン株式会社
  http://www.nokia.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.nokia.co.jp/about/release_060607_2.shtml


( 唐沢 正和 )
2006/06/07 16:46

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