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日本HP、管理・冷却性能や接続性を強化した次世代ブレードサーバー


HP BladeSystem c-Class

ブレードバリュープロダクトマーケティング部の山中伸吾氏

警告を表示するSystem Insight Display
 日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)は6月15日、ブレードサーバーの第3世代となる新製品、「HP BladeSystem c-Class」を発表した。10Uサイズに最大16枚のブレードを内蔵できる新筐体と、サーバーブレード2製品がまず提供される。

 新筐体の「HP BladeSystem c-Class 7000cエンクロージャ」は、10Uサイズの筐体で、内部に新サーバーブレード「HP ProLiant BL460c」「同 BL480c」を格納することが可能だ。第3世代という位置付けは、「ストレージ、ネットワークも含めて統合を可能にした製品」(インダストリースタンダードサーバ製品本部 ブレードバリュープロダクトマーケティング部の担当部長、正田三四郎氏)という点から。単に高密度が追求されていた第1世代、サーバー統合を見据えていた第2世代から、コンセプトがステップアップしているという。

 具体的な製品の特徴は、正田氏によれば、1)バーチャルコネクト、2)インサイトコントロール、3)サーマルロジック、の3つ。このうち1)は、I/Oを仮想化することで、システムの自動化をしやすくするもの。現在の企業環境では、「サーバーの管理者とネットワーク、ストレージの管理者が別に存在することが多いため、サーバーブレードを移動しようとしてもサーバー管理者の一存だけではできず、ネットワーク/ストレージの再設計作業が必要になる課題があった」(ブレードバリュープロダクトマーケティング部の山中伸吾氏)。

 そこでc-Classでは、サーバーブレードを移動させても、外部から見るとMACアドレスとWWNが変更しなかったように見えるI/Oの仮想化技術を開発して、迅速なサーバーの再配置を行えるようにしている。「障害時、サーバーの切り替えは自動でできる製品は多いが、この製品では、問題となるI/Oの変更も可能になった」(山中氏)。

 また2)は管理の問題。「筐体に強力な管理ツールを入れ込んだ」(山中氏)とのことで、管理ツールからの統合監視を行えるだけでなく、ウィザード形式による初期設定、故障時案内を、「System Insight Display」という小型液晶で確認できるようにした。加えて、使いやすさを重視したグラフィカルな「Onboard Administrator GUI」インターフェイスによって、直感的な管理をできるようにしたとのこと。

 最後の3)では、発熱・電力の抑止・制御を可能にするため、「電力・温度監視ツール」を導入し、複数筐体にまたがったラックレベルで情報を監視可能にしたほか、日本HPが自ら開発したパワフルな新型ファン×10を搭載。このファンは1つで4台の1Uサーバーを冷却する性能を持っているとのことで、同等性能の既存ファンと比べて66%の消費電力、50%の騒音を削減できたという。山中氏は「新製品はこのファンのおかげで小型化できた。ブレードサーバーの大きさを決めるのは、部品ではなく冷却性能」と述べている。


インダストリースタンダードサーバ製品本部 ブレードバリュープロダクトマーケティング部の担当部長、正田三四郎氏
 一方、新型サーバーブレードの方でも、既存製品が持っていた欠点も解消した。ラックマウント型サーバーに比べて劣っているネットワークポート数を増加させたことに加え、内蔵可能なHDD容量の増強、HPCに対応するためのInfiniBandサポートなどの改善が行われている。

 具体的なスペックは、1枚あたり、BL460cがXeon 5063(3.2GHz)×1、2GBメモリ(最大16GB、将来は32GBまで対応)、HDDレス(SASでは最大72GB×2)、Gigabit Ethernet×2。またBL480cがXeon 5060(3.2GHz)×2、4GBメモリ(最大24GB、将来は48GBまで対応)、HDDレス(SASでは最大72GB×4)、Gigabit Ethernet×4。HDDはSASとSATAをサポートしており、両製品ともホットスワップが可能になっている。

 価格は、c-Class c7000エンクロージャが63万円から、BL460cが45万1500円から、BL480cが67万2000円から。8月より、順次出荷を開始する。

 なお、今回は発表されなかったが、将来的にはc-Classの対応製品の拡充を急ピッチで進める予定がある。2006年下半期には、AMD製CPUを搭載したブレードや、最大6台のHDDを搭載できるストレージブレードを、2007年上半期にはIPFブレードを提供する予定としており、「5年以上を見越して継続する技術」(正田氏)に位置付けて展開していく予定だ。



URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/
  ニュースリリース
  http://www1.jpn.hp.com/info/newsroom/pr/fy2006/fy06-125.html

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( 石井 一志 )
2006/06/15 18:30

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