Enterprise Watch
最新ニュース

富士通、ブレードによるIT基盤「TRIOLE BladeServer」を発表

最新ブレードサーバー「PRIMERGY BX620 S3」も発売

TRIOLE BladeServerを実現するシステム構成。上からネットワークサーバー、ブレードサーバー、ディスクアレイ、UPS

山中明経営執行役
 富士通株式会社は6月15日、ブレードサーバーを中核として、ライフサイクル全般にわたるトータルシステムを構築するIT基盤として「TRIOLE BladeServer」を発表。これを構成するブレードサーバーとして「PRIMERGY BX620 S3」を発売した。

 また、同時に、TRIOLE BladeServerを構成する製品群として、世界初となる10Gビット対応のPRIMERGY BX600スイッチブレード、ミドルウェアのSystemwalker Resource Coordinator V13、高可用性を実現するためのSANブートセット商品、シャーシの保守期間を最長で7年間まで延長できる保守延長オプションをそれぞれ用意。これらの組み合わせを事前検証した形で提供するなど、ハード、ソフト、サービスといったすべての領域からTRIOLE BladeServerを構成することになる。

 富士通サーバシステム本部長・山中明経営執行役は、「ブレードサーバーは、基幹システム分野に活用されることから、ライフサイクル全般にわたるIT基盤として、体系化した形で提供する必要がある。今回のTRIOLE BladeServerは、これまで当社が取り組んできたTRIOLEを、Typicalに具現化したものともいえる。ブレードサーバーは、今後の当社サーバー事業においてもキーとなるプロダクトだと位置づけており、いまは、10%に届かないシェアにとどまっているが、来年度以降、20%程度にまで引き上げたい」と語る。


TRIOLE BladeServerの主なコンポーネント TRIOLE BladeServerテンプレート TRIOLE BladeServerテクノロジーロードマップ

増田実夫事業部長
 TRIOLE BladeServerの中核となるPRIMERGY BX620 S3は、デュアルコアのXeonプロセッサ5050(3GHz)、5060(3.20GHz)、5080(3.73GHz)を最大2個搭載。DIMMスロットを8枚搭載することで、業界最大クラスの16GBのメモリ容量を実現しており、「当社現行機種に比べて2倍の処理性能を実現する」(同社)という。

 ホットプラグ対応の2.5インチSAS HDDを2台搭載することが可能で、RAID構成も実現でき、さらに、現行モデルではHDD 1台との排他環境であるのとは異なり、独立した拡張スロットを用意していることから、RAID構成を実現しながら、バックアップ用テープ接続やLAN増設といった拡張性を確保している。価格は57万円(税別)から。

 世界初となる10Gビットのシャーシ内蔵スイッチ「PRIMERGY BX600スイッチブレード」は、アップリンクとして10Gビットポートを2個、1Gビットポートを6つ、ダウンリンク用として1Gビットを10個有しているほか、L2スイッチとして使用している際にもL3スイッチ相当のフィルター機能を有効とするなど、より柔軟なネットワーク構成が可能となっている。価格は90万円(税別)。

 「今後は、フル10Gビットのスイッチブレードも提供する予定」(富士通サーバシステム事業本部IAシステム事業部・増田実夫事業部長)だという。


ブレードサーバーのPRIMERGY BX620 S3 世界初となるPRIMERGY BX600スイッチブレード

 また、Systemwalker Resource Coordinator V13では、より柔軟な構成を可能にすることをめざし、ネットワーク機能を重点的に強化。プロビジョニングの機能としてネットワーク構成の構築自動化を追加したほか、運用管理においてはサーバー、ストレージ、ネットワーク、ソフトの統合管理を強化。セキュリティを確保した形で、業務サーバー単位のタグVLANの設定も可能とした。

 「10GビットLANと組み合わせることで、余裕のバンド幅を確保できるようになる。また、ケーブル集線と冗長構成を同時に実現しているのも特徴」(増田事業部長)という。

 SANブートセットは、予備ブレードへの自動切り替え機能により、業務継続を実現する高可用型のシステムをセットにしたもの。「ブレードサーバーの商談のうち、43%がSANブート構成による高可用性の要求が含まれており、今回の機能強化は、それを踏まえたもの」(増田事業部長)としている。価格は680万円(税別)から。

 さらに、通常は5年間の保守期間を、シャーシに関しては最大7年間とする延長保守オプションを用意。「ブレードサーバーは、長期の投資基盤ともいえ、増設などにも安心して対応できる体制が求められていることから、新たに用意したサービス」(山中経営執行役)としたほか、TRIOLE BladeServer導入・支援サービスを用意することで、顧客の要求にあわせて工場段階でシステムを事前に設定。さらに、オンサイトで顧客の要求にあわせてカスタマイズすることで、「短期間にシステム構築を行うとともに、安心して利用できる環境を提供する」(山中経営執行役)とした。

 また、同社では、ブレードサーバーのこれまでの導入実績や、システムを分析、評価したナレッジを加えてテンプレート化した「TRIOLE BladeServerテンプレート」を用意。「サーバー集約」、「高信頼性システム」、「クライアント統合」という3つの領域における8種類のテンプレートによって、事前検証済みのシステムとして提供できるようにした。

 同社では、TRIOLE BladeServerに関する今後のテクノロジーロードマップも公開。2007年には、新たなインテルのクアッドコアCPUの搭載製品の投入に加え、10Gビットネットワーク環境にストレージも統合する計画を示し、「10GビットEthernetへの統合を加速していく」(山中経営執行役)としている。



URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  プレスリリース
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2006/06/15-1.html


( 大河原 克行 )
2006/06/15 19:14

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.