Enterprise Watch
最新ニュース

キヤノン、デジタル商業印刷機器分野に参入

オフィス向けハンエンド市場にも本格展開

新製品を前にするキヤノンの内田社長(右)と、キヤノンMJの村瀬社長
 キヤノン株式会社およびキヤノンマーケティングジャパン株式会社(以下、キヤノンMJ)は7月4日、デジタル商業印刷機器分野への本格参入を図るとともに、これまで他社に先行されていたオフィス向けハンエンドカラー複合機分野向け戦略的新製品を投入すると発表した。

 キヤノンの内田恒二社長は、「デジタル商業印刷機器の本格参入は、キヤノンのさらなる成長を担う映像事務機分野の大型製品」と位置づけ、「カラー複合機で長年培ってきた電子技術をデジタル商業印刷機器に活用する。今回の製品投入により、コンシューマから、プロフェッショナルが利用するデジタル商業印刷機器まで、あらゆる領域のデジタルイメージング機器をラインアップできた。各領域において、世界ナンバーワンを目指す」と意気込みを語った。

 また、キヤノンMJの村瀬治男社長も、「キヤノンMJは、2010年までにビジネスソリューション分野で6000億円の売り上げを目指すが、その上で重視している領域のひとつがハイエンド市場の開拓。デジタル商業印刷機器の分野では年率15%程度の成長が見込め、2009年には3000億円程度の市場規模が見込める。成長市場にターゲットを広げていくことで全社の中期経営計画の達成につなげたい。また、これまでキヤノンが手薄だったオフィスハイエンド市場に対しても、開拓していく製品が投入できた。オフィスハイエンド市場に向けて満を持して投入する新製品。キヤノンが持つ独自デバイスによる製品力と、キヤノンMJが持つSI、ソリシューション力とを組み合わせることで、デジタルイメージングにおける付加価値を創出し、これを顧客に提供していきたい」と位置づけた。


 デジタル商業印刷機器の新製品では、新ブランドとして「ImagePRESS(イメージプレス)」を用意。ImagePRESS C7000VPと、同C1を、それぞれ12月、8月4日から発売する。

 ImagePRESSの名称は、「デジタルイメージングを、使い手の思いのままに印刷(PRESS)できるという意味を持たせた」(内田社長)とした。

 いずれの製品も、平均55μmの微粒子トナーや、安定性を備える感光ドラム、高速画像処理コントローラである「iPRコントローラ」など、デジタル商業印刷用の出力機器に必要とされる新機能を搭載したという。

 上位機となるC7000VPは、カラー、モノクロともに毎分70枚の出力スピードを実現。C1は、カラーで毎分14枚、モノクロ60枚の出力が行える。

 「ImagePRESSでは、オフセット印刷に迫る高画質、高精度レジストレーションによる高精度印刷を実現したほか、A3フルトンボまでの印字を可能にし、コート紙などの幅広い用紙に対応するといった機能を持つ。約2年前から社内公募により約50人体制でデジタル商業印刷機器の専任部門を編成。また、キヤノンMJの品川本社6階にプロダクションシステムセンターを今年秋に設置することで、販売支援とともに、サービスを創造する場、デジタルカメラなどとの連携ソリューションを創出する場として活用する。同センターは、今後全国展開していく予定」(キヤノンMJビジネスソリューションカンパニーブレジデント・土門敬二専務取締役)としている。

 同社では、デジタル商業印刷機器において、2009年には、ターゲットとして想定する国内800億円の市場のうち、約50%のシェア獲得を目指して展開していく計画であるほか、ワールドワイドでは「2010年には、約20%のシェアを目指したい」(キヤノン映像事務機事業本部長・中岡正喜取締役)としている。

 価格は、サーバーを付属したC7000VPが3000万円(税別)、サーバーを付属せず、LIPSプリンタボードを搭載したC7000VPが1900万円(税別)、C1が340万円(税別)となっている。


イメージプレスのターゲット市場 ImagePRESS

Color imageRUNNERのラインアップ
 一方、オフィスカラー複合機「Color imageRUNNER(カラー・イメージランナー)」の新製品は、iR C5180N、iR C4580F、iR C3880Fの3モデル。いずれも、4ドラム方式のアドバンスト・フラット4レーザーエンジンを搭載。さらに、高速でトナーを定着させるTBF(Twin Belt Fuser)定着方式などの新技術を搭載。それぞれ毎分51枚、40枚、36枚のカラー出力を実現している。

 コピー機能に加え、プリンタ、スキャナ機能を搭載。第3世代画像処理システム「カラーiRコントローラ」を採用することで、各種データの高速、高精細処理を実現している。

 価格は、それぞれ230万円(税別)、235万円(税別)、225万円(税別)。iR C4580FおよびiR C3880Fにはファクス機能を標準で搭載している。

 また、同社では、コピー機能に特化したiR C5180、iR C4580、iR C3880の3モデルも投入した。価格はそれぞれ220万円(税別)、195万円(税別)、185万円(税別)。

 「複合機のカラーシフトは急速に進展しており、2007年にはカラーがモノクロを逆転すると見ているが、市場全体の台数は横ばいと見られている。当社は、オフィスハイエンド市場という新たな領域の製品を投入することで、ハイエンド層のシェア拡大およびドキュメントボリュームの拡大を図り、オフィスMFP全階級制覇を目指す」(土門専務取締役)と、ハイエンド市場におけるトップシェア獲得にも強い意欲を示した。



URL
  キヤノン株式会社
  http://canon.jp/
  ニュースリリース
  http://cweb.canon.jp/newsrelease/2006-07/pr-c7000vp.html?jp=pr-c7000vp
  http://cweb.canon.jp/newsrelease/2006-07/pr-irc5180.html?jp=pr-irc5180


( 大河原 克行 )
2006/07/04 15:49

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.