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日本IBM、次期Opteron搭載のx86サーバーを投入

日本AMD社長、年内に国内10%シェア獲得に意欲

新製品を持ちながら握手する、日本IBMのシステム製品事業システムx事業部・藤本司郎事業部長(左)と日本AMDのディビット・M・ユーゼ社長
 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は8月2日、AMDの次世代Opteronプロセッサを搭載したx86サーバーおよびブレードサーバーを投入すると発表。今年第3四半期以降、新製品5モデルを投入して、BI(ビジネスインテリジェンス)、ERPなどをはじめとするビジネス・パフォーマンス・コンピューティング(BPC)分野での展開を図る。

 IBMでは、2003年8月からAMD製のプロセッサを搭載したサーバー製品を投入し、HPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)分野を中心に実績を持っていたが、「今回の製品では、HPCからBPCへとターゲットを広げ、一般的なビジネスエリアでの活用を促進していく。同時に、IBM独自に消費電力効率を追求したEnergy Smartとともに、AMDが提案するワット性能の優位性を発揮し、コンピューティングパワーと環境にやさしい製品を顧客に提供していく。国内ブレードサーバー分野では引き続きトップシェアを維持していく」(日本IBM システム製品事業システムx事業部・藤本司郎事業部長)とした。

 新製品は、中規模市場および大企業向けに、気象シミュレーションや衝突試験分析など、科学分野向けコンピューティングに最適となるSystem x3755、ビジネス・パフォーマンス・サーバーとして、データベース、ERP、BIなどに最適とされるSystem x3655、ハイパフォーマンス・コンピューティングの計算ノードとして、科学技術コンピューティング、データベース、Linuxクラスターに最適化したSystem x3455。BladeCenterシリーズとして、大規模システム向けに拡張性を強化した2-4WayのブレードサーバーであるBladeCenter LS41、同じく2Wayのブレードサーバーの同LS21の合計5モデル。

 現行モデルの同等機種に比べ、処理能力を21%向上したほか、ハイエンドサーバー向けの技術をベースとした「Enterprise X Architecture」の採用による信頼性の向上や、「IBM Xcelerated Memory Technology」の採用により、他社製品に比べてメモリアクセスを15%向上するなどの特徴を持つ。

 また、ブレードサーバーでは、業界初となる「スナップイン」技術を採用することで、もう一台のブレードサーバーをスナップ方式で装着することにより、2台のブレードが1台として稼動するようになる。そのほか、AMDが開発した相互接続テクノロジー「HyperTransport」を採用しており、ビジネスの成長にあわせた拡張が行える。

 製品の出荷開始日および価格は、2006年第3四半期に行われるAMDの次世代Opteronプロセッサの出荷の際に発表される予定だ。


展示された新製品の試作品 中央の金色の部分が次世代Opteronプロセッサ

Cool Blueの特徴

Yamato Innovation Dayで公開されたCool Blue
 今回発表した新製品では、システム全体で消費電力効率を追求したイノベーション・ポートフォリオ「Cool Blue」を採用しているのも特徴。

 Cool Blueは、システム、ラック、データセンターの各レベルにおけるインフラの消費電力、管理、冷却を、より効果的に最適化できるポートフォリオ。消費電力や熱放出を測定することができる「IBM PowerExecutive」や、熱分析装置によってデータセンターにおける温熱関連の問題を特定し、自動的に修正する「IBM Thermal Diagnostics」などで構成される。

 「Cool Blueを構成する技術として、2004年に発表したキャリブレーテッド・ベクター・クーリングや、昨年発表したパワーコンフィグレーターがある。また、今年に入ってからは水冷式ヒート・エクスチェンジャーやPowerExecutiveを発表。来年には電力ソリューションと仮想化技術の統合も図ることになる」(藤本事業部長)という。

 キャリブレーテッド・ベクター・クーリングは、ラックサーバーの安定動作のために、筐体内の冷却効率を考慮した設計をシミュレーションするもので、筐体内部の温度変化を最小限に抑えることを可能にした。

 また、水冷式ヒート・エクスチェンジャーは、ラックとデータセンターのための水冷ラックソリューションで、これにより、筐体内から排出される空気を冷やし、データセンター内の温度を効率的にコントロールできるようになる。


キャリブレーテッド・ベクター・クーリング PowerExecutive パワー・コンフィグレーター

日本IBMと日本AMDの協業スキーマ
 一方、日本IBMと日本AMDでは、これまでの技術レベルでの協業に加えて、営業/マーケティングにおける共同展開にも踏み出す考えを示した。マーケティングでは、日本IBMのシステムx事業部と日本AMDのマーケティング本部とが連携し、金融、通信、製造の各インダストリーごとの戦略立案や、新聞広告の共同展開をはじめとする包括的なマーケティング協業を行う。

 さらに、営業部門による連携では、日本IBMの営業部門と、日本AMDのエンタープライズビジネスデベロップメント本部の両部門が参加した「Cool SWAT」チームを新たに創設。重点顧客に対する共同セールスやIBMのビジネスパートナー向け支援、案件情報の共有化などを行う。

 日本AMDでは、8人の社員を、Cool SWATチームに派遣。2007年にはこれを20人に拡大する計画。

 日本AMDのディビット・M・ユーゼ社長は、「米国におけるAMDのシェアは、ブレードサーバー市場で50%以上、4Wayサーバーで48%のシェア。それに対して、日本におけるOpteronのシェアはわずか2.9%。言い換えれば市場拡大の機会があるということ。今年中には10%のシェアをとりたい。また、第2四半期のサーバー市場全体では、25.6%のシェア。これからは毎月1%ずつシェアを高めたい。そのためには、日本IBMとの協業を強化し、Cool SWATチームによって、IBMがカバーできない案件を掘り起こしていきたい」とした。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  プレスリリース
  http://www-06.ibm.com/jp/press/20060802001.html


( 大河原 克行 )
2006/08/02 15:53

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