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インテル、クアッドコアXeonを公開-正式発表は11月


Clovertownを手にするマーケティング本部デジタル・エンタープライズ・グループ統括部長の平野浩介氏

発表会で公開されたClovertown
 インテル株式会社は10月16日、9月に米国で開催された開発者向け会議「IDF Fall 2006」を踏まえ、11月に発表予定のクアッドコアプロセッサ「Clovertown(開発コード名)」などに関する説明会を開催した。

 Clovertownは、1つのパッケージにデュアルコアのダイを2つ搭載したXeon DP系プロセッサ。デュアルコアのダイを2つ搭載することでクアッドコアを実現している。同社マーケティング本部デジタル・エンタープライズ・グループ統括部長の平野浩介氏は、「既存のデュアルコアダイを使ってクアッドコアを実現したことで、市場への迅速な投入が可能になった。また、歩留まり率の向上にも効果があり、(デュアルコアプロセッサとの)ウェハーの共有化によりコストメリットも高まる」と、メリットを紹介した。

 デュアルコアプロセッサと比較した性能については、「最大50%のパフォーマンス向上を実現している。また、デュアルコアプロセッサとソケットやプラットフォームの互換性があるため、クアッドコアプロセッサに差し替えて利用することも可能」と紹介。価格については、「クアッドコアだからといって、デュアルコアの2倍にはしない。価格面ではほぼ据え置きとなるだろう」と同一価格帯で最大1.5倍の性能向上を実現するとした。

 今後のロードマップについては、「Xeon MP系では、2007年にCoreマイクロアーキテクチャを採用したTigerton(開発コード名)でクアッドコア化を行う。その後、ソケット互換の上位プロセッサであるDunnington(開発コード名)を投入する予定。Xeon DP系では、年末にクアッドコアのClovertownを投入。プラットフォームは2008年まで共通して利用できるので、今後出荷される高性能のプロセッサと交換することも可能。また、新しく発表したシングルプロセッササーバー向けのXeon UP系では、2007年にはクアッドコアプロセッサを投入する」と、今年から来年にかけ、それぞれの分野においてクアッドコアプロセッサを投入するとした。


クアッドコア化によるパフォーマンス向上 サーバー向けプロセッサのロードマップ

メガ・データセンターへの取り組みも紹介

 説明会では、メガ・データセンターに関する同社の取り組みも発表された。メガ・データセンターは、100万台以上のサーバーを抱えるデータセンターを表現したもの。1日に1億以上の動画が配信されるYouTubeや、1日あたり30億PVを超えるYahoo!など、数十万台のサーバーをすでに投入している企業があり、近い将来メガ・データセンターが現実になると紹介。

 特にSaaSなどに注目が集まっており、SaaSなどのオンラインサービスが発展するとサーバーの需要は増大すると平野氏は説明し、「これからくるメガ・データセンターでは、従来の手法では対応できなくなる。新たな取り組みが必要」とした。具体的には、サーバー数の増大は、設置スペース不足という問題を生み、また電力の面では、サーバーが消費する電力に加えて、データセンターを冷却するためにも電力が必要となると説明する。

 同社では、こうした課題に対応するため、「電力効率の向上のため、DC/DCコンバータを利用することで、AC/DCの変換ロスをなくし6割の電力効率アップが可能。また、テラフロップスパフォーマンスの実現のために、帯域幅の拡張やテラビットI/Oなど、スピードと密度の向上も重要。プロセッサのシリコンからメモリアレイに対して、直接シリコンで結線する技術や、シリコン・フォトニックスによる光通信を用いたI/Oなどの技術が必要となる」と、すべての面で大幅な技術革新が必要であるとした。

 同社では、2010年以降にこれらの技術の実用化を目指して開発を進めており、国内でも国内ベンダーと協力して開発を行うとした。



URL
  インテル株式会社
  http://www.intel.co.jp/


( 福浦 一広 )
2006/10/16 17:36

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