日本電気株式会社(NEC)は3月13日、次世代スレトージと位置づける「HYDRAstor(ハイドラストア)」を開発したと発表した。
2007年後半(7~12月)を目標に、北米市場に投入。北米への出荷開始1~2カ月後に、日本市場へ展開。欧州およびアジア市場向けには、2008年早期の投入を予定している。
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HYDRAstorの概要
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HYDRAstorの特長
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HYDRAstorのコアテクノロジー
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丸山好一執行役員常務
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「まずは、バックアップ、アーカイブの市場ニーズが高い北米市場に投入する。北米向けに先行投入するのは、当社のストレージ事業としては初の試み。NECのブランドは海外では浸透しておらず、EMCや日立に比べるとシェアは低い。だが、圧倒的な技術を持った製品投入によって、ストレージ旋風をグローバルに巻き起こしたい。価格はテープ並の価格となり、ディスク以上の性能を提供できる。当面の目標として、成長率が高いセカンダリ・パックアップストレージ市場において、10%のシェア獲得を目指す」(NEC・丸山好一執行役員常務)としている。
ユーザー企業におけるサーバー、ストレージへの要求は、急増するデータへ対応できる拡張性、ノード拡張時や障害発生時で無停止で運用する可用性、データ格納や保護、保存の自律運用など。HYDRAstorでは、企業で利活用するデータ量の急激な増加に伴って、求められる性能や容量に応じて自由にサーバーを追加し、ストレージノードとして、グリッドアーテキクチャで連結。クリッドストレージ環境を実現する。
米ニュージャージー州の同社北米研究所において4年半にわたって開発してきたグリッド・ストレージ技術をベースに、NECのサーバー、スレトージ事業で蓄積した高性能、高信頼性技術を融合。これにより、高信頼性、高拡張性、低コストを実現できるという。
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無停止で性能と容量を柔軟に拡張可能なグリッドアーキテクチャ
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ストレージ構成管理の簡素化・投資の最適化を実現するシングル・ストレージ・プール
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ポリシーベースの自律データ運用
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アクセラレータノードとストレージノードの2つのノードを増設することにより、無停止で性能と容量を柔軟に拡張できるグリッドアーキテクチャの採用に加え、目的別のストレージ構成から、単一のストレージプールへの統合によって、複雑なストレージ構成管理の簡素化と投資の最適化を実現するシングルストレージプールの採用。さらに、ポリシーベースによる格納、保護、保存運用の自律化を実現するといった機能を搭載している。
また、HYDRAstorでは、自動最適構成、重複排除、分散冗長配置という3つのコアテクノロジーを採用。自動最適化構成技術では、独自の分散制御技術による容量や性能拡張を可能としており、データ拡張位置を考慮することなく、必要に応じて無停止でノードを追加。これらのノードは自律的に組み込まれ、最適な負荷分散、データ再配置を自動実行する。また、重複排除技術では、知的な可変長分割によるブロックレベルで重複部分の検出を最大化するフィンガープリンティング技術と、データをキーに変換し、同じキーならば格納しないことで容量効率を向上させるハッシング技術を採用。重複して保管している同一データブロックをひとつにまとめ、容量効率の大幅な向上を実現する。
分散冗長配置技術では、元データを複数に分割し、特殊な冗長用コードを付加することで、三重以上の障害が発生した場合にもデータの復元を可能にする。
「ストレージの領域にこうした技術を採用したのはNECが初めて。RAIDを超える高信頼性、耐障害性を実現している」(NECのコンピュータソフトウェア事業本部・山元正人事業本部長)としている。
HYDRAstorのターゲットは、「まず、フェーズ1として、バックアップ、アーカイブ、遠隔ディザスタリカバリの用途として投入。第2フェーズでは、セカンダリストレージからプライマリストレージへの適用に広げる。そして、最終ターゲットとして、広域分散ストレージ領域への展開を図り、この分野においても単一ストレージプールを実現することができるようになる」(山元事業本部長)とした。
今回のHYDRAstorの投入は、2006年7月に発表した「REAL IT PLATFORMビジョン」で示された次世代ストレージの開発/製品化ロードマップに基づいたものであり、今後もこれに準拠した次世代ストレージ製品の投入を予定している。同社では、SAN領域においては次世代スケーラブルSANを、NAS領域では現行製品に比べて価格性能比を2倍とする次期ハイエンドNASを投入する計画を明らかにする。丸山執行役員常務は、「これらの製品を、次世代ストレージの第2弾、第3弾として、2007年度上半期に集中して投入する予定」とした。
現在、同社のストレージ事業の売り上げ規模は約300億円。国内がほとんどを占めているが、セカンダリ・バックアップストレージ市場で10%を獲得した際には、海外比率の方が上回ると見込んでいる。
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今後のストレージ製品計画
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製品ロードマップ
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グローバル戦略
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■ URL
日本電気株式会社
http://www.nec.co.jp/
プレスリリース
http://www.nec.co.jp/press/ja/0703/1301.html
( 大河原 克行 )
2007/03/13 16:18
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