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日本HP、XeonとQuadro FXを搭載するブレード型ワークステーション

高性能ブレードをセキュアなデータセンターで集約管理可能に

HP Blade Workstationソリューション

HP Blade Workstationソリューションの製品ポジショニング

日本HP パーソナルシステムズ事業統括 執行役員 マーケティング統括本部の松本光吉統括本部長
 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は4月17日、高い処理性能、セキュリティ、高管理性を同時に実現するブレード型ワークステーション「HP Blade Workstationソリューション」を発表した。あわせて、同ソリューションに使用するワークステーションブレード「HP Proliant xw460c Blade Workstation(xw460c)」とシンクライアント「dc72」を、5月上旬から日本HPの直販営業、および同社が認定した「HP Blade Workstation SIパートナー」を通じて販売開始することも発表している。

 HP Blade Workstation ソリューションは、ワークステーションブレードであるxw460c本体やストレージなどの主要機能をデータセンター内に集約し、専用アクセス端末のシンクライアントdc72を利用して、ワークステーションクラスのハイパフォーマンスを実現するソリューション。大容量のグラフィックスデータをxw460c上で処理し、「HP Remote Graphics ソフトウェア(HP RGS)」によって、ネットワークを介してディスプレイイメージをシンクライアントのdc72に転送する仕組み。同社がすでに展開しているブレードPCを使用したクライアント統合ソリューション「HP CCI」と比べて、セキュリティや管理性に優れ、より快適なオフィス環境を実現するとともに、ワークステーション並みの高度な処理性能を利用することが可能となる。

 日本HP パーソナルシステムズ事業統括 執行役員 マーケティング統括本部の松本光吉統括本部長はHP Blade Workstation ソリューションについて、「現在、企業の情報はクライアントPCに依存している状態であり、今でも個人情報や設計情報が流出する事件が起こっている。企業では、クライアントをきちんと運用管理していくことが重要で、こうした背景からデータを手元に持たないシンクライアント化の流れがさらに加速している。当社では、今回のソリューションによって、PCのトップベンダーとしてシンクライアント化に向けた新しい環境を提供していく」と述べた。

 具体的な同ソリューションの特徴としては、OSやアプリケーションが搭載されているワークステーション本体やストレージをセキュアなデータセンター内に収納することで、物理的にデータの持ち出しを不可能にし、高度なセキュリティを実現できる点が挙げられる。IT管理者は、運用管理やサポート作業をデータセンター内で完結させられるため、運用管理にかかる手間やコストを抑え、TCOの削減を図ることが可能となる。

 また、ブレードPCと同様に、シンクライアントとネットワーク環境があればどこからアクセスしてもユーザー固有の環境が利用できるのも特徴。手元のシンクライアントから複数の画面を利用し、複数のサイトに同時に接続しながら作業を行ったり、CADなどの高解像度のデータを離れた場所から利用したり、といった複数ロケーションでの柔軟なワークモデルを実現する。このほか、ユーザー側には、ワークステーションの本体は存在しないため、熱や騒音の影響もなく、データセンターへの集約化によって省電力効果も期待できるという。


HP Proliant xw460c Blade Workstation

日本HP パーソナルシステムズ事業統括 ワークステーションビジネス本部の小島順本部長

HP Blade Workstationソリューションのターゲット市場
 同ソリューション向けに提供されるxw460cは、デュアルコアのXeon 5100番台を搭載したブレードサーバー「HP Proliant BL460c」をベースに、NVIDIA Quadro FX 560Mグラフィックスを搭載している点が特徴。ブレードPCと比べてグラフィックス処理を含めた処理性能を大幅に向上し、動画や2D、3Dの画像データも容易に扱えるようになった。販売価格は51万300円。なお、ワークステーションブレードを格納、管理するインフラストラクチャには、第3世代ブレード「HP BladeSystem c-Class」のコンポーネントや管理ツールを利用。エンクロージャには最大16枚のブレードを搭載できる。

 HP Blade Workstationソリューションの参考構成価格は、16ユーザー想定で約1000万円から。この価格には、クライアント端末、各種ソフトウェア、ラック、追加サービス費用は含まれない。

 同社では、同ソリューションの販売ターゲットとして、「2007年は、まず金融業にフォーカスして拡販展開を進め、2007年後半からは機械系CADの市場にもターゲットを広げていく」(日本HP パーソナルシステムズ事業統括 ワークステーションビジネス本部の小島順本部長)考え。特に金融業については、「現在、金融業のトレーディングルームでは4つのディスプレイを使用し、足元には複数のワークステーションを設置している環境が一般的となっているが、セキュリティに加え、作業スペースの確保や発熱・騒音も問題になっていた。今回のソリューションでは、1台のシンクライアントで4画面出力に対応でき、これらの問題を同時に解決できる」(小島本部長)とした。

 世界市場での導入事例について、米HP ワークステーショングローバルビジネスユニット ブレードワークステーション・リモートグラフィックスソフトウェア製品マーケティングのディレクター、ダン・ノーヒューズ氏は、「米国では、昨年12月からこのソリューションを販売展開しているが、すでに金融市場ではメガバンクを中心に数社のユーザーを抱えている。ある金融機関では、1つの机で3~5台のワークステーションを使用していた従来環境を、当社のソリューションによって、1~2台のブレードワークステーションと1台のシンクライアント環境に置き換えることで、室温を30℃から20℃まで、10℃も下げることができた。また、リモートオフィスのセットアップについても、インフラの追加投資をすることなく、わずか1日でセットアップを行うことができた」と導入効果をアピールしていた。



URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/
  ニュースリリース
  http://www1.jpn.hp.com/info/newsroom/pr/fy2007/fy07-083.html

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( 唐沢 正和 )
2007/04/17 16:40

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