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富士通、ラックマウント型に匹敵する拡張性のブレードサーバー

SAN仮想化にも対応、低コストでサーバーを集約

パーソナルビジネス本部長代理の増田実夫氏

PRIMERGY BX620 S4
 富士通株式会社は5月14日、「TRIOLE BladeServer」ブランドの主要製品となるブレードサーバー「PRIMERGY BX620 S4」を発表した。サーバーブレード、シャーシ、スイッチブレードいずれにおいてもさまざまな機能を搭載。併せて、仮想化環境における運用性を向上する管理ソフトの新版「System Resource Coordinator Virtual server Edition V13.2(以下、SRC Virtual server Edition)」の提供を開始する。

 発表会では、パーソナルビジネス本部長代理の増田実夫氏がまず、サーバー集約ソリューションの現状について言及。「サーバーを集約することで、ITリソースの全体像把握が可能になるほか、導入・運用コストの削減、部門を横断してのセキュリティ強化などが図れるため、物理・業務など、さまざまな面から集約化が進んでいる」と語った。実際に富士通の実践例では、ラックサーバー50台をブレードサーバー20台に集約した結果、約55%のTCO削減に成功したという。

 一方、そうしたメリットの反面、サーバー集約に伴う新たな課題も浮き彫りになっている。「業務部門では、システム統合により、トラブル時の波及範囲が拡大するといったことが起きている。また情報システム部門では、さまざまな業務の追加・変更に応じて困難なネットワーク設計を強いられるとともに、一点に集約されたシステムを運用するため、管理者の負荷と責任が増加するといった課題も明らかになっている」(増田氏)。

 このサーバー集約への期待と現実とのギャップを埋めるためには、システムの柔軟性、運用の容易性、業務の継続性などが求められると増田氏は話す。PRIMERGY BX620 S4とSRC Virtual server Editionは、こうした課題に対するソリューションとなる。

 サーバーブレードとしては、ラックマウント型サーバーにも匹敵する最大10ポートの拡張性を実現した「PRIMERGY BX620 S4 サーバーブレード」を提供。低電圧版のXeon L5320(1.86GHz)を最大2個、147GBの大容量2.5型HDDを最大2個搭載可能にしたほか、「Red Hat Enterprise Linux 5」に対応するなど最新技術もキャッチアップした。価格は57万6000円(税別)で、6月上旬から提供開始。

 スイッチブレードとしては、従来製品と同サイズで従来の16ポートから42ポートへLANポート数を拡大した「PRIMERGY BX600 スイッチブレード(1Gbps)」、標準で12ポート、最大で16ポートに対応した最大4Gbpsの高速データ転送が可能な「同 BX600 ファイバーチャネルスイッチブレード(4Gbps)」などを提供。価格はそれぞれ30万円(税別)、168万円(同)で、6月上旬から提供開始。

 シャーシとしては、広帯域ミッドプレーンを搭載した「PRIMERGY BX600 S3 シャーシ」を提供。サーバーブレードと内蔵スイッチ間の最大実用帯域を約4.3倍に拡大することで、10Gigabit Ethernetにも対応する性能を実現した。


PRIMERGY BX620 S4 サーバーブレード-最大10ポートの拡張性を実現 PRIMERGY BX600 スイッチブレード(1Gbps)-16ポートから42ポートへLANポート数を拡大 PRIMERGY BX600 S3 シャーシ-最大実用帯域を約4.3倍に拡大

 一方のSRC Virtual server Editionは、ブレードサーバーを仮想化することで運用性、可用性を向上し、インフラ最適化を実現するための管理ソフト。今回のVirtual server Editionは、ブレードサーバー向けの機能を大幅に強化したものとなる。具体的には、VMwareによる仮想サーバーの構成を自動収集し、物理・仮想環境の統一管理ビューを実現したほか、ブレードサーバーのSAN接続性も強化。PRIMERGY BX600 ファイバーチャネルスイッチブレード向けの「SAN接続仮想化オプション」と同ソフトを連携させることで、ブレードサーバーの追加や交換時に伴うSANの変更が不要になる。さらにVMware HA機能との連携により、物理・仮想の混在環境において、1台の予備サーバーを共有可能にした。このため、経済性に優れたN対1スタンバイシステムが構築できるとのこと。価格は9万円(税別)で、9月から提供開始。


物理・仮想サーバーの混在環境において一元管理ビューと実現 仮想World Wide Nameを付与することで、システム変更時にNASの変更を不要に 物理・仮想サーバーの混在環境において、1台の予備サーバーを共用可能に

 「現在、ブレードサーバー市場での同社シェアは1けた台と非常に低い。この理由は、製品やブランドの訴求や販売方法が悪かったのが原因」と増田氏は分析する。今回の製品はこうした状況を打開するための主力製品となるようだ。「2008年にはトップ企業と肩を並べられるようにしたい。そのために2007年度中に、PRIMERGY全体で8万5000台、ブレードサーバーとしては6000台の販売をめざしていく」(増田氏)とした。



URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  プレスリリース
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2007/05/14.html

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( 川島 弘之 )
2007/05/14 16:42

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