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シャープ、高速デジタル複合機を初投入-ハイボリューム市場を狙う

複合機事業を同社の第4の柱に

MX-M1100

松本雅史代表取締役副社長
 シャープ株式会社は5月29日、ハイボリューム市場向けの高速デジタル複合機として、MX-M1100、同-M950、同-M860の3機種を6月27日から順次発売すると発表した。

 モノクロ複合機の最上位機種として位置づけるとともに、同社としては初めて、大規模オフィスや集中コピー室などのハイボリューム市場をターゲットとした製品。同分野で求められる高速出力や、高速原稿読みとり機能を備えるなど、生産性、信頼性、高速性を実現したほか、独自のミクロストナーの採用により、高品位プリントを実現。個人情報保護や内部統制などのセキュリティ機能なども強化しているという。

 シャープの松本雅史代表取締役副社長は、「今回の製品投入により、一般オフィス向けの製品から、集中コピー室までのあらゆるニーズに対応できる製品が整う。競合他社に負けない商品提案ができるようになる」と語る。

 業界最速となる毎分120面の高速読み込みを実現。高精細、高画質を実現する1200dpiの高解像度出力、、最大8段給紙による8850枚までの大量給紙の実現、複数枚の紙が一度に給紙されるのを防ぐ重走検知機能による用紙搬送時の信頼性を向上。加えて、高耐久性フレーム構造により、高速大量出力にも耐えうる設計としている。

 また、カラー拡張キットを利用することで、カラー原稿の電子化を実現するほか、中綴じや紙折りなどを行うための各種拡張キットを用意。88種類の製品提案が可能になる拡張性も実現している。

 情報セキュリティに関しては、IPアドレスやMACアドレスのフィルタリング設定により、外部からの不正アクセスを防止、SSL暗号化によるネットワーク経路の暗号化、セキュリティ性を高めるユーザー認証システムを用意している。

 「情報セキュリティは、当社がいち早く取り組んでいる分野であり、標準規格のCommon Criteriaの評価保証レベルにおいて、民生機器としては最高レベルのEAL4を、複写機、プリンタ業界では唯一取得している」(松本副社長)という。

 同社独自の複合機向け開発プラットフォームであるSharp OSAにも対応。欧米、日本のISVなどが開発したドキュメント管理、ワークフロー、FAXサーバーなどの対応アプリケーションも利用できる。現在、約100社からSharp OSA対応アプリケーションが開発されているという。


多彩な拡張性を実現 情報セキュリティも強化 Sharp OSAによるビジネス展開

 価格は、1分間に110枚の複写速度を実現している最上位のMX-M1100が711万3750円、95枚機のMX-M950が606万3750円、86枚機のMX-M860が532万8750円。シリーズ全体で月産100台を予定している。


画面カスタマイズのほか、ユーザーごとに表示言語の切り替えも可能 MX-M860

ドキュメントシステム事業本部の中山藤一本部長
 シャープ ドキュメントシステム事業本部の中山藤一本部長は、「当社が1972年に複写機市場に参入して以来、今年で35年目を迎えるが、ハイボリューム市場は、市場が限定されており、開発投資回収が見込めないなどの理由からこれまで見送っていた。だが、昨今では、業界全体が高速機を求め、オンデマンド印刷が注目されるなど、ハイボリューム市場にもターゲットを拡大することができる判断した。セグメント5といわれる70~90cpmの市場は、2009年までに年率4%で成長し、91cpm以上のセグメント6市場は年率6.5%で成長を続けるとの予測も出ている。大手3社(富士ゼロックス、リコー、キヤノン)と肩を並べて事業を行うには、フラッグシップの製品が必要だと考え、今回の製品投入につながった」としている。

 一方、松本副社長は、「複合機を、液晶テレビ、携帯電話、太陽電池に続く、シャープの第4の柱に成長させたい。複合機を含む情報機器セグメントの2007年度の売上高は4590億円。このうちほとんどをドキュメント(複写機)事業が占めるが、単独で5000億円規模には拡大させたい。当社には、AVや情報通信、デバイスのリソースがあり、複合機と、PC、大型ディスプレイ、POSシステムとの連携など、エレクトロニクスメーカーならではの特徴を生かしたビジネスソリューションを提供できるだろう。ここを差別化ポイントにしていきたい」などとした。


ターゲットユーザー 複合機事業を同社の第4の柱に

カタログには吉永小百合さんを起用
 液晶テレビのイメージキャラクターに採用している吉永小百合さんを、今回の複合機の投入にあわせて、複合機製品分野のキャラクターとしても採用したという動きを見ても、同社が複写機事業を第4の柱へと拡大させる姿勢が明らかだといえよう。

 「全世界におけるA3中心の業務用複合機市場における当社のシェアは11%。これを15%にまで拡大したい」(中山本部長)としている。



URL
  シャープ株式会社
  http://www.sharp.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.sharp.co.jp/corporate/news/070529-a.html


( 大河原 克行 )
2007/05/29 15:53

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