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ブレードサーバー「c-Class」から飛び出している部分が、新製品の「Ultrium 448c」だ
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エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 ストレージワークス製品本部 プロダクトマーケティング部の松岡眞次氏
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日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は6月4日、ブレードサーバー「HP BladeSystem c-Class」(以下、c-Class)向けのテープストレージブレード「HP StorageWorks Ultrium 448c テープブレード」(以下、Ultrium 448c)を発表した。価格は39万9000円で、6月下旬より出荷を開始する。同時に、ブレードサーバーの導入を促進するためのキャンペーンも実施する。
Ultrium 448cは、LTO Ultrium 2対応のテープストレージ。テープ1巻で最大400GB(2:1圧縮時)の容量をバックアップ可能で、48MB/秒(同)の転送速度を持つ。c-Classのエンクロージャ(筐体)内に装着すると、隣接するサーバーブレードのバックアップストレージとして利用することができる。エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 ストレージワークス製品本部 プロダクトマーケティング部の松岡眞次氏は、この製品の特徴について「SANを持たない、拡張を望まない顧客に最適な製品。筐体に挿すだけなので展開が容易だ」と説明した。
またUltrium 448cでは、筐体内のほかのサーバーブレードからもネットワークストレージとして認識されるので、ネットバックアップが可能なバックアップソフトと連携することにより、データのバックアップが可能になるという。バックアップソフトは、自社製品のHP Data Protector、同 Expressに加えて、CA BrightStore ARCserve、Symantec NetBackupといったサードパーティ製品にも対応する。
なおテープブレードは、価格と容量のバランスが良いという理由でLTO2 Ultriumからの発売になっているものの、今後はさらに上位規格の製品も提供する予定としている。ただし、複数のテープカートリッジを格納できるテープライブラリ製品については、筐体内のスペースの問題もあり、提供は未定とのこと。
■ 筐体を315円で提供するキャンペーンも実施、中小規模市場への導入障壁を撤廃
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エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 インダストリースタンダードサーバ製品本部 プロダクトマーケティング部の山中伸吾プロダクトマネージャ
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通常のサーバーのDASに相当するところに、BASという新カテゴリを提唱する
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エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 インダストリースタンダードサーバ製品本部 プロダクトマーケティング部の山中伸吾プロダクトマネージャは、「エンタープライズ市場では確実に浸透している。これ以上伸ばすには、中小規模システム向けにやっていかなくてはいけない」と述べ、ブレードサーバーにおけるこれからの注力市場として、中小規模システム市場を挙げる。
同市場ではこれまで、システムにおけるネットワーク、サーバー、ストレージ、バックアップといった各構成要素の管理負荷や、システム構築時にかかるインプリメンテーションの手間などが問題になっていた。そこで日本HPは、システムの構成要素すべてをブレードサーバーの筐体内に入れてしまうという発想で、第3世代ブレードサーバーであるc-Classを投入。昨年11月に発売したストレージブレード「HP StorageWorks SB40c」やサードパーティ製スイッチブレードの発売などによって、「統合管理が簡単にできる」「挿すだけで構築できる」オールインワンのブレードサーバーとして販売を行ってきた。
同社ではさらにUltrium 448cを発売することにより、システム構築に必須となるバックアップもブレードサーバー内で可能にし、中小規模システムにおけるブレードサーバーの利用をいっそう促進していく考え。山中伸吾プロダクトマネージャは、ブレードサーバーの問題点について、「これまでは、DAS(Direct Attached Storage)に相当する領域がなく、中小規模市場で利用が進んでいなかった」と指摘。SAN、NASといった外付けのネットワークストレージの利用が事実上必須だったために、導入の足かせになっていた煩雑な管理・高いコストといった問題を、「BAS(Blade Attached Storage)」という新しい製品カテゴリに位置付けられる、Ultrium 448cなどのストレージブレードで解決すると説明した。
加えて日本HPでは、中小規模システムにおけるブレードサーバーの導入障壁を低くするため、「BLADE 3.0 HPに相談だ!キャンペーン」を7月末まで行っている。このキャンペーンは、サーバーブレードを3枚以上購入すると、通常63万円する筐体を315円に割り引くというもの。同時に、サーバーブレード、ストレージブレード、テープブレードや関連オプションの価格も30%割り引く。
このキャンペーンの意義について山中氏は、「ブレードサーバーには、どうしても『高い』という先入観があるし、本格導入前に検証しようとしても、筐体の価格がネックとなり、テスト用の予算では手が出ないケースもある。実は、キャンペーンを使わなくとも、ブレード3枚の利用であれば普通のラック型と同等の価格ではあるが、今回はさらに導入しやすい価格で提供する」とコメント。「一度購入した顧客は、便利さを知ってしまうと、次もブレードサーバーになる可能性が高い」とも述べ、リピーターを狙っていく姿勢を示した。
■ URL
日本ヒューレット・パッカード株式会社
http://www.hp.com/jp/
ニュースリリース
http://www1.jpn.hp.com/info/newsroom/pr/fy2007/fy07-106.html
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( 石井 一志 )
2007/06/04 14:22
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