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シン・プロビジョニング機能などが追加されたiSCSIストレージ「PSシリーズ」
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従来のプロビジョニングと異なり、シン・プロビジョニングでは物理ストレージにとらわれないボリューム設計が可能になる
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シン・プロビジョニング機能を利用する「ThinPro-Vista」ボリュームには、ボリューム全体の1/10にあたる80GBしか物理ストレージが割り当てられていない
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イコールロジック株式会社は6月26日、iSCSI対応ストレージアレイ「PSシリーズ」のソフトウェアが持つ機能を拡張すると発表した。物理容量以上のボリューム割り当てを可能にする「シン・プロビジョニング」機能や、ロールベースの管理機能を追加する。新ソフトウェアの提供は6月29日より開始される予定。
イコールロジックは、iSCSIに注力しているストレージベンダ。SATA/SASベースのiSCSIストレージアレイであるPSシリーズを主力製品として展開しており、採用しているHDDの容量と、搭載するコントローラ(シングル/デュアル)の違いによって、SATAモデル5製品、SASモデル3製品をラインアップしている。エントリーのSATAモデル「PS50E」では最大1.75TB、最上位のSATAモデル「PS400E」では最大10.5TBの物理容量を搭載可能であり、複数の筐体をグループ化することで容量の拡張も行える。
今回は、このPSシリーズで利用するソフトウェアの機能を拡張した。その目玉であるシン・プロビジョニングは、各ボリュームに対して、実際に存在する物理HDDの容量以上の割り当てを可能とする機能。従来は、数年先に必要になると考えられる容量をあらかじめ考慮し、各ボリュームの容量を多めに用意していたため、ストレージの使用量はおおむね50%以下に抑えられていたという。
しかし、シン・プロビジョニング機能を利用すると、実際に物理ストレージを用意していなくとも、任意の容量をボリュームとして設定できるので、スタート時には必要最小限度のストレージを用意すればよい。従って、あらかじめ多めの容量を想定してプロビジョニングをしておいても、実際に存在する物理HDDは少なくて済み、初期投資コストを押さえることが可能になる。「従来のやり方では、使わないと分かっていても最初から大きな容量が必要だったので、初期コストが膨大になっていたが、シン・プロビジョニングを利用すれば問題を解決可能だ。ストレージ利用率の改善も見込めるほか、定期的な再プロビジョニングが不要になるメリットも提供できる」(米EqualLogicのマーケティング担当副社長、ジョン・ジョセフ氏)。
シン・プロビジョニングを利用する場合でももちろん、容量の増加に従って物理ストレージの追加が必要になるが、この際にはPSシリーズの特徴である、ストレージ追加の容易さが生きるという。PSシリーズはシャーシ内にコントローラとHDDの双方を内蔵しており、ストレージのグループ(ストレージプール)への追加を数分程度の短時間で行える柔軟性を持つとのこと。製品発表会の場で実施したデモンストレーションでも、新たなアレイを5分程度で利用可能な状況にして見せた。
もちろん、シン・プロビジョニングを利用しないことも可能で、ボリューム作成後にシン・プロビジョニングを利用することや、十分な空き容量があれば、シン・プロビジョニングのボリュームを通常のボリュームに戻すこともできる。「顧客に選択肢を与えることを重視しており、試してだめならば、すぐに基本設定へ戻せるような能力を備えている点も特徴といえる」(ジョセフ副社長)。
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米EqualLogicのマーケティング担当副社長、ジョン・ジョセフ氏
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一方、管理機能の強化として、ロールベースの管理機能が導入された。この機能を利用すると、ストレージプールごとに別の管理者を指定でき、権限を委譲された管理者は、許可されたプール内でのみオブジェクトの変更を行えるようになる。これによって、管理者の負担を分散できるほか、ASP/ISPによるホスティングモデルでも利用可能とのことで、適用範囲の拡大が期待されている。
なお同社の特徴としては、ソフトウェアによって提供する機能はすべて標準機能とし、追加オプションなどは一切設定しないということがある。今回のシン・プロビジョニング機能やロールベースの管理機能もその例に漏れず、新規ユーザーや、保守契約を締結している既存ユーザーに対しては無償で提供されるという。ジョセフ副社長も、「高度な機能であっても包括的なパッケージの一環であり、すべて追加費用なく提供する点が他社との違い」とこの点をアピールした。
■ URL
イコールロジック株式会社
http://www.equallogic.jp/
ニュースリリース
http://www.equallogic.jp/pr20070626-01.html
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・ 「今こそiSCSIが採用される時期だ」-米EqualLogicが日本法人設立(2007/04/12)
( 石井 一志 )
2007/06/26 14:56
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