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日本IBM、POWER6初搭載のミッドレンジサーバー上位機を発表

「i5/OS」最新バージョンの開発意向も表明

IBM System i 570

システム製品事業 システムi事業部長の皆木宏介氏

既存ユーザーの高度なシステムへの切り替えや、他社メインフレームからの置き換えなどを狙っていくという
 日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)は7月25日、ミッドレンジサーバーのハイエンドモデル「IBM System i 570」を9月14日から出荷開始すると発表した。あわせて、ミッドレンジサーバー用OSの最新版となる「i5/OS」Versin6 Release1(V6R1)の開発に着手する意向を明らかにするとともに、System i上のWebアプリケーション利用を推進するソフトウェア2製品も新たに発表された。

 今回発表したIBM System i 570は、System iシリーズでは初となる、次世代プロセッサ「IBM POWER6(4.7GHz)」を搭載した点が大きな特徴。これにより、従来のPOWER5プロセッサ搭載モデルに比べて2倍のパフォーマンス、約2.7倍の価格性能比、さらには1.7倍のエネルギー効率の改善を実現したという。

 また、System i独自の統合された管理機能を利用できるほか、POWER6採用によるサーバーの電力使用量削減、プロセッサやメモリの利用量に応じた課金を行う「キャパシティ・オン・デマンド」にも対応している。さらに、既存のハードウェアとソフトウェア資産を継承できるとともに、高度な仮想化機能により異種のシステム環境の統合化も可能となっている。価格は、最小構成で6227万円から。

 システム製品事業 システムi事業部長の皆木宏介氏は、新製品の発表にあたりSystem iシリーズの販売戦略について触れ、「2007年、System iでは、特に新規顧客の開拓に力を注いでいる。これに向けて、他社機からの置き換え施策を強化、推進するとともに、BPやISVといったパートナーとの協業にも積極的に取り組んでいる。さらに、Web 2.0やPHPなどニューワークロードへの対応も強化している」と説明した。

 また、「大企業をメインターゲットに、既存ユーザーの高度なシステムへの切り替えはもちろん、新規顧客の他社メインフレームからの置き換え、また複数のUNIX/x86サーバーを使用している顧客のサーバー統合を推進するプラットフォームとして新製品を位置付け、強く提案していく」(皆木氏)考え。具体的な拡販施策としては、他社乗り換え専任のテレセールスチーム「Winback」部隊による新規案件発掘の取り組みをさらに強化するほか、パートナーと協力し、他社製品からの乗り換えを実現したISVソリューション成功事例の横展開を積極的に進めていく方針だ。


米IBM パワーシステムズ i5/OS&システムiプロダクトオファリングス担当マネージャーのイアン・ジャーマン氏
 さらに今回は、ミッドレンジサーバー新製品の発表にあわせて、ミッドレンジサーバー用OS「i5/OS」の最新バージョンV6R1の開発意向も表明された。米IBM パワーシステムズ i5/OS&システムiプロダクトオファリングス担当マネージャーのイアン・ジャーマン氏は、「V6R1では、さまざまな機能拡張が行われるが、特に重点的に取り組んでいるのがセーフコンピューティング、先進的な仮想化、Webベースのマルチ・プラットフォーム・システム管理、SAN統合の拡大の4点だ」と述べた。

 具体的な機能強化ポイントとしては、「セーフコンピューティングでは、データベースの暗号化だけでなくバックアップやデータストアの暗号化を実現するほか、不正進入防止機能およびシステム完全性の強化を図っていく。先進的な仮想化については、ビジネスの統合に不可欠な複数論理区画におけるi5/OS用ディスクの統合を可能にする仮想化機能を拡張する。また、Webベースのマルチ・プラットフォーム・システム管理としては、クロス・プラットフォームのシステム管理ツールIBM System Directerをサポートし、これにより、i5/OSを始めとするすべてのIBMプラットフォームを簡単にシステム管理することが可能になる。そして、SAN統合の拡大については、IBMのストレージとSystem iの統合をさらに進めるため、新しいファイバーアダプタとツールへの投資を行い、相互運用性とパフォーマンスの向上を図っていく」(ジャーマン氏)と説明した。このほか、JavaやPHPといったWeb環境向けの開発環境も強化される予定で、2008年中をめどに新バージョンV6R1を提供開始するとしている。

 なお、System iにおけるWebアプリケーション利用の推進に向けて、新たに発表されたソフトウェアは、「MySQL Enterprise Server for i5/OS」と「IBM DB2 Web Query for System i」の2製品。

 「MySQL Enterprise Server for i5/OS」は、オープンソースのデータベースソフトウェア「MySQL」のi5/OS対応版。これにより、MySQLベースのアプリケーションをi5/OS上で利用することが可能となる。8月17日から提供開始する予定。将来的には、i5/OSにおけるストレージエンジンとしてMySQLとDB2を統合することも計画しており、DB2 for i5/OSを通してMySQLベースのアプリケーションを管理できるようにしていく考え。

 「IBM DB2 Web Query for System i」は、i5/OS上でのWeb環境向けのデータ収集や分析を実行するビジネスインテリジェンス(BI)ツール。これまで提供していた「Query for iSeries」の機能強化版となり、従来に比べてより洗練されたレポートをさまざまなフォーマットで出力できるほか、Webブラウザからもレポートの閲覧が可能となった。また、有償オプションによって、多次元のデータマイニングを可能とするOLAP機能も利用できるようになる。価格は、最小構成で33万6000円からとなり、11月16日から提供開始する予定。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  プレスリリース
  http://www-06.ibm.com/jp/press/20070725002.html

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( 唐沢 正和 )
2007/07/25 17:05

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