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iStorage HSシリーズ
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コンピュータソフトウェア事業本部長の山元正人氏
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日本電気株式会社(以下、NEC)は9月19日、バックアップ向けクラスタストレージ「iStorage HSシリーズ」を発表した。EMC NetWorker、BrightStor ARCserve、Veritas NetBackupといった主要バックアップソフトに対応する。出荷は、まず9月26日から北米で開始され、国内では11月26日の出荷開始となる予定。
HSシリーズは、グリッド技術を採用したバックアップ向けストレージ製品。コントローラ部に相当する「アクセラレータノード」と、HDDを格納する「ストレージノード」から構成されており、アクセラレータノードを増設することで、リニアにスループットを拡張可能なほか、ストレージノードの増設でバックアップ容量を拡大できる。また、ノードの追加は無停止で行え、負荷分散やストレージ内のデータ再配置を自動実行する機能も備えているため、運用に際しての負荷も最小限にできるという。
バックアップデータについては、物理的な圧縮技術だけでなく、ブロックレベルで重複データを検出し、重複しないデータのみをストレージへ格納する「DataRedux」技術を利用することで、高い圧縮効果を実現。北米の顧客で実施した早期導入検証では、1/20~1/50のデータ削減を達成したという。HDDは、SATA接続の500GB製品を利用。1ストレージノードあたり1.7TB(非圧縮時)の論理容量を備えており、20倍圧縮時で34TB分のデータを格納できる。ストレージノードは最大162基、224TB(非圧縮時)まで拡張可能だ。
また信頼性を確保するため、最大で3つのノードが同時に故障してもデータが失われない「Distributed Resilient Data(DRD)」技術を採用した点も特徴。データに冗長ブロックを付加し、複数ノードへ分散格納するこの技術により、高い信頼性を実現したという。コンピュータソフトウェア事業本部長の山元正人氏は「DataRedux技術を採用しているがゆえに、障害時の被害は甚大。これをカバーするために、HDD障害をカバーするだけのRAID技術を超える、DRD技術を採用した」と述べた。
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重複排除技術を利用することで、高い圧縮率が得られたという
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3重のハードウェア障害に対処できる高い信頼性も実現した
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執行役員常務の丸山好一氏
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バックアップ/リストアの速度に関しても、圧縮効果や、ランダムアクセスが可能なHDDベースストレージならではのメリットを生かし、テープライブラリを超える高速な作業が可能になったとのこと。なお、アクセラレータノードは通信用のGbEポート×2を備えており、バックアップサーバーからはCIFS/NFSでマウントして、NASのように利用する。またアクセラレータノードとストレージノードもGbEで接続し、IPベースの独自プロトコルで通信させるとのこと。
執行役員常務の丸山好一氏は、「バックアップ/リストア時間の増大やテープメディア管理の問題から、ディスクtoディスクのバックアップは非常にニーズが高いものの、テープに比べてコストが高いため、テープライブラリにバックアップをせざるを得なかった。しかしHSシリーズでは、これらの課題を、テープ並みかそれ以下のコストで解決できる」と述べ、新製品をアピールしていた。
価格は、専用キャビネット、アクセラレータノード×2、ストレージノード×4、基本ソフトといったコンポーネントが含まれる最小構成時で2400万円から。丸山氏は、「海外事業拡大のための戦略製品に位置付けており、圧倒的な製品力で海外ビジネスを拡大する。北米では9月から出荷し、欧州・アジアも来年度早々に出荷したい」と話し、海外展開に力を入れていく意向を示した。NECでは、この製品などによってストレージ事業を強化し、今後3年間に1500億円の販売を目指す。
■ URL
日本電気株式会社
http://www.nec.co.jp/
プレスリリース
http://www.nec.co.jp/press/ja/0709/1901.html
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