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日本IBMと三洋、世界初のデータセンター向け省エネ型空調サービス

サーバーラック後部ドアに局所冷却技術を結集

会見で握手する日本IBMの吉崎執行役員(左)と三洋電機の菅専務執行役員
 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)と三洋電機株式会社は10月23日、データセンター向け省電力化ソリューションとして、世界初となるサーバーラック後部ドア用の冷媒式マルチ空調サービス「IBM Refrigeration Rear Door Heat eXchanger」を発表した。

 このサービスは、サーバーラックの後部ドアに直接熱交換器を取り付けるIBMの特許技術「IBM Rear Door Heat eXchanger」と、三洋電機が新たに開発した局所冷却システム「enegreen 冷媒式マルチサーバークーラー」を組み合わせ、データセンターの省エネ型空調設備構築サービスとして日本IBMが販売および導入設置サービスを提供するもの。

 日本IBM 執行役員ITS事業担当の吉崎敏文氏は、新サービスの発表会見で、「IBMでは、データセンターのエネルギー効率化を実現するため全世界規模で『Project Big Green』に取り組んでおり、診断・建設・仮想化・管理・冷却という5つのアプローチを策定して、エネルギー効率の劇的な向上を目指している。今回発表したサービスは、このうちの冷却を効率的に実現するものと位置づけられる」と述べた。

 一方、三洋電機 専務執行役員コマーシャルグループ長の菅晃氏は、「三洋電機は、ブランドビジョン『Think GAIA』を掲げて、地球温暖化防止など環境問題に取り組み、CO2削減に貢献する地球に優しい省エネ空調・冷熱技術の開発を行っている。日本IBMとは約2年前から、環境問題に貢献できる新しいサービスの実現に向けて共同で取り組んできたが、今回、その成果を形にすることができた。この空調サービスが、全世界中のデータセンターに採用された場合、CO2抑制効果は年間約222万トンにもなる」と説明した。
【お詫びと訂正】初出時、菅氏の名前を誤って記載しておりました。あわせて、三洋電機の社名を一部誤って記載しておりました。お詫びして訂正します。


日本IBM 執行役員ITS事業担当の吉崎敏文氏 三洋電機 専務執行役員コマーシャルグループ長の菅晃氏 三洋電機とIBMの環境問題への取り組み

IBM Refrigeration Rear Door Heat eXchangerの特徴

IBM Rear Door Heat eXchangerのしくみ

サーバーラックの後部ドアに局所個別冷却の技術を結集
 今回の空調サービスに採用されたIBMの特許技術「IBM Rear Door Heat eXchanger」は、サーバーラックの後部ドアに熱交換器を取り付けることで、最も高温となるサーバー後部から直接、排熱を50%削減するという。そして、このノウハウをもつ日本IBM大和研究所のサーバー冷却技術開発チームが、マルチタイプエアコン技術で世界トップレベルの省エネ効率を実現する三洋電機と協力し、新たに省エネ型の局所冷却システム「enegreen 冷媒式マルチサーバークーラー」を開発した。

 同システムでは、サーバー後部ドア内に局所個別冷却の技術を結集。ラック内部の異なる温度のサーバー負荷に対応するため、専用に開発した低圧損型熱交換器を上下2段に分割搭載し、冷媒流量をそれぞれ独立制御する。具体的には、室外ユニットに採用した高効率の「DCインバータコンプレッサ」1台と「AC定速コンプレッサ」2台が、10~100%までの範囲で空調能力を無段階に可変し、制御を行う。さらに、サーバークーラーの冷媒としては、新冷媒「R410」を採用。熱搬送能力が大きいだけでなく、オゾン層破壊係数がゼロのため、高効率と地球環境への配慮を兼ね備えた冷媒を実現する。

 また、複数の温度センサーをラックの吸い込み側と吹き出し側の両方に搭載し、室温と熱交換器の温度を綿密に制御運転することで、サーバークーラー後部ドアに組み込まれた熱交換器の結露を防止することができる。

 これらによって、従来の部屋全体空調システムと比較し、同じ熱量を冷却するのに年間で最大約50%以上の消費電力を削減することが可能だという。加えて、サーバーラックからの排熱を約50%削減できるため、データセンターの室内空調と併用することで、データセンター全体としては最大25%以上の消費電力削減が期待できるとしている。

 データセンター向けの高信頼性を実現する機能としては、「コンプレッサ自動バックアップ運転」機能を搭載。万一、コンプレッサが故障した場合でも、ほかのコンプレッサが継続運転可能なため、サーバーラック冷却の完全停止を回避できる。また、遠隔監視アダプターを追加することで、三洋電機の業務用空調機器遠隔監視システム「サンエスネット」への接続も可能となり、専門の技術者が24時間365日、室外ユニットの異常を常時監視する。

 サービス提供価格は、ラック3台の場合、1800万円程度(室外ユニット1台、標準工事費含む)で、受注生産方式のため、受注から納品、設置工事までを含めた導入期間は2.5カ月程度となる。販売目標は、ラック数で初年度15件を見込んでいる。

 販売促進策としては、稼働データの取得に協力できる顧客に対しては、先着10ドアを約2割引で提供するほか、11月29日開催予定の「Project Big Green」のユーザー向けセミナーでも同サービスを紹介していく予定。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  三洋電機株式会社
  http://www.sanyo.co.jp/
  プレスリリース
  http://www-06.ibm.com/jp/press/20071023001.html


( 唐沢 正和 )
2007/10/23 15:33

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