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NEC、CPU単一コアで100GFLOPS超を実現したベクトルスーパーコンピュータ |
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SX-9は、ナノテクノロジのシミュレーションのような最先端研究分野、気象・気候解析のような大規模シミュレーション分野などで利用されるスーパーコンピュータ。研究開発のツールとして利用されるのだが、そこでのニーズを、第一コンピュータ事業本部長の西川岳氏は次のように説明する。「研究者の目的は研究成果をいち早く出すこと。生産性を上げるには、プログラミングがしやすく、シミュレーションはとにかく短時間で終わらせなくてはならない」。そこで「使いやすさと高性能の両立をめざした」（同氏）のが、今回のSX-9である。 最大の特徴は、単一コア当たり10億回/秒の浮動小数演算性能に値する102.4GFLOPS（ギガフロップス）を実現した、新規開発のSX CPU。最大16GFLOPSのSX-8と比べて、6倍強の性能である。 西川氏は、「演算性能の向上が鈍化している汎用スカラCPUで同等の性能を実現しようとした場合、相当数のコアを並べなければいけない。その上で、並列化やチューニングといったことが必要となり、研究者にとっては多大なオーバーヘッドとなる。一方、単一コアでこれだけの性能が出せるSX-9では、並列化が不要なため、作業が非常に楽になる。また、複数のコア間での通信も不要になるので、高い実効性能が実現可能」とアピールした。 拡張性としては、同CPUを最大16個搭載し、演算性能1.6TFLOPS、1TBの容量からなる大規模共有メモリを搭載したノードが構築可能。さらに同ノードを最大512台までつなげることで、839TFLOPS（テラフロップス）まで性能を引き上げられる。自動並列化にも対応するため、安定した実効性能を実現できるという。
NECはCPUから、LSI、インターフェイスに至るまで、すべてを自社開発している。例えば、PCI-Ex比2倍の電力効率のシリアルインターフェイス回路技術や、LSI内のノイズを減らす解析技術、さらにはPCI-Ex比6倍の高速伝送が可能なケーブル技術などだ。こうした技術の結晶が、256GB/秒のメモリバンド幅であると西川氏は語った。 実際の性能としては、気象予測計算分野でスカラ機性能比でおよそ3～4倍、物質中の電子状態を計算するような物性計算分野では、4～7倍のパフォーマンスが実現できたとしている。 また、こうした性能向上の一方で、同氏は「HPC（High Performance Computing）の分野でも電力問題が顕在化、電力効率が問われている」とし、環境に対するSXの省電力化への取り組みを紹介。「SX-9では、デバイス・チップ・筐体・マシン室各レベルでの電力削減施策が適用されており、消費電力で3.6倍、設置面積でも3.9倍の向上を果たしている」と述べた。 「当社では、HPCといえど、高性能化だけをめざせばよいとは考えていない。今回の製品も性能を前面に押し出してはいるが、ユーザーの使い勝手にも注力している。同時に電力効率にも力を注ぎ、年率20％で省電力が進められている。今後もこうした努力を継続しつつ、性能面でもベクトルとスカラを組み合わせたハイブリッドシステムの実現をめざしていく」とHPC事業の戦略を語った。 SX-9の価格は、月額レンタル料298万円から。NECでは、今後3年間で700システムの販売を見込む。 ■ ＵＲＬ 日本電気株式会社 http://www.nec.co.jp/ プレスリリース http://www.nec.co.jp/press/ja/0710/2501.html
（ 川島 弘之 ）
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