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米Intel デジタル・エンタープライズ事業本部 副社長兼サーバー・プラットフォーム事業部長のカーク・スカウゲン氏
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旧世代のシングルコアItanium(上、コードネーム:Madison)と、現行のデュアルコアItanium(下、コードネーム:Montecito/Montvale)
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インテル株式会社は10月31日、エンタープライズ市場における取り組みを説明する「インテル・デジタル・エンタープライズ・アップデート・ミーティング」を開催。米Intel デジタル・エンタープライズ事業本部 副社長兼サーバー・プラットフォーム事業部長のカーク・スカウゲン氏より、近日発表予定の45nmプロセス製品「クアッドコア インテルXeonプロセッサ5400番台」(以下、クアッドコアXeon 5400番台)、および同日発表した新製品「デュアルコア インテルItaniumプロセッサ9100番台」(コードネーム:Montvale、以下、Itanium 9100番台)を中心に、同社のエンタープライズ市場向け戦略の現状および製品ロードマップの最新情報などが説明された。
スカウゲン氏の発表に先立ち、インテル 技術本部長の及川芳雄氏は、同社のサーバープラットフォームへの取り組みについて、「現在、サーバープラットフォームでは高性能と省電力、仮想化技術、信頼性といった課題に直面しているが、こうした課題解決に向けて、包括的に取り組んでいくことがインテルの役割。標準的な技術、オープンな環境において、業界各社と協業して課題解決へのソリューションを開発提供できることはインテルの強みであり、これが業界におけるリーダーシップを維持する鍵であると考えている」と述べた。
スカウゲン氏は、まず同社のサーパープラットフォームの製品戦略について、「シングル、デュアル、クアッドといった性能別にセグメントするのではなく、これからは、サーバーが使われる用途別の視点から製品セグメントを行っていく」ことを明らかにし、用途別セグメントとして、Mission Critical、Expandable、Efficient Performance、Entry、Workstationsの5つを挙げた。このうち、Mission Critical分野ではItaniumを中心に展開し、その他すべての分野をXeonでカバーしていく方針。
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Xeonのラインアップ
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Xeonのロードマップとしては、「今後1カ月以内に、現在のXeonプラットフォームを用途別セグメントごとに完全リフレッシュする」(スカウゲン氏)計画で、すでにExpandable分野向けには「Xeon 7300番台」を出荷。今後Entry分野向けには、シングルソケットタイプの「Xeon 3200番台」を、そしてEfficient PerformanceおよびWorkstations分野向けには、45nmプロセス技術を採用した「クアッドコアXeon 5400番台」を近日中に投入する予定だ。
クアッドコアXeon 5400番台についてスカウゲン氏は、「改良版のインテルCoreマイクロアーキテクチャを採用し、45nmプロセス技術で製造された第2世代のクアッドコア製品と位置づけられる。この最新プロセッサに移行することで、ユーザーは同じクロック周波数でより高い性能を実現でき、現状より高いクロック周波数ではさらに高い性能を実現することが可能となる。また、優れたエネルギー効率を実現できるのも特徴」と説明した。この製品は、11月12日に正式発表されるという。
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Itaniumについては多くのベンダーがサポートを表明している
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コアレベル・ロックステップの仕組み
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デマンド・ベース・スイッチングの仕組み
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次に、Mission Critical分野向けに展開するItaniumの現状について、「当初、約20社で発足したItanium Solutions Alliance(ISA)のメンバー企業は、現在200社を超えており、100億ドルの投資が行われている。エンドユーザーへの導入実績も15万4000件以上となり、1万2000を超えるネイティブアプリケーションが展開されている。2007年第2四半期には、10億ドルの販売金額を計上した」(スカウゲン氏)とし、好調に市場成長を続けていることを強調した。
このItanium系の次世代製品として、同日発表されたのがItanium 9100番台。同製品は、ミッションクリティカルなハイエンドのアプリケーションを稼働させるため、信頼性を向上させながら、電力消費を低減する高度な機能を備えており、独自仕様のRISC製品からItaniumベースサーバーへの移行をさらに加速するものと位置づけられている。
新機能として、プロセッサコア内で起こるエラーの検出を確実に行うことでデータの完全性とアプリケーションの信頼性を向上する新技術「コアレベル・ロックステップ」を搭載。これによって、Mission Critical分野へのサポートをさらに強化している。このほか、サーバーの利用が低い時の消費電力を削減する新機能「デマンド・ベース・スイッチング」により、エネルギーコストの低減にも寄与する。
性能面では、最高1.66GHzの動作周波数、667MHzのフロントサイドバス(FSB)を備え、104W内での消費電力で動作。2つのプロセッサとチップセットが同じバスに搭載された3ロードバスによって、エンタープライズおよびハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)での使用において、優れた能力を発揮するという。
ラインアップは、デュアルコア製品が6種類、シングルコア製品が1種類で、すべて本日より出荷を開始する。またロックステップ機能付きモデルについては、2008年第1四半期からの出荷開始となる。今後、日本SGI、NEC、日本HP、富士通、日立製作所、日本ユニシスなど、ISAに加盟しているすべてのサーバーメーカーから、新プロセッサを搭載した製品が発売される予定。
なお、Itaniumの将来ロードマップとして、「Tukwila」「Poulson」「Kittson」という3世代先までの製品開発が進められていることを明らかにし、インテル初の20億トランジスタ搭載チップを採用する次期Itanium、Tukwilaのシリコンを国内初公開。「今回のミーティングに合わせて、工場から直接運んできた」(スカウゲン氏)という。Tukwilaについてスカウゲン氏は、「クアッドコア、ハイパースレッディングテクノロジー、統合メモリコントローラ、高速インターコネクトといった特徴を備え、新製品のItanium 9100番台に比べて最大2倍のパフォーマンスを実現する。約1年後の製品発表を予定しており、これによって、Mission Critical分野にさらなる価値を提供できる」との期待を述べた。
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Itanium 9100番台では、継続的な性能の向上を実現している
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次期Itanium「Tukwila」のシリコンを国内で初公開した
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Itaniumの製品ロードマップ
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■ URL
インテル株式会社
http://www.intel.co.jp/
プレスリリース
http://www.intel.co.jp/jp/intel/pr/press2007/071031.htm
( 唐沢 正和 )
2007/10/31 18:19
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