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日本IBM、4GHzのPOWER6を搭載したブレードサーバー「BladeCenter JS22」

中堅企業への価値を拡大

専務執行役員 システム製品事業担当のジム・グレゴリー氏

IBM BladeCenter JS22
 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は11月7日、POWER6プロセッサ(4GHz)搭載ブレードサーバー「IBM BladeCenter JS22(以下、JS22)」を発表した。最小構成価格は93万2505円からで、11月30日より出荷を開始する。

 JS22は、業界で初めてPOWER6プロセッサを搭載したブレードサーバー。BladeCenterの製品コンセプトは、「ユーザーのさまざまなニーズに合わせた正しい選択が可能という“RIGHT”、柔軟なオープンプラットフォームの“OPEN”、導入・統合・管理が容易な“EASY”、環境に優しい“GREEN”の4つのキーワードで表される」(専務執行役員 システム製品事業担当のジム・グレゴリー氏)。これを満たすため5種類のブレード、5種類のシャーシを投入し、どのようなニーズにも応えられるのが日本IBMの強みという。

 今回発表されたJS22は、WebアプリケーションからHPC(High Performance Computing)までの幅広い用途に向け、さらなる性能向上と高い可用性を実現した製品。中でも特に中堅企業向けのブレード市場をさらに拡大する意図が強く込められている。

 「2007年は、BladeCenter発表から5周年。当初は、ISPやデータセンター事業者の特定用途にのみ利用されていたブレードサーバーだが、最近はWebサーバーや基幹サーバーなど一般的なニーズが増えるとともに、中堅企業においても、トータルコストの面からブレードサーバーが注目を浴びるようになってきた。JS22は、POWER+BladeCenterの相乗効果で、そうした中堅企業のニーズも確実に拾い上げる製品となっている」(システム製品事業 ブランド・マーケティング担当の田口光一氏)。

 具体的な特長は、4GHzのPOWER6プロセッサを4コア構成で搭載した点。POWER6では、統合アクセラレータを搭載し10進浮動小数点演算に対応する高い性能に加え、標準で仮想化機能「Advanced POWER Virtualization(APV)」をサポートするため、HPC、インフラ統合、OLTPやBIなど多様なニーズに最適としている。また、電力消費量を管理する「EnergyScaleテクノロジ」にも対応。ブレードサーバーに求められる省エネ性を実現した。

 グレゴリー氏は、「JS22なら、23ラック相当の5Uサーバーと同等規模のシステムを、わずか1ラックで実現できる。設置スペースで最大95%、Ethernetケーブルで71%、電源ケーブルで86%の削減が可能。これらにより、消費エネルギーとしては最大92%削減できる」とアピール。

 対応シャーシは、ハイパフォーマンスと堅牢性を追求する「BladeCenter H」および「同 HT」。同 Hでは最大14枚、同 HTでは最大10枚、JS22を収納することができる。BladeCenterファミリーの共通アーキテクチャを採用するため、ほかのBladeCenterブレードサーバーとの混在も可能だ。今後は、10月22日に発表された中小向けシャーシ「BladeCenter S」にも対応する予定。対応OSは、AIXおよびLinux。こちらも今後、System i5/OSにも対応する予定。

 BladeCenter Sとi5/OSへの対応は、2008年第1四半期以降とのこと。これによりさらに中堅企業への導入促進を図る意向だ。


BladeCenterファミリーのコンセプト JS22製品の位置づけ。仮想化されたエンタープライズサーバーと、集積度の高いブレードサーバー、それぞれのメリットを活かす JS22製品サマリー

システム製品事業 ブランド・マーケティング担当の田口光一氏
 また、新製品投入とともに施策も豊富に取りそろえた。今回のJS22発表に先立って10月3日に「バリュー・パートナー・プログラム(VPP)」を拡大し「System p VPP」を発表したほか、パートナー各社と共同でセミナーを開催するためのマーケティング支援プログラム「Seminar in box」の提供もスタートしている。System p VPPに対しては、研修費用を一部負担するスキル認定支援なども行っていく予定だ。

 さらに「これまでの大企業向けのサポートでは十分ではない」(田口氏)とし、より中堅企業を意識した製品・販売支援強化も行う方針。具体的には、「BladeCenter SやSystem i5/OS対応のほか、これまで大企業に直接IBM技術者が技術支援を行っていたところを、よりすそ野の広い中堅市場に対応するため、ディストリビュータ経由で技術支援を行える体制を整える」(同氏)とのこと。

 同日からは3Dインターネット空間を通じたマーケティング活動を開始する。セカンドライフの「IBM Japan Plaza」内に、BladeCenterの展示場に見立てた情報提供コーナーの試験運用を開設した。発表会では、実際にセカンドライフにログインして紹介するデモが行われ、展示された製品を見るばかりか、シャーシからブレードを取り出すなど、分解して見学できる様子が実演された。


セカンドライフ内にBladeCenter情報提供コーナーを開設 JS22も展示されている 展示された製品を分解することも可能


URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  プレスリリース
  http://www-06.ibm.com/jp/press/20071107002.html

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  ・ 日本IBM、ストレージを一体化した中小向け統合型シャーシ「BladeCenter S」(2007/10/22)


( 川島 弘之 )
2007/11/07 15:11

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