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ブレードなのにタワー型!? 日本HPが新形態のブレードサーバー筐体を発表


 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は1月28日、中小向けタワー型ブレードエンクロージャ「HP BladeSystem c3000 タワーエンクロージャ(以下、タワー型c3000)」を発表した。同日より販売を開始する。

 同製品は、2007年9月に発表された「BladeSystem c3000(以下、従来型c3000)」に続く、中小向けブレードエンクロージャ。両者を比べると、格納ブレード数8枚・冷却ファン6台・電源4台・DVDドライブを標準搭載し、一般オフィスのAC100V電源に対応するといった機能面では何も変わらない。唯一異なるのは、ブレードエンクロージャでは業界初というタワー型形状を採用し、底部にキャスターを備える点のみという、非常にユニークな製品となっている。


HP BladeSystem c3000 タワーエンクロージャ 背面 側面

エンタープライズ ストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 プロダクトマーケティング部の山中伸吾氏

タワー型サーバーと高さ・幅で同等のサイズを実現
 こうした製品を投入した理由は何か。エンタープライズ ストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 プロダクトマーケティング部の山中伸吾氏は「ブレードサーバー市場において、日本HPが未開拓の中小規模案件。そのユーザーの声を率直に反映したらこうなった」と語る。

 中小・中堅企業では、30%近いの顧客がブレードサーバー導入の必要性を感じつつも、「筐体やラックのサイズの問題」「切り替えスイッチなどの設置スペースの問題」「特殊な200V電源の問題」「価格の問題」などで導入に踏み切れないでいるという。

 そこでタワー型c3000の出番だ。タワー型なので当然ラックは不要。大きさもタワー型サーバーと比べて奥行きこそ長いものの、高さと幅ではほとんど変わらないサイズを実現している。さらに遠隔管理機能「Integrated Lights-Out」、統合管理画面「Onboard Administrator」により、ネットワーク越しにリモート管理が可能。専用のディスプレイ・キーボード・マウス・切り替えスイッチなどを不要とし、筐体につなぐケーブルは電源ケーブル×2本とLANケーブル×1本のみで済んでしまう。「これに8枚のブレードを格納できるのだから、オフィス内にタワー型サーバーが乱立していて、ケーブルが複雑に絡まり合っている状況は一気に改善する」(山中氏)というわけだ。

 ただし場合によってはKVMが必要になる場合もあるだろう。そこで今回、USBポート×2、ディスプレイ用端子(ミニD-Sub15ピン)×1を備えた「KVMオプション」も同時発売される。価格は4万2000円からで、2月上旬より出荷を開始する予定としている。

 電源の問題も、AC100Vに対応するので、工事不要で壁コンセントがそのまま利用できる。また従来型c3000で新開発された小型高効率パワーサプライにより、AC100VでもクアッドコアCPUなど強力な製品もフル搭載できるという。


Onboard Administrator Onboard Administratorと筐体前面の小型ディスプレイ「Insight Display」の表示は連動している トラブル発生時にはアラートのほか、解決策のアニメーションまで表示してくれる

 価格は61万7400円から。ただし国内シェア1位を記念して、現在日本HPでは、「ブレードエンクロージャが315円、210円 BLADE 3.0ありがとうキャンペーン」を実施。ブレード2枚を購入するとブレード自体の本体価格が30%引きになる上、c7000エンクロージャが315円、c4000エンクロージャが210円で購入が可能となっている。「これにより、タワー型サーバーを2台、ネットワークスイッチを1台の価格と、エンクロージャ・ブレード2枚にバーチャルコネクトと5年間24時間保守をつけた価格がほとんど変わらなくなるので、ブレードは価格が高いから…と尻込みしているユーザーにも導入がし易くなるのではないか」(山中氏)としている。

 山中氏は同製品での戦略を次のように語る。「システム拡張のステップとしては、タワー型サーバーからラックマウント型サーバー、次いでブレードサーバーへという流れが一般的。現在タワー型サーバーを利用しているユーザーには、ラックマウント型サーバーへの移行でさえ尻込みするケースがある。今回の新製品で、タワー型サーバーからいきなりブレードサーバーへ無理なく移行可能とすることで、従来のステップに革命的な変化を起こしたいと考えている」(山中氏)。



URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/
  ニュースリリース
  http://h50146.www5.hp.com/info/newsroom/pr/fy2008/fy08-044.html

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  ・ 日本HP、中小規模環境向けの小型ブレードサーバー筐体「c3000」(2007/09/13)


( 川島 弘之 )
2008/01/28 12:48

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