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日本IBM、次世代メインフレーム「System z10 EC」を世界に先駆け発表


IBM IT VISION 2008で世界初披露されたSystem z10 EC

日本IBM 代表取締役社長執行役員の大歳卓麻氏

米IBM IBMシステムズ&テクノロジー・グループ シニア・バイス・プレジデント兼グループ・エグゼクティブのビル・ザイトラー氏
 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は2月26日、同社のデータセンター向け新ビジョン“次世代エンタープライズ・データセンター”を実現する次世代メインフレームとして、「IBM System z10 Enterprise Class(EC)」を同日より出荷開始すると発表した。同日開催されたIBMビジネス・パートナー向けイベント「IBM IT VISION 2008」において、“次世代エンタープライズ・データセンター”戦略とともに世界に先駆け、日本で初披露された。

 IBM IT VISION 2008のあいさつに立った日本IBM 代表取締役社長執行役員の大歳卓麻氏は、「データセンターを取り巻く環境は、処理能力の向上にともなう電力使用量の増加、さらには運用・管理コストの増加が急速に進み、危機的状況にあるのが現状。こうした状況のなか、IBMではデータセンターの将来に向けた新たなビジョンとして、次世代エンタープライズ・データセンターを掲げている。今回、この新ビジョンとともに、その中核となる新製品System z10 ECを日本市場から世界初公開する。これは、同ビジョンにおいて日本市場が非常に重要なポジションにあることの現れだ」と述べた。

 同社の掲げる次世代エンタープライズ・データセンターは、ビジネスで必要なときに、必要な場所において、適切なITリソースを提供・管理・追跡するポリシー主導のシステムを利用することで、サービスとしてITを管理し、効率的なエンタープライズITの実現を目指すビジョン。

 今回のイベントの基調講演で、米IBM IBMシステムズ&テクノロジー・グループ シニア・バイス・プレジデント兼グループ・エグゼクティブのビル・ザイトラー氏は、「次世代エンタープライズ・データセンターは、簡素化、共有化、ダイナミックの3つのステップで進められる。まず、簡素化では、従来の環境を抜本的に見直し、個々のシステムの仮想化、および物理的な統合と最適化、そしてシステム、ネットワーク、エネルギーの管理によって新たな経済効果を目指す。次の共有化では、新規インフラおよびサービスの迅速な展開を図り、高度に仮想化されたインフラの整備、統合されたITサービス管理、計画的なグリーン対応を進めていく。最終段階のダイナミックでは、ITサービスの仮想化、ビジネスを加速させるサービス管理、サービス指向なITの提供を実現することで、経営目標への貢献を達成する。これに向けてIBMでは、オープンテクノロジーの活用、顧客やパートナーとのコラボレーションの推進、仮想化におけるリーダーシップを生かし、次世代エンタープライズ・データセンターの構築に力を注いでいく」考えを示した。


米IBM IBMシステムズ&テクノロジー・グループ System z担当ゼネラル・マネージャーのアン・アルトマン氏

拡がるSystem zの適用エリア
 今回発表された次世代メインフレームのSystem z10 ECは、この新ビジョンを実現するための要となる製品で、パフォーマンスの大幅な改善とともに、消費電力、冷却費用、および設置面積の各要件を緩和し、データセンターの効率を大幅に向上させることが可能となる。また、高レベルのセキュリティを提供し、たえず変化するビジネス状況に対応するために、ITリソースの管理およびトラッキングを自動化する。

 基調講演後に行われた報道向け説明会で、IBM IBMシステムズ&テクノロジー・グループ System z担当ゼネラル・マネージャーのアン・アルトマン氏は、「メインフレームの市場が停滞するなか、IBMのSystem zは顧客の課題を解決する専用プロセッサとして着実に適用エリアを拡大している。こうした背景のなか、今回の新製品では、革新的なテクノロジーを数多く採用することで、大幅な処理能力の向上を実現。1台のSystem z10で、約1500台のx86サーバーの処理能力に相当し、設置面積とエネルギーコストをそれぞれ最大85%削減できるとともに、ソフトウェアライセンス数を最大30分の1以下に統合することができる」と説明した。

 具体的には、エンタープライズ・クアッド・コア・テクノロジーを採用し、クアッドコア技術を用いたプロセッサを64個まで搭載することができるほか、それぞれを共有することも可能となっている。同製品のプロセッサチップには、POWER6チップとの共同開発による成果が生かされているという。このほか、スタートポロジーによる処理待ち時間の削減、6Gbps InfiniBandによるI/Oの高速化とカップリングリンクを実現している。これにより、従来製品のSystem z9と比較して、同数のCPU構成の場合、1.5倍のパフォーマンス向上、1.7倍のトータル処理能力の向上を図っている。

 さらに、次世代エンタープライズ・データセンターの構築を支援する機能として、特定のビジネスサービスや関連するITリソースに対してアクセスできるユーザーを認証、許可する「認証管理機能」、変化するビジネス状況に応じて実行する処理能力のプロビジョニングを自動化する「ジャスト・イン・タイム機能」などを提供。仮想化セキュリティとしては、米国政府の最高レベルのセキュリティである評価保証レベル5を備えている。


z10 ECチップとPOWER6チップの共同開発の成果 System z10 ECのパフォーマンスとキャパシティ System z10 ECの主な特徴

日本IBM 理事 システム製品事業 プラットフォーム メインフレーム事業部長の渡邉彰氏
 日本市場に向けた戦略について、日本IBM 理事 システム製品事業 プラットフォーム メインフレーム事業部長の渡邉彰氏は、「次世代データセンターIT基盤を構築するにあたって、日本市場の顧客の課題となるのは、既存基幹システムの有効利用、管理の複雑化によるインフラの管理・運用コスト高騰、散在する企業データの統合化ニーズ、止めることが許されないIT基盤の4点に集約される。System z10は、これらの課題を一元的に解決できるソリューションとして提案していく」としている。

 具体的には、1)既存基幹システムの有効利用としては、SOAテクノロジーをフル活用できるプラットフォームの活用、2)管理の複雑化によるインフラの管理・運用コスト高騰に対しては、高性能な仮想化ハイブリッドサーバーへの統合、3)散在する企業データの統合化ニーズに向けては、高可用性セキュリティプラットフォームへのDB統合、4)止めることが許されないIT基盤に対しては、徹底したゼロダウンタイムを指向したプラットフォームの選択、を提案していく方針だ。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  プレスリリース
  http://www-06.ibm.com/jp/press/2008/02/2601.html


( 唐沢 正和 )
2008/02/26 18:42

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