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エプソン、企業向けインクジェットプリンタを開発-業種向けのトータル提案も開始


PX-B500(手前)とPX-B300
 セイコーエプソン株式会社は4月23日、企業需要をターゲットとしたA4カラーインクジェットプリンタを新たに開発と発表した。今後、インクジェットプリンタによる企業向けビジネスプリンタ市場の開拓を図る。

 今回、新たに投入する製品は、ネットワーク機能および両面ユニットを標準装備した「PX-B500」と、普及モデルの「PX-B300」。

 1インチ各色360ノズルを採用した高速ワイドヘッドの搭載、高駆動周波数化などにより、最大11ピコリットルの吐出を実現するなど、高速印刷を達成。カタログ値ではモノクロ/カラーともに37ppm、J1/J6の測定では、モノクロ20ppm、カラー14ppmをそれぞれ実現している。

 また、大容量インクカートリッジの採用と最大650枚の給紙を可能にすることで、大量印字環境への対応と、ランニングコストの低減を図る一方、10万枚までの耐久性と、エプソンが得意する顔料インクによる「普通紙くっきり印刷」を実現している。


PX-B500 PX-B300

同社が狙うビジネスインクジェットの分野
 「これまでインクジェットプリンタに対しては、ランニングコストが高い、印刷速度が遅い、消耗品の交換頻度が高い、文字がにじむ、両面印字ができない、用紙のセット枚数が少ないなどの不満があり、ビジネス用途においては、レーザープリンタに比べて、業務効率が悪いというイメージが先行していた。だが、今回の新製品では、こうしたイメージを払拭するために、ダウンタイムの軽減による信頼性、生産性の向上、コスト削減に力を注いだ。オフィスにおいて、十分使えることができるインクジェットプリンタとして、新たに市場参入を図った」(エプソン販売マーケティングセンター・中野修義センター長)という。

 ビジネスプリンタに求められる保守サービスについても、従来のインクジェットプリンタではサービス交換だったメンテナンスボックスを、ユーザーが交換できる消耗品扱いとし、ユーザー自身による保守性を向上。また、「大判プリンタなどに採用しているオートノズルチェックをA4プリンタとして初めて搭載。ヘッド詰まりなどのトラブルを防ぐほか、新たにワイパークリーナー方式を採用することで、確実にヘッドをクリーニングできるようにした」(セイコーエプソンビジネス機器事業推進部・笹井洋司部長)とした。

 エプソン販売では、販売ターゲットを、カラー印刷コストが高いためモノクロレーザーを使用しているユーザー、カラーレーザーを導入しているが現状のコストに不満があるユーザー、オフィスにおいてインクジェットプリンタを導入しているが、生産性や信頼性に不満を感じているユーザーとして、「プリントボリュームが多く、かつトータルコストを意識する企業や、カラー印刷は高くて使用できないと考えている企業や学校、学習塾、小売業、飲食業などを対象に、さまざまな用紙に印刷できるメリットとともに訴求していく」(エプソン販売プロダクトマーケティング部・越智均部長)としている。

 さらに、非熱、非圧力プロセスを採用しているインクジェットプリンタの特性を前面に打ち出し、「一般的なA4カラーレーザープリンタと比べても、CO2排出量を3分の1に抑えることができる。環境問題に取り組む企業、官公庁にも訴求したい」(越智部長)という。

 価格は、PX-B500が7万9800円、PX-B300が4万9800円。


製品仕様 PX-B500とPX-B300の相違点

LP-S300N
 一方、同社では、A4モノクロレーザープリンタの新製品も投入する。

 従来のLP-2500では、印刷速度が20ppmにとどまっていたが、新製品のLP-S300シリーズでは、28ppmの速度を実現。両面印刷機能や手差し給紙機能の標準搭載、20万ページまでの耐久性、リアル1200dpi(2400dpi相当)によるモノクロ画質の実現といった特徴を持つ。

 ネットワーク機能を搭載したLP-S300Nの価格は7万4800円。標準モデルのLP-S300は5万9800円。

 「モノクロ専用で出力するユーザーや、モノクロのシャープな印字品質にこだわるユーザー、高い耐久性を求めるユーザーにはモノクロレーザープリンタを提供し、ユーザーニーズに応じた形で、当社のビジネス向けプリンタのラインアップを広げていく」(越智部長)という。

 同社では、今回の新製品発表に伴い、ビジネス市場向けのプロモーション戦略を転換。「エプソンでは、ビジネス文書を中心とする製品に加えて、専用帳票モデルなども用意しているが、製品を単独で訴求するのではなく、ビジネス市場向け製品群としてアピールする。ビジネス向け総合カタログを新たに制作し、ページプリンタ総合カタログにもPX-B500やPX-300を掲載する。また、医療機関向け、小売・流通向け、飲食業向けなどの業種に向けカタログを新たに制作し、業務用機器、プロジェクタ、レーザープリンタなどを含めた提案を行う」(越智部長)としている。



URL
  セイコーエプソン株式会社
  http://www.epson.jp/
  ニュースリリース
  http://www.epson.jp/osirase/2008/080423_3.htm
  http://www.epson.jp/osirase/2008/080423_2.htm


( 大河原 克行 )
2008/04/23 14:28

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