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日本HP、VMwareを組み込んだ仮想化サーバー-Hyper-VやXenServerも提供予定

大規模環境向けの管理ツールバンドルライセンスも提供

HP ProLiant iVirtualizationで提供されるサーバーブレード

エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 サーバ・プロダクト・マーケティング部の木村剛氏
 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は5月7日、ヴイエムウェアの仮想化ソフトウェアに関連した強化策を発表した。サーバー組み込み型仮想化ソリューション「HP ProLiant iVirtualization」などの提供を、5月下旬より順次開始する。

 新施策のうちHP ProLiant iVirtualizationは、「仮想化ソフトウェアのすそ野を広げるための取り組み」(エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 サーバ・プロダクト・マーケティング部の木村剛氏)。従来、仮想化環境を導入するためには、仮想化ソフトウェアのインストールや初期設定などをユーザー自身で行う必要があり、ユーザーの敷居が高かった。そこで日本HPでは、仮想化ソフトウェア「VMware ESXi」を内蔵したUSBメモリを、あらかじめx86サーバーへ組み込んで提供。そこから仮想化環境を起動できるようにすることで、「電源オンから仮想環境の使用開始までを、ほんの数分で行えるようにした」(木村氏)という。

 提供形態はサーバーのオプションという形になり、サーバーはラックマウント型・タワー型・ブレードサーバーなどの10機種から選択可能。モデルによってはディスクレス構成もサポートし、故障率の低減が期待できるほか、シンプル化されたソフトウェアアーキテクチャによってパッチ適用量・頻度も削減され、可用性・保守性の向上が見込めるとのこと。さらに日本HPならではの特徴として、管理ソフトウェア「HP Systems Insight Manager」の管理エージェントがVMware ESXiへ組み込まれているので、ゲストOSを含めた仮想環境についても、物理サーバーと同様に管理できる。

 価格は、2Wayサーバー向けの「ESXi Standalone」が3万9900円、4Wayサーバー向けの同製品が7万9800円。また、VMotionやVMware DRSなどの付加機能も利用可能な「ESXi Enterprise」が79万8000円から。いずれも、別途、ハードウェア費用が必要になる。出荷開始は5月下旬から。なお日本HPでは、今後Citrix XenServerやMicrosoft Hyper-Vといったほかの仮想化ソフトウェアについても、HP ProLiant iVirtualizationで提供することを表明した。


HP ProLiant iVirtualizationでは、あらかじめ仮想化ソフトウェアがセットアップされた状態で出荷されるため、ユーザーの工数を大幅に削減できるという 仮想化ソフトウェアが搭載されたUSBメモリは、サーバー内部へ組み込まれた形で出荷される

新ライセンスのEnterprise版では、多数の管理ツールがバンドルされる

VDIの利用イメージ
 一方で大規模な仮想環境向けには、統合管理製品を利用しやすいようにユーザーを支援していく姿勢を示す。仮想化ソフトウェアは、近年盛んになったサーバー統合で採用されるケースが多いが、木村氏は「仮想化してサーバー統合すると、物理サーバー以外に仮想サーバーを管理しなくてはいけない、仮想化すると稼働するOSの数がかえって増えるなど、新たな課題が生じる」と指摘。ブレードサーバー「HP BladeSysytem c-Class」と、管理ソフトウェアのスイート製品「HP Insight Control」による統合管理を、その解として提案するという。

 ライセンス面でも、これを支援するための改訂を行った。具体的には、日本HPがOEM販売をしているVMware Infrastructure 3のうち、最上位にあたる「VMware Infrastructure 3 Enterprise」へHP Insight Controlをバンドルするとともに、価格を引き下げ、88万2000円で提供する。また、中位版「VMware Infrastructure 3 Standard」においては、これまでバンドルしてきたツールを省いて価格を見直し、44万1000円という低価格を実現している。

 加えて日本HPは、クライアント管理ソリューションでも新施策を展開する。同社ではこれまでも、ブレードPCを用いた「HP CCI」、CitrixのXenApp(旧Presentation Server)を利用するサーバーベースコンピューティングなど、さまざまなリモートクライアントソリューションを提供してきたが、そのうち、VMwareを用いたVirtual Desktop Infrastructure(VDI)で新ライセンスを導入することが発表された。このVDI専用バンドルライセンスでは、ユーザー単位の課金方式を採用し、200ユーザー環境の場合で400万円と、「従来のプロセッサライセンスに比べて55%の価格低減を実現した」(木村氏)とのこと。さらに仮想環境、管理環境の構築や、シンクライアント導入と動作確認、管理者・ユーザー向けのトレーニングをパッケージにした「VDI環境構築サービス」も新たに用意。ユーザーがリモートクライアントソリューションを利用しやすい環境を整えていくとしている。

 日本HPではこれらの施策によって、ProLiantの中で仮想化環境で利用されている割合を、現在の5%から、2009年度中に20%へ引き上げ、それによってサーバーの出荷台数を増やしたい考えである。



URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/
  ニュースリリース
  http://h50146.www5.hp.com/info/newsroom/pr/fy2008/fy08-098.html

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( 石井 一志 )
2008/05/07 14:40

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