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日本HP、ユニークな形状“1台2役”の超高密度ブレードサーバーなど

好評なキャンペーンも新たに開始

エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 サーバプロダクト・マーケティング部の木村剛氏

BL2x220c G5を開いた状態。基本的に独立したコンポーネントを搭載するため、別々のサーバーとして利用できる
 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は5月26日、エンタープライズ向けx86サーバーの新2製品を発表した。スケールアウトに最適な超高密度ブレードサーバー「HP ProLiant BL2x220c Generation 5(以下、BL2x220c G5)」と、提供済み4wayラックマウントサーバー「HP ProLiant DL580 Generation 5(以下、DL580 G5)」の価格を抑えた「DL580 G5エントリーモデル」を投入する。

 BL2x220c G5は、1枚のブレードにサーバー機能を提供する一連の装置セット「サーバーノード」を2台格納した、ユニークな形状のブレードサーバー。1つのノードにはそれぞれ独立した、電源スイッチ、2基のクアッドコアXeon、1基の120GB SATA HDD、4GBメモリ(最大16GB)、ネットワークインターフェイス×2ポートを標準搭載。各ノードをそれぞれ別のサーバーとして利用でき、「HP Systems Insight Manager(HP SIM)」をはじめとするサーバー管理ソフトから個別に管理することができる。

 従来のブレードサーバーは、「HP BladeSystem c7000エンクロージャ(以下、c7000)」に16枚、「同 c3000エンクロージャ(以下、c3000)」に8枚格納することができた。今回のBL2x220c G5では、従来製品と同サイズで内部に2サーバーノードを搭載するため、実質、c7000に32枚、c3000に16枚格納することが可能になる。これにより、さらにサーバーの省スペース化を促進する狙い。

 エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 ビジネスプランニング部の宮本義敬氏はその狙いを、「x86サーバーで今後開拓していくのは、半導体設計や金融リスク計算といった市場。こうした市場では、急激なリソース増加のニーズが発生しやすく、サーバーの設置コストが大きな悩みとなっている。例えば、半導体設計システムでは、1案件でサーバー数百台を必要とするケースも多く、省スペース性が売りのブレードサーバーをフルに導入しても、ラック10~20台の規模になってしまう。1枚に2サーバーノードを搭載するBL2x220c G5の投入によって、これを半分に減らすことが可能。最適なスケールアウト性と省スペース化を提供できる」と述べている。

 BL2x220c G5では、こうした“超”がつく高密度を実現するため、同サイズのブレードサーバー「HP ProLiant BL460c」と比べて、540gの軽量化とノード単位で30%の省電力化も達成している。価格は、Xeon L5420モデルが73万5000円から、Xeon E5450モデルが115万5000円から。エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 サーバプロダクト・マーケティング部の木村剛氏は「高く見えるかもしれないが、サーバーノード2台分でこの価格ということを忘れないでほしい」と、価格面でも従来製品より優位であることをアピールした。


内部構造 サーバーノード当たりのスペック 劇的な設置スペースの削減

エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 ビジネスプランニング部の宮本義敬氏
 一方、4wayラックマウントサーバーのDL580 G5では、新たに1プロセッサ構成モデルを投入する。ユーザー数が急増する可能性のあるWeb 2.0企業などに向けて、拡張性に優れたデータベースサーバーを低初期コストで提供するための戦略的製品となる。

 木村氏によれば、こうしたデータベース用途としてはこれまで、2UラックマウントのDL380 G5が良く選ばれていた。最大でCPU×2、HDD×8、PCIスロット×5まで搭載可能な製品で、価格は27万900円と安いが、拡張性はそれほど高くない。では、拡張性が物足りないときユーザーはどうすればよいか。日本HPのラインアップでは次候補として浮上するのが、最大でCPU×4、HDD×16、PCIスロット×11まで搭載可能なDL580 G5だった。拡張性は十分だが、「今度は逆に、136万3950円と価格が高いのが問題。27万900円のDL380 G5からすると一挙に5倍に跳ね上がってしまい、当社としてもニーズにしっかり応えられているとは言い難かった」(木村氏)。

 そこで今回提供するのが、標準構成スペックを下げ、劇的に価格を抑えたDL580 G5エントリーモデルである。標準構成におけるプロセッサ数を従来の2基から1基に減らすとともに、メモリを4GBから2GBに落とすことで、従来モデルより63%安い、49万9800円という低価格を実現。スケールアップのデータベースサーバーにおいて、初期導入コストの大幅削減を可能にしている。「選択肢を広げ、Web 2.0企業などのニーズに応えるための新モデル」と木村氏は語った。


拡張性に優れるDL580 G5は価格が高かった DL580 G5 エントリーモデルの投入で、拡張性に優れた製品を低価格で購入可能に

 これら新製品によって、日本HPでは新規マーケットを開拓。スケールアウト・スケールアップ両市場でのシェア拡大に努める方針だ。そのために5月26日より、新しいキャンペーンを2つ、開始する。

 1つ目が、HP BladeSystem c-Class製品の価格改定。c3000エンクロージャおよびタワーエンクロージャを最大10%値下げするとともに、テープブレード製品を最大17%値下げする。

 2つ目が、上記施策で安くなったエンクロージャをさらに有効活用できるようにするキャンペーンだ。具体的には、ブレードサーバー増設・新規導入において、BL200シリーズの本体とオプションを20%値下げし、BL400シリーズの本体とオプションを40%値下げする。この中には今回の新製品、BL2x220c G5も含まれている。



URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/
  ニュースリリース
  http://h50146.www5.hp.com/info/newsroom/pr/fy2008/fy08-111.html

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  ・ 日本HP、クアッドコアOpteronを8基搭載できる7Uラックマウントサーバーなど(2008/05/22)


( 川島 弘之 )
2008/05/26 15:58

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