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EMCジャパン、重複除外に対応したバックアップ新製品・新機能

HDDスピンダウンなど省電力機能も搭載

BuRA事業部長の浮田竜路氏

DL3D 1500/3000概要

重複除外技術の考え方
 EMCジャパン株式会社は6月4日、データ重複除外、HDDのスピンダウン機能、省電力HDDなどのテクノロジーを搭載したバックアップ新製品・新機能を発表した。新製品として中堅企業向けのLAN接続型ディスクバックアップシステム「EMC Disk Library 3D 1500/3000(以下、DL3D 1500/3000)」を投入するほか、既存のVTL(仮想テープライブラリ)「EMC Disk Library 4000(以下、DL4000)」、バックアップ・リカバリソフト「EMC Avamar」のアプライアンスモデルにて機能強化を図る。

 新製品として投入するDL3D 1500/3000は、重複除外機能を標準搭載したディスクバックアップシステム。製品自体は「IP接続でデータを保存するバックアップ専用のNAS」(BuRA事業部長の浮田竜路氏)だが、オプションでSAN接続、VTL(仮想テープライブラリ)接続にも対応。「ユーザーがバックアップソリューションをリプレースする際、NASを利用していたのであればNASとして、テープライブラリを利用していたのであればVTLとして、環境に応じて既存構成を変えずに導入できる」(同氏)柔軟性を実現した。ちなみにVTLとは、ディスクベースでありながら、バックアップアプリケーションからは物理テープとして認識される技術・製品のことである。

 浮田氏は、「強調したいのは、ストレージベンダとして培ったCLARiX CX3 UltraScaleテクノロジーをベースにしていること。これにより保存データの高い安全性を実現している。信頼性は99.999%」としてアピールしている。

 重複除外機能では、ポリシーによる柔軟な運用が可能になっている。一般的に重複排除の方法としては、バックアップデータの「ソース」側で処理を行うか、「ターゲット」側で処理を行うか、2パターンの方式が存在する。同製品ではバックアップデータを受け取った時点で処理を行う「ターゲット」方式を採用しているのだが、ではデータを受け取ったあと、どのタイミングで重複排除を行うかが設定できるようになっているのだ。

 具体的には「インライン(同時処理)」と「ポストプロセス(後処理)」の2つのタイミングが選択できる。インラインを選べば、データは保存される前に重複除外される。リアルタイムの対応が可能だが、その分、バックアップにかかる時間は長くなってしまう。一方、ポストプロセスを選ぶと、データは一度そのままのフォーマットで保存され、重複除外は後処理として、任意の時間帯に行うことができる。2つのタイミングを可能にしたことで、バックアップにまつわるパフォーマンスなどの問題が軽減されるとしている。また、画像や映像などのように「あまり重複除外の効果がない」(同氏)フォーマットに対しては、そもそも重複除外を行わない「オフ」設定も可能になっている。

 ストレージ有効容量は、DL3D 1500が標準4TB(最大36TB)、DL3D 3000が標準8TB(最大148TB)。バックアップ速度は、DL3D 1500が1時間当たり720GB、DL3D 3000が1時間当たり1.44TB。価格は、容量4TBの構成で1456万円から。8月1日より提供を開始する。


DL4000概要
 既存の仮想テープライブラリ「EMC Disk Library 4000(以下、DL4000)」では省電力関連の機能強化を図った。具体的には「HDDのスピンダウン機能」と「省電力HDD」を新搭載。省電力化が行われたHDD自体と、未使用のRAIDグループを自動でスリープ状態にするスピンダウン機能の組み合わせにより、現行モデルと比べて最大47%の省電力化が実現できるという。

 また、DL3D 1500/3000に実装された重複除外機能にも対応している。既存のDL4000の背後にDL3D 1500/3000を配置するだけで、前述した柔軟な重複排除が実行できる。

 DL4000の価格は、2648万円から。9月1日より提供を開始する。


仮想化環境のバックアップに最適なAvamar

Disk LibraryとAvamarの適用環境
 加えて、Avamarアプライアンスモデルでも機能強化を図り、「Avamar Data Store Gen 2」として提供を開始する。同製品は、バックアップデータがストレージに保存される前段でデータの重複排除を行う、「ソース」方式の重複除外を実現するアプライアンス製品。今回の新版では、1台当たりのバックアップ容量を倍増したほか、サポート・操作性の向上を図った。ユーザーは、1TBのバックアップデータ当たりの電力消費量を最大で43%削減できるとともに、従来のAvamarと比べて、TCOを最大25%削減できるとしている。

 なお「ソース」方式の重複排除のメリットとして浮田氏は、「バックアップデータをネットワークに流す前にサイズを縮小できるので、ネットワーク帯域幅を削減できる」点を挙げた。このためAvamarは、リモートオフィスからセンターへ一元バックアップする環境などに最適という。また「ボトルネックのある仮想化環境にも最適」と説明。仮想化によって、これまで余っていたサーバーのリソースは、60%~80%を目安に有効活用されるようになってきている。同氏によれば「Avamarは、残り少ないリソースでも十分に動作する軽快さを備えている」とのこと。

 価格は、409万円から。提供開始は6月4日より。アプライアンスに加えて、ソフトウェア単体で購入できる「Avamar 4.0」も同日より提供を開始する。



URL
  EMCジャパン株式会社
  http://japan.emc.com/
  ニュースリリース
  http://japan.emc.com/about/news/press/japan/2008/20080604-1.htm

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( 川島 弘之 )
2008/06/04 16:01

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