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NTTファシリティーズ、50%省エネできる“ラック型”の空調機


FTASCL-RS/C

研究開発部 環境・エネルギー部門長の植草常雄氏
 株式会社NTTファシリティーズは6月4日、ラック型の空調機「FTASCL(エフタスクル)-RS/C」を発表した。9月から提供を開始する。価格は未定だが、300~400万円という相場相当となる見込み。

 FTASCL-RS/Cは、データセンターやサーバールームなどをタスク(局所)冷却する空調機「FTASCL」シリーズの新製品。室内機と室外機、さらにそれらを最大20台まで接続できる操作パネルをセットにしたパッケージ空調機として提供される。

 ラック型なため、ICT機器を収容する19インチラックと並べて設置することが可能。特に発熱量の高いラックのすぐ横に設置、効率的な冷却を実現することで、室内機のファン動力を大きく削減している。さらに独自開発の低外気温時の「高効率運転制御」機能を搭載することで、「一般的なデータセンター向け空調機に比べ、約50%消費電力を削減する高い省エネ性を実現している」(研究開発部 環境・エネルギー部門長の植草常雄氏)。

 ラック型とすることで省スペース性も向上している。従来のフロアマウント型空調機と比べると、冷却能力当たりの必要設置床面積は約2/3。小型化しつつも、面積当たりの冷却能力は1.5倍となっている。また、室内機と室外機を結ぶ冷媒配管長は160メートルと「従来・他社製品よりも格段に長く、日本に多い高層ビル型のデータセンターでも問題なく設置できる」(同氏)という。

 同氏はまた「阪神大震災級の地震でも運転継続できる耐久性のほか、ノイズを出さず、ICT機器からのノイズの影響も受けない高いEMC(電磁両立性)性能を備えている。また冷水未使用なので、周囲や階下への漏水リスクもない」と可用性の高さもアピールした。


高度な省エネ性 省スペース性も向上 阪神大震災にも耐える可用性

アイルキャッピング

建築事業本部 建築ソリューション部の藤田博治次長
 NTTファシリティーズでは、タスク型のFTASCLシリーズのほか、アンビエント(全体)空調機の「FMACS(エフマックス)」シリーズも展開し、熱問題が浮き彫りとなっているデータセンターにおいて、全体・局所の両面から効率的に冷却を行う「タスクアンビエント空調方式」を提唱している。今回のFTASCL-RS/Cを単体で利用することも可能だが、アンビエント空調機を組み合わせればさらに高い効果が期待できる。

 また、最近の冷却方法としては、データセンター内に熱い領域(ホットアイル)と寒い領域(コールドアイル)を構成して効率的な空調を実現しようとする方法があるが、植草氏は「どうしても両領域が混合してしまう部分が出てきて、無駄なエネルギーが消費されたりする」と問題点を指摘。それを解消するため、ホットアイルまたはコールドアイルのどちらかを壁や天井で区画(キャッピング)する「アイルキャッピング」という気流設計手法を提案している。

 建築事業本部 建築ソリューション部の藤田博治次長は、こうした製品・ソリューションの下、「国内データセンター空調機の10%シェアを目指す」と販売目標を語った。

 なおFTASCL-RS/Cは、日立アプライアンスが製造し、NTTファシリティーズが販売を行う。



URL
  株式会社NTTファシリティーズ
  http://www.ntt-f.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.ntt-f.co.jp/news/heisei20/h20-0604.html


( 川島 弘之 )
2008/06/04 17:35

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