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ネットアップ、ハイエンド並みの最大容量を実現した中位ストレージ「FAS3100」

パフォーマンス改善を実現するストレージ向けメモリやアプライアンスも発表

 ネットアップ株式会社は6月17日、ミッドレンジストレージ製品「FAS3100シリーズ」2モデルと、ストレージへのアクセス速度を改善するための2製品「Storage Acceleration Appliance」、「Performance Acceleration Module」を発表した。


FAS3100シリーズ Performance Acceleration Module

フォームファクタ筐体を採用するなど、各所で改善が行われている

マーケティング部の阿部恵史部長
 FAS3100シリーズは、同社のストレージ「FASシリーズ」において中位に位置する製品で、これまでの「FAS3000シリーズ」の後継として提供される。特徴はスケーラビリティが拡張されたことで、物理容量は、下位モデル「FAS3140」でも最大420TB、上位モデル「FAS3170」ではハイエンド製品に匹敵する最大840TBまでの拡張に対応した。また、コントローラ用メモリを最大で2倍まで搭載可能としたほか、I/O拡張ポートも6ポートから8ポートへ増強されるなど、データ転送速度や処理性能の向上も図られている。さらに、従来のFASシリーズで受け継いできた特徴もそのまま引き継いでおり、HDDはFCとSATAの混在が可能。上位モデル・製品へのアップグレードにも対応する。

 加えてコントローラ部分は、FASシリーズとしては珍しくフォームファクタシャーシを採用し、6Uサイズの単一筐体でアクティブ・アクティブのクラスタ構成を可能にしている。マーケティング部の阿部恵史部長はフォームファクタの採用理由について「ミッドレンジではクラスタ構成で使われるケースが圧倒的に多かったため」と説明。「クラスタ構成時にはバックプレーンで接続されるので、ハートビート用外付けケーブルが不要であるし、電源ケーブルの数を削減できることから、作業工数や人的ミスを削減できる。また、コントローラボードの追加や変更だけで、シングルからクラスタ構成への変更、FAS3140からFAS3170へのアップグレードを簡単に行える」とメリットを強調している。

 価格は、2TBストレージ(144GB FC HDD×14)搭載の最小構成時で、FAS3140が1861万2000円(税別)から、FAS3170が3146万9000円(同)から。6月17日より販売を開始する。


Storage Acceleration Applianceの利用例
 一方のパフォーマンス向上のための製品としては、Storage Acceleration ApplianceとPerformance Acceleration Moduleが提供される。前者はFAS3000シリーズのコントローラをベースに、キャッシュ機能「FlexCache」提供に特化したアプライアンス。FASシリーズのフロントエンドに配置し、キャッシュ機能によってNFSクライアントの処理をアプライアンス側へ分散させることで、FASシリーズ本体の負荷を軽減できるという。

 阿部氏は「アクセスをFASシリーズの代わりに受ける、パフォーマンスのスケールアウトを実現するほか、NFSアクセスを本体側から切り離すことになるので、(SAN/IP-SAN/CIFSなど)ほかの用途にも高いパフォーマンスが提供可能だ。またWANで接続されたリモートサイトにこのアプライアンスを設置して、キャッシュへのアクセスを行わせることで、パフォーマンスを改善する用途にも利用できる。キャッシュアプライアンス上にあらかじめキャッシュを配置するのではなく、アクセスのあったボリュームを随時キャッシュする仕組みにより、運用上の手間がかからない点もメリットだ」と述べた。ラインアップは「SA200」「SA300」「SA600」の3モデルが用意される。参考価格は最小構成時346万8000円(税別)からで、6月17日より提供を開始する。

 Performance Acceleration Moduleは、FASシリーズやStorage Acceleration Applianceに追加するオプションのメモリモジュール。1枚につき16GB(4GB×4)のメモリを搭載しており、これを用いてデータキャッシングを行うことで、ランダムアクセスのリードパフォーマンスを改善できる。阿部氏は、「これまで処理速度が必要な場合はたくさんのスピンドルにデータを分散させて対応したが、容量が効率的に使えないなどの問題があった。この製品を用いれば、ストレージはそのままにパフォーマンスが倍増可能で、ファイルサービスなど、ランダムのリード処理が中心となる作業に効果的だ」と価値を説明した。価格は未定。8月の提供開始を予定している。

 ネットアップでは、Storage Acceleration ApplianceとPerformance Acceleration Moduleによるパフォーマンス向上効果を、HPCやソフトウェア開発など、高いパフォーマンスが必要な業務を手がける企業に訴えていく考え。また、FASシリーズが一貫して採用しているOS「Data ONTAP」の仮想化機能や重複排除機能などとあわせて、データセンターの効率化を行えるソリューションとしての価値も訴求するとした。


代表取締役社長の大家万明氏
 なお製品発表に先立ち、代表取締役社長の大家万明氏がネットアップ全体の重点施策について説明。5月よりスタートした2009年度の重点施策として、「新規顧客の開拓が業績拡大の鍵と考えており、そのための専門組織を設けたほか、既存顧客に対しては、ワールドワイドで実証されている、当社製品を用いたストレージ統合で提供できるTCO削減効果を訴えていく。また、パートナーとの関係強化も行うし、既存ユーザーやストレージ関係者を一歩離れると、残念ながらまだよく知られていないのが現状であるため、引き続き知名度の向上にも力を入れていく。こうした活動により、外付けディスク市場における売り上げベースシェアで、ナンバーワンを目指していきたい」と語っている。



URL
  ネットアップ株式会社
  http://www.netapp.com/jp/


( 石井 一志 )
2008/06/17 16:50

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