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日本HP、NonStopとBladeSystemを融合した無停止型ブレードシステム


執行役員 エンタープライズストレージ・サーバ事業統括の松本芳武氏

合併効果を最大限生かして開発されたc-Classの特長を、メインフレームクラスの領域へ
 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は6月25日、無停止型のブレードシステム「HP Integrity NonStop NB50000c BladeSystem(以下、NB50000c)」を発表した。最小構成価格は7875万円からで、同日より販売を開始する。

 NB50000cは、「HP Integrity NonStopサーバ(以下、NonStopサーバ)」の可用性や性能、「HP BladeSystem」の省スペース性やエネルギー消費効率といった特長を組み合わせた無停止型ブレードシステム。NonStopサーバの心臓部となるCPUモジュールに「HP BladeSystem c7000(以下、c7000)」を採用しブレード化を実現。併せて、従来比50%のスペース削減と大容量化を実現した「新I/Oサブシステム」を搭載したのが特長という。

 執行役員 エンタープライズストレージ・サーバ事業統括の松本芳武氏は、「Compaqのx86サーバー基礎テクノロジーやTandemの無停止コンピューター技術などを盛り込み、合併効果を最大限生かして開発したのがc-Class。これをNonStopサーバーの技術に融合させることで、メインフレームクラスの信頼性をブレードアーキテクチャで実現可能になる。日本はメインフレームに投資しすぎで、それがITのスピードを鈍らせている。新製品で新展開が可能になるのでは」と語る。

 また、「2倍の性能向上と50%の省スペース化を実現したことで、これまでコストやスペースの問題でNonStopサーバを導入できなかった新規顧客の開拓が見込める。もちろんソフトウェアはすべて継承することで、既存ユーザーの資産保護も図っている」(松本氏)とも述べた。

 ProLiantとIntegrityに引き続き、NonStopのブレード化である。これにより、中小規模から大規模のミッションクリティカルまで全領域でブレードシステムが完了になったことになる。これは日本HP製サーバーシリーズすべてでモジュラーアーキテクチャへの標準化が完了したことになる。この意味は大きく「今後の機能拡張はすべて一貫性をもって行うことができる」(松本氏)としている。


HP Integrity NonStop NB50000c BladeSystem
 NB50000cでは、8CPU/16コアを集積できるc7000を中核に、「Cluster I/O module(CLIM)」という新I/Oサブシステムや、ファイバチャネルによるノード間結合ネットワーク機構「NonStop ServerNet」をひとまとめに提供する。

 c7000に格納されるブレードには、デュアルコアのItanium 9100番台(1.66GHz)を採用。メモリは段階的に8/16/24/32/46GBまでサポートすることで高い性能を実現した。さらにNonStopの特長である疎結合超並列アーキテクチャ「NonStop Multi-Core Architecture(NSMA)」を継承することで、ブレード間では独立性が保たれ、1枚が故障してもほかに影響を及ぼさないほか、単純に枚数を増やすことでリニアに性能アップできるようになっている。シングルシステムとして、最大4080CPUまでの直線的拡張が可能とのこと。

 CLIMは、AMD Opteronを搭載したI/Oモジュールで、SAS・FC I/Fカードを実装すればディスクやテープストレージのコントローラとして、Gigabit Ethernetカードを実装すればネットワークコントローラとして動作させられる。機構を一新することで小型化が実現し、従来のI/Oサブシステムに比べ、約50%のスペース削減に成功している。また、CLIM自体にTCP/IPスタックを持たせて通信処理を行わせることで、CPUモジュールにかかる負荷を削減するような工夫も凝らしてある。

 ソフトウェア面では、HP BladeSystemを搭載することで、リモート管理を行う「HP Integrity Integrated Lights-Out 2(iLO2)」やサーバー管理機能「HP System Insight Manager(HP SIM)」といった共通ツールが利用可能になっている。

 価格は、最小構成で7875万円から。HP BladeSystemのコストパフォーマンスを採り入れたことで、単純価格比としては20~30%の低価格を実現。さらに「従来の同等スペックを半分のコンポーネントで実現できるようになるので、実際にはそれ以上の価格的メリットがある」(テクノロジーソリューション営業統括 NonStopサーバ事業本部長の浅野勉氏)とのこと。


NB50000cの構成図 各モジュールの関連図。ServerNetが間を取り持ち、光による高速通信を実現する c7000では基本的に従来機能を継承。ServerNet Switchを冗長化のため2台搭載している

NSMAを継承することで、4080CPUまで直線的拡張が可能 CLIMの概要 ストレージサブシステムの概要。CLIMにより、約50%の省スペース化を実現

 「ラック1本でメインフレームと同等の性能を実現できる」(浅野)ことから、メインフレーム移行への起爆剤とする狙い。オープンアーキテクチャによるミッションクリティカル環境実現を目指す。また、データベースやプロセス、サービスの統合にも最適な製品として訴求するほか、Javaアプリケーション開発や業務パッケージの移植なども狙い、次世代EDI基盤としても普及を図っていく方針。2008年度の見込みとしては、既存のNonStopサーバと新製品の比率を7:3にまで持っていくとする。

 そのためのパートナー支援プログラムも刷新。従来のISVパートナーに加え、ブレードパートナーへの支援プログラムも展開を始めている。販売支援、技術支援、教育支援を順次提供する方針で、また、NosStopサーバ上で稼働するアプリケーションやソリューションを開発するISVパートナーには、開発機の導入支援も行っていく。教育支援としては、すでに数十社のISVパートナーやブレードパートナーに説明会を行ったとしている。



URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/
  ニュースリリース
  http://h50146.www5.hp.com/info/newsroom/pr/fy2008/fy08-130.html

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( 川島 弘之 )
2008/06/25 16:01

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