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日本ネティーザがDWHアプライアンスを強化、圧縮機能で性能を2倍に向上


Netezza Performance Server
 日本ネティーザ株式会社は7月9日、データウェアハウス(DWH)アプライアンス「Netezza Performance Server(NPS)」向けOSの新版「NPS 4.5」を発表した。独自の圧縮技術によって、1.5~2倍に処理能力を高速化する有償オプションを提供。また、SSLによる通信経路の暗号化機能などをサポートした。NPS 4.5は、7月下旬より国内での提供を開始する。

 NPSは、「DWH処理のために、ハードウェアもソフトウェアも一から設計した」(代表取締役のダグラス・エッツェル氏)アプライアンス製品で、データを読み出すと同時に絞り込み、本当に必要なデータのみをCPUへ引き渡すストリーミング処理「FAST Enginesフレームワーク」が特徴。さらに処理能力は、SPU(スニペット・プロセッシング・ユニット)と呼ばれるブレードを並列に並べることで容易に拡張でき、既存システムの10~100倍の高速処理を実現する。また、インデックスやパーティショニングといった、データベース管理者が時間をかけて行うような処理は一切不要となっており、導入・運用管理の効率化を図れる点も強調材料という。

 NPSの特徴はこのように、高速処理と、管理の効率化によるTCO削減効果であるため、業種を問わず、主に大容量のデータを抱える企業がユーザー。流通、通信、eコマース、金融、医療、運輸、政府官公庁など幅広い分野において採用され、国内でも、モスフードサービスをはじめ37社に採用されるに至った。


SPUを手にする執行役員 技術本部長の法華津誠氏

ストリーミング処理の中で、FPGAが解凍処理を担当する
 こうした特徴を持つNPSだけに、高速処理という点については継続して強化が図られており、新版からオプション提供されるデータ圧縮機能「Compressエンジン」も、高速化に主眼が置かれている。高速化の度合いは平均で1.5~2倍程度とのことだが、データを利用する前に解凍処理を行う必要が生じるにもかかわらず、なぜ処理速度が向上するのか。この点について、執行役員 技術本部長の法華津誠氏はその理由として、「解凍処理を(集計作業などを実際に担当する)CPUではなく、その前にFPGAで行うこと」を挙げる。

 NPSに搭載される各SPUは、データをHDDから読み込んだ後、データの絞り込みなどの作業をストリーミング処理で行っている。その処理を実際に担当するのが、各SPUに搭載されているFPGA。Compressエンジンでは、そのFPGAに解凍もあわせて担当させることで、CPUにまったく負担をかけずに解凍が行える上、データ圧縮にもFPGAで扱いやすいような独自アルゴリズムを用いていることから、処理速度を劣化させずにストリーミング処理を継続できる。

 さらに、SPUは1つあたり60MB/秒のデータをHDDから読み込めるI/O能力を持っているが、圧縮されたデータを読み込んで解凍処理を行うという仕組み上、無圧縮時と比べて2~3倍のデータを読み込んだのと同じことになる。この後、FPGAによる絞り込み作業は通常と同様に行われるため、CPUには負担をかけずにこれまでよりも大量のデータを扱え、結果として処理性能が向上するというのだ。もちろん、データを圧縮して格納するのだから、ストレージ容量が2~4倍になるというメリットも生まれるが、エッツェル氏はあくまでも最大のメリットは高速化であるという点を強調。「大容量のデータを持ち、とにかく速く分析をしたいをしたい顧客に価値を提供できる」と述べた。


代表取締役のダグラス・エッツェル氏
 また圧縮機能以外では、セキュリティ面での強化が行われた。具体的には、LDAP、Active Directoryと連携したユーザー管理をサポートしたほか、NPSアプライアンスとBIクライアント間のSSL暗号化に対応している。「3~4年前はデータマート的な使い方が多かったものの、ここ2~3年は全社的なエンタープライズDWHの活用が広がっており、セキュリティ面での強化が求められていた」(エッツェル氏)。

 加えてクライアント機能も強化され、NPSとの接続において、ODBCとJDBC以外にOLE DB APIをサポート。Windows Vistaへの対応とあわせて、マイクロソフト製品との連携をより強化している。さらにODBCドライバのインストールプログラム改善、ソフトウェアインストール/アップグレードの簡易化と統合などによって、ユーザーの使い勝手を向上させたという。

 日本ネティーザでは、前述のように、大容量のデータを持ち、より高速な分析を必要とするユーザーに対して販売を進める考え。エッツェル氏は、「国内でも分析結果を顧客に提供するASP事業者が増えており、こうした企業に向くのではないか」と述べたほか、マーケティング本部 部長の湯本敏久氏は、「既存顧客にも(圧縮のオプション採用を)働きかけるが、高速化を指向するにあたっては、圧縮がいいのか、SPUの多重化がいいのかは、その顧客によって変わるため、初期では2~3割が対象になるのではないか。ただし今後の出荷分はすべてNPS 4.5になるので、これから先はその割合は増えていくだろう」との見方を示している。なお、既存ユーザーのNPS 4.5へのアップグレード自体は、保守契約に基づいて提供される。



URL
  日本ネティーザ株式会社
  http://www.netezza.jp/
  ニュースリリース(PDF)
  http://www.netezza.jp/releases/2008/R45_NewsRelease_W.pdf

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( 石井 一志 )
2008/07/09 16:10

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