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日本IBM、ラック形状を革新したx86サーバーの新ブランド「iDataPlex」

“横置き”で集積率とエアフロー効率を向上

x86サーバーポートフォリオ。新製品は、BladeCenterよりさらに高密度のスケールアウト製品に位置付けられる
 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は8月5日、従来比2倍の集積率、2.5倍の価格性能比を実現するという新x86サーバー「iDataPlex」を発表した。x86サーバー「System x」、ブレードサーバー「BladeCenter」に次ぐ、3番目のx86サーバーブランドとなる。標準構成価格は3990万円で、8月21日より受注を開始する。

 iDataPlexは、ラック型のx86サーバー。System x、BladeCenterに次ぐ、3番目のx86サーバーブランドで、BladeCenterよりもさらに高密度なスケールアウト製品に位置付けられる。

 革新的なラック形状を採用することで集積率を2倍に向上したのが特長。具体的には、典型的な19インチラックを横置きにした形状を採用した。奥行きの深い19インチラックを横置きにすることで、横幅が広がり奥行きが浅くなる。


横置きにすることで「集積率」と「エアフロー効率」を向上

米IBM、システムズ&テクノロジーグループ Modular Systems Platform ブランド・マネジメント担当バイス・プレジデントのジム・ガーガン氏
 この形状とすることで、まず、ラックの縦2列にノードを搭載可能になる。従来の19インチラックでは縦1列にしか搭載できないので、集積率は2倍となる。

 搭載できるのは、2Uと3Uのノード。1システムに最大84台のノードを搭載でき、ノードあたり最大8コアのインテル製CPUを搭載可能。コア数としては672まで対応する。

 また、奥行きが浅くなることで、前面から採り入れられる冷風の必要到達距離は半分となる。このエアフローの効率化により、ファンの消費電力を大幅に節約することが可能という。米IBM、システムズ&テクノロジーグループ モジュラー・システムズ・プラットフォーム ブランド・マネジメント担当バイス・プレジデントのジム・ガーガン氏によれば、「これにより、ファン自体を75%減らすことが可能になった。ファンが消費する電力量としては、66%に削減可能。これはラック1台で1万148ドル/年節約できる計算だ」としている。

 また、iDataPlex自体でも、電源ユニットや冷却ファンをはじめとした各コンポーネントを共有化。システムの冗長性を排除することで、冷却率や集積率を高めている。

 さらに冷却では、オプションの水冷式冷却扉「IBM Rear Door Heat eXchanger」に対応。これをシステム背面に設置することで、「さらに高効率な冷却を実現。熱問題で多く置けなかったラックシステムを、従来比240%も多く置くことが可能になる。また推定では、ラックあたり年間約37万円相当の光熱費が削減できる」(日本IBM、理事 モジュラー・システム事業部長の諸富健二氏)とのこと。


横置きにすることで集積率とエアフロー効率を向上 採用テクノロジーの特長

ノード構成は柔軟に組み替え可能

縦2列にノードを搭載可能。ノードにはサーバーやストレージなどのコンポーネントを柔軟に選択して構成できる
 ノードには「フレックス・ノード・テクノロジー」が採用され、2U/3Uのサイズの中にサーバー、ストレージ、I/O、ネットワークスイッチなどのコンポーネントを自由にカスタマイズして構成することができる。

 例えば、2Uのノードにはサーバーを2台格納することができる。あるいはサーバーを1台にして、ストレージを数台入れることも可能。3Uのノードには、3.5型HDD×12基とサーバーを1台格納できる。ストレージは、3.5型HDDの代わりに2.5型HDDを搭載すれば、倍の台数を搭載することも可能だ。

 こうしてユーザーが選択したコンポーネントは、受注生産の下、日本IBMが組み上げて出荷する。これにより「オンサイト構成が不要となるため、導入コストが大幅に削減できる」(ガーガン氏)という。


全社レベルでAI分野にテコ入れし、拡販に務める

日本IBM、理事 モジュラー・システム事業部長の諸富健二氏
 価格は、サーバー×1台、2.5型HDD×2台、Gigabit Ethernet×4ポートの2Uノードを42台搭載した標準構成で3990万円。

 日本IBMでは、ISPや金融系HPC、ホスティングを行うSIerなどの市場に向けて拡販する方針。ノードを満載したiDataPlexを何台も設置し、数千台規模で利用するような企業が対象。それより少ない場合は、BladeCenterを提案するなどして、既存製品とのすみ分けを行うとしている。

 販売にあたっては、System x/BladeCenterの販売強化施策を継続し、特に「Value Partner Program(VPP)」によるパートナー協業を強化していくという。VPPは、製品に精通し丁寧にプロモーションを行えるパートナーを育成し、共同プロモーションや共同セミナーを開催することで拡販を狙うプログラム。パートナー体制が整うまでは直販する予定。

 2007年度、日本IBMのサーバー事業は好調ではなかったという。諸富氏は「確かに社内体制、パートナー体制ともに後手に回った感がある。サーバー市場の中で唯一伸びているのがAI市場。現在、社内では全社レベルでAI分野にテコ入れを行うProject-Xを推進している」と発言。System xやBladeCenterとともに、iDataPlexでも堅実に業績を伸ばしていく方針を明らかにした。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  プレスリリース
  http://www-06.ibm.com/jp/press/2008/08/0501.html


( 川島 弘之 )
2008/08/05 16:43

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