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日本IBM、柔軟な拡張を行える大規模向けSANストレージ「XIV」

バックアップ・アーカイブ向けの重複排除アプライアンスも提供

IBM XIV ストレージ・システム モデルA14

XIV モデルA14のアーキテクチャ

XIV モデルA14の活用分野
 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は9月9日、SANストレージ「IBM XIV ストレージ・システム モデルA14」(以下、XIV モデルA14)と、データ重複排除機能を提供するアプライアンス「IBM System Storage ProtecTIER Enterprise Edition V2.1」(以下、ProtecTIER)を発表した。いずれも、Information Infrastructure戦略の重要な構成要素になるという。

 新製品のうちXIV モデルA14は、シームレスに容量や処理能力を拡張できるストレージ製品。分散型アーキテクチャを採用しているのが特徴で、データモジュールとインターフェイスモジュールとを束ねて、1つのストレージシステムを構成する。1ラックには、最大15(データモジュール×9、インターフェイスモジュール×6)のモジュールを搭載可能。両モジュールは最大12基の1TB SATA HDDを格納できるため、1ラックあたり、最大物理容量180TB(冗長化されるため、ユーザー使用領域は実質79TB)までの拡張に対応する。インターフェイスは、インターフェイスモジュールの拡張によって、4Gbps FC×24、iSCSI(Gigabit Ethernet)×6まで拡張できる。

 実際のデータは、1MBのパーティションに細かく分割され、多数のHDD内に保管される仕組み。パーティションは、システム内のすべてのHDDに疑似乱数的に分散配置されるほか、データをミラー化しているため、可用性を維持しながら、分散アクセスによるパフォーマンス向上を実現したという。また、HDDの利用率は常に平準化され、モジュールが追加された場合や、障害が発生して一部が使えなくなった場合には、自動で再配置が行われる。加えて、モジュールを追加すると、容量の拡張だけでなくCPUやキャッシュの追加も同時に行われることから、容量の追加によるパフォーマンスの低下を避けられるとのこと。搭載する実容量以上のボリュームを仮想的に作成できる「シンプロビジョニング」機能も備えている。

 なおこの製品は、IBM米本社が1月に買収したイスラエルXIVの技術をベースにしたもの。XIVの技術とIBM独自の技術を組み合わせることにより、旧製品と比べ、設置スペースあたりの最大容量、インターフェイス数などを拡張したという。日本IBMが提供するCapacity on Demandサービスにも対応し、価格は、最小構成で6411万4050円から。日本IBMでは、「ユーザーやデータの増大が困難なアプリケーションの利用に向く」(システム製品事業 プラットフォーム ストレージ事業部長、吉松正三氏 )としており、まず、インターネット企業や通信業界などに向けて販売する意向だ。


ProtecTIERによる重複排除の流れ
 一方のProtecTIERは、データ重複排除機能を提供するSAN環境向けのアプライアンス製品。バックアップ/アーカイブ用サーバーとストレージの間にインラインで設置することで、重複するデータを束ね、保存するデータ量を最大1/25にまで削減できるという。1台のアプライアンスで、最大1PBのユーザーデータに対応。また、重複排除したデータの整合性は、HyperFactor技術によって100%保全されるとのこと。

 このアプライアンスも、IBMが4月に買収した米Diligentの製品がベース。ただし、Diligent時代はソフトウェアとして提供されていたが、日本IBMでは、「最大限の価値を発揮するため」(吉松氏)、「IBM System Storage TS7650G Server」ハードウェアをあわせた、アプライアンス形態での提供に変更した。同社では、この変更によって、障害発生時のサポートが一本化されるほか、最大900MB/秒という、性能をフルに引き出せるスペックでの提供が可能になったとしている。価格は2247万7770円から。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  プレスリリース
  http://www-06.ibm.com/jp/press/2008/09/0903.html

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  ・ 米IBM、新ストレージ戦略「Information Infrastructure」を発表(2008/09/09)


( 石井 一志 )
2008/09/09 16:26

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