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日本HP、SSDを初採用した仮想化専用サーバーブレードなど

USBブート型のXenServerも提供へ

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は9月25日、「ブレード×仮想化」を推進する新製品群を発表した。仮想化環境での利用に適したサーバーブレード新製品「HP ProLiant BL495c Generation 5(以下、BL495c G5)」、ストレージブレード新製品「HP ProLiant SB460c SAN Storage Server(以下、SB460c SSS)」などをリリース。また「Citrix XenServer」のOEM販売を開始し、サーバーに組み込んだUSBメモリから仮想化環境をブートできる「HP ProLiant iVirtualization by Citrix XenServer(以下、iVirtualization by Citrix)」や、ブレードエンクロージャ「HP BladeSystem c3000(以下、c3000)」のオプション製品などを提供する。


SSDを初採用したサーバーブレード、BL495c G5

エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 サーバプロダクト・マーケティング部の木村剛氏

BL495c G5の特長
 サーバーブレードの新製品として、仮想化専用のサーバーブレード、BL495c G5を投入する。CPUはクアッドコアのOpteron 2300番台を最大2基(8コア)まで搭載可能にしたほか、従来比2倍となる16個のメモリスロットを搭載し、最大128GBまでの拡張性を実現した。このメリットについて、エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 サーバプロダクト・マーケティング部の木村剛氏は、メモリの容量単価の観点から次のように語る。

 「メモリは容量が4GBから8GB、8GBから16GBと上がるにつれ、容量単価が跳ね上がる傾向にある。そのため、合計容量が同じ場合、大容量メモリを少数搭載するよりも、小容量メモリを多数搭載した方がコストは低く済む。16メモリスロットを搭載するBL495c G5は、この恩恵を受けることができる製品だ」。

 また、ストレージにはHDDではなく、同社製サーバーブレードとしては初採用となるSSD(ソリッドステートドライブ)に対応。32GBもしくは64GBを最大2台搭載できる。「SSDならではの低レイテンシにより、最大15倍以上の高速読み取り性能、約80%の省電力、約25%の低故障率を実現した」(木村氏)とする。

 さらに、複数の仮想マシンを稼働させることによるI/Oボトルネックを解消するため、「10GBASE-KR」ネットワークアダプタ2基を標準搭載。従来製品に搭載されていたGigabit Ethernetと1000Mbpsの速度でオートネゴシエーションできるだけでなく、10GBASE-KR規格対応のインターコネクト(将来提供予定)と併用することで、広帯域ネットワーク環境にも対応するという。

 価格は、32万9700円からで、10月下旬から出荷開始。


16メモリスロット搭載により、メモリコストを低減 BL495c G5内部。16基のメモリが壮観 SSDを初採用

USBブート型XenServer、お試し用の独自エディションも用意

 iVirtualization by Citrixとして、XenServerのOEMライセンスの販売を開始する。同ライセンスは、HP ProLiantサーバー内のUSBメモリに組み込まれたオプションの形態で出荷される。5月にはVMware ESXiの同様製品を提供開始しており、仮想化ソフトのOEM販売としては第2弾となる。今後は、「USBメモリの形態を採るかどうかは検討中だが、Hyper-Vの提供も開始する」(木村氏)としている。

 エディションの種類は、基本機能のみの「Select Edition」と、付加価値機能を含む「Enterprise Edition」の2つ。Select Editionは日本HP独自のもので、「1台からの仮想化など、お試し用途に最適」(同氏)という。Enterprise Editionには含まれている、管理ソフト「XenCenter」やソフトウェアの1年間保守などが付かず、共有ストレージやリソースプール、XenMotionなどにも対応しない。

 日本HPが提供するXenServerでは、「独自の管理テクノロジを実装しているのが優位点」(同氏)。管理ツールとして、初期設定やゲストOSインストールをウィザード形式で支援する「HP ProLiant Virtual Console」に対応している。同ツールでは、最大9つまでの仮想マシンを同一画面に表示して管理できるほか、バーチャルKVMも実装することで、簡単に仮想マシンを切り替え操作することができるという。また、統合管理コンソール「HP System Insight Manager」でも、XenServerに対応済みとのこと。

 価格と出荷時期は、Select Editionが2万3100円/サーバー、10月下旬より、Enterprise Editionが58万8000円/サーバー、11月初旬より。


仮想化導入を加速するiVirtualization by Citrix 2つのエディションを用意 独自の管理テクノロジを実装しているのが優位点

仮想化環境のストレージ環境を強化するSB460c SSS

SB460c SSS
 仮想化環境では、ゲストOSのために大きなストレージ容量が必要になる場合がある。一方で、これまでのブレードエンクロージャ内蔵ストレージには、高密度を実現できる代わりにデータ容量に一定の制約があった。

 そこでNAS/SANゲートウェイ・SB460c SSSを投入。同製品をブレードエンクロージャのスロットに装着することで、各サーバーブレードからiSCSIを介して、外部ストレージをストレージブレードとして認識させることが可能になる。これにより、ブレードシステムにおけるデータ容量の制約を乗り越え、柔軟な容量拡張を可能にするとのこと。

 価格は126万円からで、10月下旬より出荷を開始する。


c3000の適応範囲を拡大するオプション製品

c3000タワーエンクロージャ用のパネルキット

c3000用の直流電源モジュール
 そのほか、c3000のオプション製品として「パネルキット」と「DC-48Vパワーサプライ(1200W)」を投入。

 パネルキットは、「c3000タワーエンクロージャ(以下、タワー型c3000)」用の鍵付きドアとリアドアのキットで、必要のない人がサーバーに触れることによるセキュリティリスクを軽減する。前面には防じんフィルタを備え、どこにでも自由に設置できるのがコンセプトのタワー型c3000をほこりから保護することが可能になる。

 価格は4万4100円で、10月中旬から出荷開始。

 一方、DC-48Vパワーサプライ(1200W)は、c3000をDC-48Vの電源供給環境で使用可能にする直流電源モジュール。c7000ではすでに直流電源に対応していたが、同製品により、c3000でも対応。「データセンター全体の電力効率向上を目指すユーザーに、選択肢を提供することが可能になる」(同氏)とのこと。

 価格は9万4500円で、10月下旬から出荷開始。



URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/
  ニュースリリース
  http://h50146.www5.hp.com/info/newsroom/pr/fy2008/fy08-177.html

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  ・ 日本HP、VMwareを組み込んだ仮想化サーバー-Hyper-VやXenServerも提供予定(2008/05/07)


( 川島 弘之 )
2008/09/25 18:04

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