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System z10 BCでは、ハードウェア性能が大幅に向上している
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システム製品事業 システムz事業部長の朝海孝氏
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日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)は10月22日、メインフレームのミッドレンジモデル「IBM System z10 Business Class」(以下、System z10 BC)を発表した。新ハードウェアの採用によって性能を大幅に向上したほか、ユーザーのビジネス要求にあわせて130段階の処理能力を設定可能な特徴を持つ。価格は最小構成で2600万円から。
System z10 BCは、従来機「System z9 BC」の後継として提供されるミッドレンジクラスのメインフレーム。System z9 BCでは1.4GHzだったCPUの動作クロックを3.5GHzに引き上げたほか、デュアルコアからクアッドコアに拡張されている。また、従来機の1.2倍にあたる、1ユニットあたり10個のCPU搭載を可能にしており、システムあたりの命令処理能力は、従来機の1785MIPSから約50%向上した、2760MIPSを達成している。
システム製品事業 システムz事業部長の朝海孝氏は、「プロセッサやI/O技術の進化により、ミッドレンジながら3世代前のハイエンドと同等の性能を実現した」と、System z10 BCの性能を紹介。その理由の1つについて、「CPUは、z10の世代とPOWER 6から共通の開発陣に担当させ、オープン系のPOWERで実現した周波数向上技術をSystem zへ、またSystem zの信頼性をPOWERへ、といったように、お互いの強みを横展開させている」と説明している。
主な対象ユーザーとしては、メインフレームとしての利用のほか、自社・他社製の基幹系オープンシステムや、他社製メインフレームなどの統合も視野に入れているという。「メインフレームの代替というだけでは、そんなに処理能力はいらない。一方で、(UNIXサーバーが使われているような)分散系の基幹オープンシステムでも、落ちてはいけない、セキュリティ対策がされていなくてはならないなど、求められる要件はメインフレームと変わらない。1つの仕組みで基幹業務として集約すれば、トータルの運用コストを下げられる」(朝海氏)。
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システム変更負荷軽減サービスの全体像
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しかし、システムのバージョンアップや他システムへの変更に際しては、テストなどの作業で非常に高い負荷が発生してしまう。そこで日本IBMではこれを支援するため、「システム変更負荷軽減サービス」を発表。まず、System zから提供を開始するという。「日本中で積み上げてきたノウハウを1カ所に集め、そのチームが各プロジェクトを担当すれば、リスクも低く、効率的にできるので、今回はそれらを集めて体系化した」(朝海氏)という。
さらに朝海氏は、「当社では従来、アプリケーションの変更はほとんどお客さま自身に担当いただいていたが、今回は、お客さまがアプリケーションやインフラを変更したときの、アプリケーションにかかわる負荷を削減しようとしている。また、IBM製品同士の組み合わせ検証や、お客さまのデータ、プログラムをお預かりしての移行検証は、当社内でも実行するべきではないか。これを幕張のセンターで検証し、共通化してお客さま個々の負担を削減する」と述べ、このサービスによるメリットを説明している。
なお、System z10 BCでは、ハードウェアは基本的に1種類しかないが、ソフトウェアで性能を制限した、130段階のいずれかの状態にして出荷する。ユーザーは、必要最低限の性能をはじめに購入し、後ほどライセンスを購入することで、オンデマンドに無停止で性能を拡張可能。オンデマンド機能では、ディザスタリカバリ時に利用する「Capacity Backup」、システムの計画保守や移設など予定されたイベントの際に能力を拡張する「Capacity for Planned Events」に加えて、処理のピーク時にだけ能力を増強する「On/Off Capacity on Demand(On/Off Cod)」にも対応可能だ。
今回は、このOn/Off Codが拡張され、前払いでのトークン(能力拡張用ライセンス)購入をサポートしたほか、ワークロード管理機能「キャパシティ・プロビジョニング・マネージャー」と連携して、自動的に性能を増減させることもできるようになった。
■ URL
日本アイ・ビー・エム株式会社
http://www.ibm.com/jp/
プレスリリース
http://www-06.ibm.com/jp/press/2008/10/2201.html
( 石井 一志 )
2008/10/22 14:43
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