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パナソニック、医療現場のニーズに応えるヘルスケア向けTOUGHBOOK

耐薬品性などをナースがデモ

TOUGHBOOK CF-H1

パナソニック AVCネットワークス社 副社長の伊藤好生氏
 パナソニック株式会社は11月6日、ヘルスケア向けの堅牢タブレットPC「TOUGHBOOK CF-H1」を発表した。2009年3月10日より販売開始する。

 TOUGHBOOK CF-H1は、従来の頑丈設計やワイヤレス、長時間バッテリなどの特徴を継承しつつ、ヘルスケア市場特有の使用環境やニーズにも対応した堅牢モバイルPC。看護師が持ち歩いて使いやすいデザインのほか、新たな堅牢性として“耐薬品性能”を実現したのが特長となる。

 医療業界ではいま、医師・看護師不足の深刻化、患者数・高齢者の増加、看護師の管理業務の増加などさまざまな問題が顕在化し、未曾有の医療危機を迎えている。特に看護師の作業負荷を抑えるために、ITの利活用が求められているのだが、世界的に見ても「医療用のPC」はあまり存在しないのが現状なのだ。

 国立成育医療センター、医療情報室長の山野辺裕二氏によると「回診中に用いられる端末としてはPDAやベッドサイドに固定する端末などが利用されているが、落として壊しやすいPDAはあまり普及に至らず、ベッドサイドに固定する端末はベッドから動かせないため台数が多くなりがち、といずれも課題を抱えている。そのため通常のノートPCをワゴンに乗せて利用するケースなどもあるのだが、この場合もバッテリの問題、医療者の機動性損失、液体などの弱点があり、まだまだ医療現場でのIT利活用環境が成熟しているとは言えない状況」という。

 こうした問題への最適解を探るべく、「ヨーロッパを中心に約100件の病院にヒアリングを実施。2003年から英国保健省の傘下機関である国民保健機関(NHS)と共同開発した末にできたのがTOUGHBOOK CF-H1」とパナソニック AVCネットワークス社 副社長の伊藤好生氏は語る。

 製品化はインテルが提唱するヘルスケアに特化したプラットフォーム「MCA(Mobile Clinical Assistant)」準拠を目標に、インテルの技術協力の下で進められ、同プラットフォームに対応した国内初の端末として完成した。

 これを武器にヘルスケア市場へ挑戦するパナソニックだが、それは既存のTOUGHBOOKで堅牢PCシェアNO.1を維持する同社にとっても初の試みとなる。伊藤氏によれば「同市場は、IT化が著しく加速している分野であり、2006年から2011年までおよそ年率22%の成長率で拡大。2012年にはMCA端末の市場規模は18万台になると想定される」という。同氏は「2012年には10万台を出荷し、この分野でもトップシェアを獲得するつもりだ」と力強く宣言している。


TOUGHBOOK CF-H1開発の背景 今後急速な拡大が予想されるヘルスケア市場 TOUGHBOOK CF-H1特徴

アルコールのふき取り試験をクリアした耐薬品性能

医療現場に必要な頑丈設計

クリーニングのお知らせ機能
 TOUGHBOOK CF-H1の最大の特徴は、耐衝撃・耐落下性、防じん・防滴性などこれまでに培ってきた頑丈設計にプラスして、消毒液によるふき取りに対する耐薬品性能を実現した点だ。これを実現しようとした理由は、医療現場では院内感染の防止などでアルコールによるふき取りが徹底されているためで、外装に新開発の表面材質を使うことで、アルコール・次亜塩素酸などの薬品ふき取り試験をクリアしている。

 また短時間でふき取りが行えるように、「ふきやすく、ふき残しが起こりにくい形状を追求し、凹凸の少ないスムーズな表面形状を採用。加えて、ファンレス、ポートレス、フラットボタンとすることで使いやすいデザインを実現した」(パナソニック AVCネットワークス社 ITプロダクツ事業部 テクノロジーセンター 主任技師の安政馨氏)。

 ふき取りに関してはソフト面でもユニークな支援機能があり、万が一のクリーニング忘れを防ぐ「クリーニングのお知らせ機能」を備えている。ログオン時やバッテリー交換時など設定した条件でクリーニングを促してくれるほか、クリーニングを開始すると、あたかも液晶画面が汚れているように見える映像が映し出され、実際のふき取り作業にあわせて画面の色がクリアになる。もちろん液晶画面上だけでなく本体の裏面などもふき取る必要があるわけだが、このお知らせ機能がふき取り作業のきっかけとなり、クリーニング忘れを意識の面から防止してくれるのだ。なお、クリーニングの履歴を保存することも可能という。


防滴試験(撮影:大河原克行氏) ふき取り試験(撮影:大河原克行氏)

女性看護師にも扱いやすい形状

 形状に関しては、持ち運びやすさも配慮されている。まず上部に握りやすさを追求したというハンドルを実装。さらに背面は、ストラップ付きの保持しやすい形状となっており、実際に医療の現場にいる山野辺氏も、「女性の看護師からは、1kg未満のノートPCでも重くて使えないという声があがるのだが、これなら立ったままでの業務もスムーズに行える」と評価している。

 また、机に置いた時の視認性確保のため、背面ストラップによる微妙な角度調整が行えるほか、デスクトップPCとして利用可能なクレードル(オプション)なども用意された。山野辺氏は「当センターではナースステーションのデスクトップPC、ベッドサイドの端末で看護業務を行っているが、これ1台で兼用できそうだ。さらにユニファイドコミュニケーションなどが実装されれば、さらに便利に使うことができるだろう」と、今後の可能性にも期待をのぞかせている。


背面にストラップ オプションのクレードルに搭載した様子。着脱が容易なので、素早く持ち運べる。クレードルには2連式バッテリチャージャーが付いている

業務をストップさせない長時間バッテリ

業務をストップさせない長時間バッテリ駆動を実現
 ひと手不足であちこちに歩き回ることの多い看護業務においては、バッテリの持ちも重要な要素となる。TOUGHBOOK CF-H1では、業務をストップさせない長時間バッテリ駆動を実現するため、CPUにAtomを採用するとともに、高密度バッテリを2パック装備できる仕様とした。

 その上で、2パックのバッテリのうち片方だけが消耗しないように、バッテリの充放電回数をチェックする仕組みも搭載することでバッテリの延命を図っている。これにより約8時間の連続駆動時間を実現しているが、バッテリは本体が動作したまま交換が可能(ホットスワップ対応)なので、運用によって24時間連続使用も可能となっている。

 充電器としては、グレードルの2連式バッテリチャージャーのほか、4連式バッテリチャージャーなどがオプションで用意されている。


看護業務の効率アップのための各種デバイス

看護業務の効率アップのための各種デバイス
 これ以外にも、TOUGHBOOK CF-H1には看護業務を効率化するさまざまな仕掛けが存在する。まずは、院内のさまざまな場所からデータにアクセスできるよう、無線LAN・Bluetoothなど多彩なワイヤレス規格に対応した。院内の外へ訪問診断を行う時などに有効なワイヤレスWANモデル・GPSモデルなども用意されているという。

 さらに患者への薬剤や処方せんのチェックを確実にするため、バーコードリーダーやRFIDリーダーも搭載。患者の手首に巻いたバーコードや、薬剤自体に取り付けたRFIDなどを読み取ることが可能で、これにより米国の検証では投薬ミスが30%減少したという。

 そのほか、患部などを撮影し、その場でデータの記録や保存が可能な「オートフォーカスカメラ」や、端末の不正利用を防止する「指紋認証センサー」「非接触スマートカードリーダー」なども備えている。

 主なスペックは、Atom Z540、1GBメモリ、80GB SATA HDD、XGA(1024×768ドット)表示可能な10.4型TFTカラー液晶などで、価格はおよそ26万円程度となる見込み。年産台数は37万台を予定。


患者の手首のバーコードを読み取ることで薬剤や処方せんのチェックが可能 RFIDで薬剤を管理 RFIDリーダーで薬剤情報を読み取ることで投薬ミスを防げる


URL
  パナソニック株式会社
  http://panasonic.co.jp/index3.html
  プレスリリース
  http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn081106-1/jn081106-1.html
  http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn081106-2/jn081106-2.html


( 川島 弘之 )
2008/11/06 18:28

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