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日本オラクル、DWH処理を劇的に向上させる「HP Oracle Database Machine」


HP Oracle Database Machine

HP Oracle Database MachineのストレージサーバーであるHP Oracle Exadata Storage Serverの仕組み

日本オラクルの代表執行役社長、遠藤隆雄氏
 日本オラクル株式会社は1月20日、高速データウェアハウス(DWH)システム「HP Oracle Database Machine」を国内で販売開始すると発表した。大量のデータを効率よく処理できる機能を盛り込んでいるため、DWHの検索処理やバッチ処理性能を10倍以上高速化できるという。また、このコンポーネントであるストレージサーバー「HP Oracle Exadata Storage Server」も提供を開始する。

 HP Oracle Database Machineは、DWH処理を効率的に行うためのアプライアンス製品。従来のデータベースシステムでは、データをストレージから引っ張り出してサーバーのメモリ上に展開し、その後で処理を行うするというアーキテクチャを採用しているが、これでは大量のデータ検索を行う場合、ストレージとデータベースサーバーをつなぐネットワーク部分がボトルネックになり、処理速度が極端に落ちてしまう。そのため通常は、インデックスを利用する索引検索をメインに利用するようにシステム設計がなされるものの、どうしても全件検索のように、大きな負荷をかける作業は発生してしまう。

 そこでHP Oracle Database Machineは、あらかじめストレージサーバー側で並列処理を実行して該当する部分を素早く絞り込んだ上で、それだけをデータベースサーバー側へ呼び出す新しいアーキテクチャを採用。また、ネットワークにもEthernetではなくInfiniBandを利用することで、極力ボトルネックをなくしており、10~100倍の性能向上を実現したという。

 このような、素早くデータを見つけ出し、必要な部分のみをデータベースサーバーへ持ってくるという仕組みは、競合ベンダーのデータベースアプライアンスでもすでに実現されている。しかし日本オラクルの代表執行役社長、遠藤隆雄氏は「(HP Oracle Database Machineが)オープンかつスタンダードである」ことを、最大の特徴として強調する。同製品のハードウェア部分は、米Oracleが米HPの協力のもとに作り上げたもので、一般的なIA製品がベースになっている。そのため、「性能向上に従って、お客さまに価値を提供できる強みがある。実際に今日は、米国発表時の1.5倍の容量が同じ価格で提供できる」(遠藤社長)というのだ。

 また、日本オラクル 執行役員常務 システム事業統括本部長の三澤智光氏は、ハードウェアとソフトウェアを分離したビジネスモデルになっている点も、競合ベンダーと異なる点だとする。「DWHアプライアンスは一度入れて終わりではなく、ずっと使い続ける重要な仕組みになっているが、競合製品では、ソフトウェアとハードウェアがバンドルされているので、買い替え時に大きなコストが発生する。しかし当社では、保守料金さえお支払いいただいていれば、買い替え時に、ソフトウェア部分の再購入は不要になっている」(三澤氏)。


競合アプライアンス製品とのコスト面での違い 日本オラクル 執行役員常務 システム事業統括本部長の三澤智光氏

アプリケーションからOracle Database 11gとまったく同様に見えるため、トータルのコストに大きな違いが出るという
 加えてHP Oracle Database Machineは、アプリケーションからOracle Database 11gとまったく同様に見えるという特徴がある。そのためツールや開発言語を問わず、そのまま既存のアプリケーションは利用できるほか、スキルや運用ノウハウもそのまま利用可能。ほかのシステムとの連携についてもそのままの手法を継続できることから、「システムの総コストに大きな違いが出る」(三澤氏)としている。

 HP Oracle Database Machineの価格は、データベースサーバーとして日本HPのx86サーバー「HP ProLiant DL360 G5」×8、ストレージサーバーとしてHP Oracle Exadata Storage Server×14を含む構成で7418万4810円から。この価格には、InfiniBandスイッチ×4、Gigabit Ethernetスイッチ×1、ハードウェア設置作業、Oracle Databaseインストール・設定作業、保守費用なども含んでいる。実際に使用可能な論理容量は、SASの場合で約21TB、SATAの場合で約54TB。また、「Oracle Exadata Storage Server」のソフトウェアライセンス料金が、HDD1台あたり114万1350円かかる。

 この構成以外に、小さな環境でも利用したいというニーズに応えて、HP Oracle Exadata Storage Serverは単体でも発売される。1つの筐体内にはクアッドコアIAプロセッサ×2と、SASもしくはSATA HDD×12を搭載し、273万9135円から。

 日本オラクルではこれらの製品を、大規模なDWH環境を運用したい顧客はもちろん、バッチ処理の性能に問題を抱えている企業を対象にも販売したい考え。特に後者については、「日本市場を考えた場合、アプリケーションのデザインがバッチベースでされているところもまだまだ多く、すでに競合のDWHアプライアンスを導入して大規模にやっているところもある。こうしたところのリプレースも狙いたい」(三澤氏)とのこと。DWH環境も含め、既存アプライアンス製品からの置き換えも積極的に狙っていく意向を示した。

 いずれにしても、日本オラクル1社だけではDWHビジネスをカバーすることは難しいことから、システムインテグレータとのアライアンスを実施する予定で、「当社が素材を提供し、トータルのビジネスをパートナーが推進する」(三澤氏)分業体制で市場に臨むという。同社では5~10社程度との提携を検討している。


HP Oracle Database Machineをバックに握手する、日本HPの小出伸一社長(左)と日本オラクルの遠藤隆雄社長(右)
 なお製品発表の場には、ハードウェアを提供する日本HPの代表取締役 社長執行役員、小出伸一氏も臨席。「厳しい経済環境の中で、企業は経営のスピードを求められているが、一方で大量のデータを処理できずに苦慮されている。そういう中で今回の製品は、スピードと効率性という課題を解決できるソリューションだ。SIパートナーにも積極的に使ってもらいたいし、そのための支援を2社でしていく」と述べ、期待を表明している。



URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/
  ニュースリリース
  http://www.oracle.co.jp/news_owa/NEWS/news.news_detail?p_news_code=1962


( 石井 一志 )
2009/01/20 14:51

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