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薄さ・強さと細かい気配りがウリの法人向け「VAIO type G」新機種


VGN-G3

キーボード・ディスプレイ面
 ソニー株式会社は1月27日、ビジネスモバイルPC「VAIO type G」の第3世代となる「VGN-G3」を発表した。価格はオープンだが、標準仕様モデルの市場推定価格が20万円前後。2月7日から順次発売する。

 VAIOといえばコンシューマに強いイメージがあるが、ソニーは企業の声を反映させたというtype Gを2006年に発売し、法人向けVAIOのビジネス戦略も着々と進めている。VGN-G3は同戦略をさらに強化する製品。「ビジネスパーソンのストレスフリーを実現する」というコンセプトの下、業務により最適な仕様を採用している。特徴は「モバイル&ハイパフォーマンス&堅牢性」「ビジネスの効率を上げる多彩な機能」「ビジネスにフィットするデザイン」の大きく3点。

 まずモバイル性およびデザイン性として、常に持ち歩いてもストレスにならない最軽量898gを実現。光学ドライブとバッテリーパックを搭載しても1198gの重さに抑えた。薄さは25.2mm。ほとんど凹凸のないスリムな筐体に仕上がっているため、雑誌のようにすっきりとかばんに収納可能だ。そのスリムさを崩さないよう、バッテリもSサイズ、Lサイズで同じ形状を採用。最大13時間の駆動を実現するLサイズバッテリでも、装着時に出っ張らないようにしている。

 「デザインはあえてVGN-G1/VGN-G2のイメージとレイアウトを継承した」(同社)とのことで、天面を閉じた状態で新旧機種を並べてみても、ぱっと見ではどちらが新モデルなのか分からないほどだ。企業ではデザインががらっと変わってしまうと不公平感が生まれることに対しての策で、「(見た目が変わらないので)第一印象で何の反応も返ってこないのは狙いどおり」と説明している。

 ハイパフォーマンス性では、Centrino 2 vProに対応。Core 2 Duo SU9400(1.40GHz)を採用するとともにDDR3のメモリを採用し、HDDも4200rpmから5400rpmのものに変更して処理性能を向上している。同時に放熱性や静音性も高めており、前機種と比べて5~12dBほど静かになったという。


ハードコーティング液晶
 堅牢性は1つの特筆点で、さまざまな強化を図り、かつさまざまな品質試験をクリアしている。まず、天面をカーボンファイバーの6層構造とすることで、従来機種より約1.5倍の強度を実現。天面の四隅には、強化されたボス部品と耐筐体破損部品を追加することで、薄さと強度を両立させている。データを保護するためには、HDDへの振動を吸収する強化ラバーを取り付けるなど工夫を凝らし、また、ディスプレイには鉛筆で強くこすっても傷が付きにくい「ハードコーティング液晶」を採用している。

 品質試験としては、落下試験(非動作時・動作時)、衝撃試験、150kgfの平面加圧振動試験、一点加圧試験、200ccの水による防滴試験、ディスプレイ開閉試験、本体ひねり試験、光学ドライブ開閉試験、ガラス直押し試験などを実施。さらに新たな試験として、多面落下試験も行った。これはPCを閉じた状態で、40cmの高さから天面(1面)・底面(1面)・側面(4面)・角(8点)・稜線(12本)の26面から落下させるというもの。こうした高水準の試験をクリアすることで、ソニーは「他社と比べてもNo.1といえる堅牢性を実現した」と自信をのぞかせている。


 次にビジネス効率を上げる機能としては、まず、Windows XP Professionalダウングレード代行インストールサービスを用意。ユーザー自身でダウングレードする手間を省いた。ストレージには2.5型および1.8型のSATA HDDのほか、最大256GB(128GB×2)のSSDを選択できるようにした。HDDとSSDは排他的でどちらかしか搭載できないが、DVDスーパーマルチドライブありなしでHDDのみ、SSDのみなど、目的に応じた全14パターンの中から構成を選択できるようになっている。

 HDDやSSDを簡単な手順で取り外しできるのも特徴。「HDD CRU(Customer Repairable Unit)」という機構によるもので、ユーザー自身でHDDを交換可能なほか、修理に出す際にHDDを取り外すことで機密データを社外に出さずに済む。

 そのほか、企業アプリケーションでは4:3の画面に最適化したものが多いことへの配慮から、12.1型スクエア(4:3)ノングレア液晶を採用。インターフェイスもデータ通信カードのなどの既存資産を継続できるようにPCカードスロットを搭載し、USBスロットを2個から3個に増やした。モデム用モジュラージャックなども搭載している。一方でメモリスティックやSDカードのスロットは、セキュリティ上の理由から非搭載を選べる。

 また、ノートPCならではのちょっとした面倒くささを軽減するため、可変トルクヒンジの採用で、そっと指で支えるだけで天面の開閉がスムーズに行えるようになっている。

 ソフトウェア面でも、業務効率を向上する工夫が凝らされた。IT管理者がBIOSレベルでクライアントPCの設定をコントロールできるほか、VGN-G2でも搭載されていた「USBアクセス制限設定」「TPMセキュリティチップ」「指紋センサー」「いたわり充電モード」「VAIO省電力設定」などを継承。省電力に関しては、新たに「自動輝度設定」が追加されており、キーボードの左上に照度センサーが使用環境の明るさに合わせた輝度に自動調節してくれる。これにより、バッテリが26%長持ちするという。

 これ以外にも例えば、小脇に抱えて持ち運びやすいようにバッテリに指を引っかけられるくぼみが設けられていたり、指紋センサーの読み取りを高精度にするためにわずかに位置をずらしてあったりと、ユーザーの声を的確に反映。かゆいところに手が届く、細やかな変更が加えられている。

 店頭販売モデルのスペックは、Core 2 Duo SU9300、モバイルインテルGS45 Expressチップセット、2GBメモリ、120GB SATA HDD、インテルGMA 4500MHD、DVDスーパーマルチドライブ、Bluetooth、FeliCa、Office Personal 2007などで、市場推定価格が20万円前後。オーナーメイドにて、Core 2 Duo SU9400/Celeron 723(超低電圧版)、メモリ最大4GBなどが選択可能。発売予定日は2月7日。そのほかのモデルも順次発売する。

 なお、VAIO法人向けモデルの強化のため、「すべてはビジネスのために。VAIO BUSINESS」というブランドとキャッチコピーを打ち出したソニーだが、さらに法人向けに専門の技術・サポート部門を組織化するなど、法人向けビジネスをさらに加速していく意向だ。



URL
  ソニー株式会社
  http://www.sony.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200901/09-0127/


( 川島 弘之 )
2009/01/27 14:03

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