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日本HP、重複排除機能を利用可能な仮想テープライブラリ

災害対策ソリューションを拡充、中堅以下への訴求を図る

HP StorageWorks VLS9000

HP StorageWorks D2D4112 Backup System
 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は3月5日、仮想テープライブラリ製品のラインアップを拡充すると発表した。ミッドレンジ向け「HP StorageWorks VLS9000(以下、VLS9000)」、「HP StorageWorks D2D4112 Backup System(以下、D2D4112)」を新たに製品化。これらの製品を利用した災害対策(ディザスタリカバリ)ソリューションも用意する。

 仮想テープライブラリとは、ディスクストレージでありながらテープライブラリのように運用できるストレージ製品。テープライブラリの運用を大きく変更せずに導入できることから、近年では導入されるケースが増えてきている。これまで日本HPでも「VLSシリーズ」「D2Dシリーズ」において製品を提供してきたが、穴になっている領域があったとのことで、今回のリリースによりその穴を埋め、同分野でより広く展開するという。

 新製品のうちVLS9000は、シングルノード7.5TBからの導入が可能で、最大8ノード、論理容量1280TB(2:1圧縮時)までの拡張に対応する。バックアップ速度も最大4800MB/秒(8ノード時)と高速で、仮想ライブラリ数は最大128(1ノードあたり16)、仮想ドライブ数は最大1024(同128)まで対応可能。またオプションでデータ重複排除機能も追加でき、論理容量の50倍以上のバックアップデータを格納できるとした。

 一方のD2D4112は、最大18TBまでの拡張を行える仮想テープライブラリ。最大90MB/秒のバックアップ速度を持ち、最大24台のサーバーから同時にバックアップすることができる。重複排除機能は、これまでのD2Dシリーズと同様に標準で搭載しており、こちらも50倍以上のバックアップデータを格納可能だ。日本HPでは、主にパートナー経由で中堅・中小企業への販売を見込んでいる。


エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ストレージワークスビジネス本部の富岡徹郎本部長

VLS 低帯域レプリケーションの概要

ストレージワークスビジネス本部 プロダクトマーケティング部の担当マネージャ、宮坂美樹氏
 これらの製品は単体で利用することももちろん可能だが、災害対策を考慮したバックアップ/リカバリシステム構築を行うケースが日本でも増えていることから、日本HPでは、仮想テープライブラリを用いた災害対策ソリューションにも力を入れている。

 エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ストレージワークスビジネス本部の富岡徹郎本部長は、「重要なデータがなくなったときにもたらされる損害は非常に大きい。大切なデータを選択して効率よく保存し、何か起きたときに、どのくらいの時点までどのくらいのスピードで戻すか、といった手順を決めておくことが、事業継続、災害対策における1つのポイントだ」という点を指摘。今回、リアルタイムレプリケーションに比べて、復旧に時間を要し、巻き戻される地点も遠くなる代わりに、安価に導入できる「遠隔データバックアップ」ソリューションを、災害対策の入り口として、仮想テープライブラリで利用できるようにしたと説明する。

 この「VLS 低帯域レプリケーション」は、仮想テープライブラリにバックアップしたデータを重複排除技術と圧縮によって小さくし、WAN回線経由でリモートサイトへ転送する仕組み。重複排除がなされることで転送データが少なくなることから、用意する回線が従来のレプリケーションよりも細い帯域で済み、結果として運用コストの削減につながるという。ストレージワークスビジネス本部 プロダクトマーケティング部の担当マネージャ、宮坂美樹氏は、「仮想テープライブラリ側に復旧できるデータをたくさん持てると同時に、遠隔のレプリケーションもできる。テープで保管先に毎回運んでいたユーザーは、セキュリティや紛失のリスクなどもあり、かなり苦労されていたようだ。そうした運用と比べて効率向上が期待できる」と述べ、仮想テープライブラリによる災害対策のメリットを説明した。

 新製品の価格は、VLS9000本体が1134万円から、同製品向けの「Capacity Module」が2205万円から、D2D4112が483万円。また遠隔データバックアップに必要な低帯域レプリケーションライセンスは、VLS9000向けが336万円、D2D4112向けが168万円で、VLS9000のみ重複排除機能ライセンスが別途必要になる。

 「災害対策は今まで、かなり大きな企業で導入されていたが、中堅・中小企業でもニーズが高まっているし、大規模であっても、まずは仮想テープライブラリから始めてみようという声もある。予算が凍結されていても、増えるデータをほうっておくわけにはいかない、こうした状況に対応できる安価なソリューションが提供できた」(宮坂氏)。



URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/
  ニュースリリース
  http://h50146.www5.hp.com/info/newsroom/pr/fy2009/fy09-066.html

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( 石井 一志 )
2009/03/05 15:23

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