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日本HPのストレージワークスビジネス本部 プロダクトマーケティング部 担当マネージャーの諏訪英一郎氏
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DC04はサーバー統合やストレージ統合などに利用できるという
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ダイレクタならではの拡張性を生かし、ディザスタリカバリやセキュリティ用途などにも容易に拡張できるという
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日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は3月11日、ダイレクタ(大型SANスイッチ)「HP StorageWorks DC04 SAN Director」(以下、DC04)を発表した。またセキュリティを強化する暗号化スイッチ「HP StorageWorks Encryption SAN Switch」(以下、Encryption SAN Switch)と、暗号鍵管理アプライアンス「HP StorageWorks Secure Key Manager」(以下、Secure Key Manager)も同時に発表している。いずれも出荷開始は4月上旬の予定。
新製品のうちDC04は、ストレージ環境の統合に利用可能なダイレクタ。同社のハイエンド製品「HP StorageWorks DC SAN Backbone Director」の機能を受け継ぎながら、拡張スロット数を半分に抑えることで低価格での提供を実現している。最大ポート数は1筐体あたり192で、最大2筐体を連結させ、あたかも1つのダイレクタであるかのように利用可能。1/2/4/8Gbps FC(ファイバチャネル)やバックボーン接続向けの10Gbps FC、Gigabit Ethernet(FCIP)などにも対応する。将来的にはFCoE(Fibre Channel over Ethernet)もサポートする予定で、さまざまなネットワークの混在が可能だ。
日本HPのストレージワークスビジネス本部 プロダクトマーケティング部 担当マネージャーの諏訪英一郎氏は「長期的なコスト削減のためには、サイロ化したITシステムの統合が求められるが、今の経済環境では、大きな器を用意して統合、という手法は厳しい」という点を指摘。今ある資産を有効活用しながら統合を実現するアプローチにおいて、DC04が有効に働くとした。
具体的な適用領域としては、中規模以上のSAN環境における、サーバー統合、そしてストレージ統合を想定する。サーバー統合では、ブレードサーバーやラック型サーバーを仮想化によって統合し、管理面でメリットのあるSANブート環境を導入する、といった利用が考えられるという。一方ストレージ統合では、既存ストレージを生かしてワークグループデータを統合するとともに、メール、ファイル、Webといった各サーバーのデータを統合することで、こちらも管理面での負荷を軽減できるとした。
このような用途は、既存のSANスイッチクラスでも十分可能に思えるが、諏訪氏は「ダイレクタクラスの製品を入れることで、その先につながってくる」と主張。「ダイレクタでは、ディザスタリカバリや暗号化といった次のステップへの拡張が可能だが、外付けのスイッチでは、システムの再構成が必要になる」と述べ、機能拡張が容易なダイレクタならではのメリットをアピールした。「ダイレクタはかなり大規模な企業やデータセンターでのみ使われていたが、DC04によってもう少し下のレンジから狙っていける」(諏訪氏)。
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SAN上のデータをまとめて暗号化し、一元的に管理することで、管理者の負荷を軽減できるという
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暗号化製品のEncryption SAN Switchは、SAN環境向けの暗号化機能を備えたスイッチ製品で、スタンドアロンのボックスタイプと、DC04を含むダイレクタ向けのブレードタイプが用意された。最大96Gbpsのハードウェア暗号化性能を備えており、最大64000エクスチェンジ(ディスク)と最大96セッション(テープ)を同時に処理できるという。暗号化方式はAES-256-XTS(ディスク)/GCM(テープ)を採用し、暗号鍵はSecure Key Managerで一元的に管理する。
このソリューションのメリットは、「デバイスに依存せず1つの方式で暗号化を一元管理できる点」(諏訪氏)。現在では暗号化機能を持ったHDDやテープ装置なども登場しているが、個々に管理を行う場合、データ量が増えるに従って管理者の負担も大きくなってしまう。そこで日本HPでは、暗号鍵の管理を含めて一元的にストレージセキュリティを考えることで、管理者の負荷軽減を図るのだという。なお、Secure Key Managerはクラスタ構成が必須で、さらにリモートへ暗号鍵をバックアップすることにより、三重に保護するとのこと。
価格はDC04が630万円から、Encryption SAN Switchが189万円から、Secure Key Managerが420万円から。Secure Key Managerを除く2製品は、ブロケードのOEM製品である。
■ URL
日本ヒューレット・パッカード株式会社
http://www.hp.com/jp/
ニュースリリース
http://h50146.www5.hp.com/info/newsroom/pr/fy2009/fy09-068.html
( 石井 一志 )
2009/03/11 14:25
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