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理事 システムx事業部長の諸富健二氏
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BladeCenter HS22
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System x3650 M2
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日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は3月31日、最新のXeonを搭載したラック型サーバー2製品、サーバーブレードなどを発表した。
いずれも、米Intelが米国で発表したばかりのXeon 5500番台(開発コード名:Nehalem-EP)を搭載する点が最大の特徴。理事 システムx事業部長の諸富健二氏は、「Nehalem-EPでは、メモリコントローラを内部に組み込むことでFSBの呪縛(じゅばく)から解き放たれ、メモリアクセススピードが上がった。おおよそ、整数演算で1.5倍、浮動小数点演算で2倍、システムで重要なJavaでも190%の性能向上を実現している」と新CPUの性能を強調する。
Xeon 5500番台を搭載する新製品のうち、サーバーブレード「BladeCenter HS22」は、2基のCPUとホットスワップ可能なHDD/SSDを搭載可能な製品。新CPUを採用したのみならず、仮想化環境においては搭載メモリ容量が重要になることから、ブレード1台あたりのメモリ容量を従来の3倍となる最大96GB(12スロット)、シャーシあたりでは最大1.3TBまで拡張できるようにしている。また、内部USBポートに装着したUSBメモリから仮想化OSをブートすることも可能なほか、I/O性能が強化されており、PCI Express x16/x8を1スロットずつ備えた。筐体(シャーシ)については、「ブレードで一番大切なのは顧客資産を守るための後方互換性」(諸富氏)との立場から、日本IBMが最初に投入した「BladeCenter E」以降、すべてのシャーシで利用できる互換性を確保した。
対象としては、仮想化環境やHPC、ラック型の置き換えなどを想定しており、同社では「BladeCenterバリュー・パートナー・プログラム」参加の49社に対し、先行技術情報を提供。3月31日より販売を開始できる体制を整備したという。一般のビジネスパートナーに対しても、セミナーを4月8日より展開。「この経済環境でコスト削減が検討されているが、キャッシュフローをよくするには特にサーバー統合が有効だ。x86サーバーの仮想化統合基盤、またクライアントPCの統合基盤として訴求を図っていく」(諸富氏)とした。価格は28万1400円から。
ラック型サーバーでは、1Uサイズ「System x3550 M2」と2Uサイズ「System x3650 M2」の、2つの2Wayサーバーを提供する。両製品とも、最大128GBのDDR3メモリの搭載を可能にしたほか、System x3550 M2で6基、System x3650 M2で12基と、従来より5割程度HDD/SSDの搭載数を増加させている。
また、最大92%(従来比12%向上)の高変換効率の電源ユニットを搭載したことに加え、新たな空冷デザインの採用で冷却効率を向上させた。諸富氏は「Intelの製品を搭載することは他社も同じだが、電源ユニット、ファンなどの機械的な部品を効率よく使う部分で大きく差別化できる。ファンの数を10から3へ減らし、高負荷時で最大63%の消費電力削減を実現している」と、その特徴を説明した。
価格は、System x3550 M2が40万9500円から、System x3650 M2が43万500円から。いずれも4月30日の出荷開始を予定する。
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冷却の最適化によって、消費電力を大幅に削減しているという
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従来製品(左)と新製品(右)を並べて見ると、冷却ファンの数など、構造の違いがよく分かる
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System x iDataPlex dx360 M2
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このほか、今回は高密度サーバー「System x iDataPlex」向けのマザーボードトレーについても、Xeon 5500番台搭載製品が提供される。iDataPlexは「ブレードがシャーシに最適化されたものなら、ラックに最適化されたサーバーというべきもの」(諸富氏)で、CPU、ストレージ、I/Oなどの構成バランスを、顧客のニーズにあわせて変更できる製品。マザーボードトレーはCPUやメモリを搭載するコンポーネントで、新製品「System x iDataPlex dx360 M2」によって、より高性能な新CPUの搭載が可能になった。構成価格例は、84ノード、ネットワークスイッチ、ラックなどを含めて9975万円。5月7日の出荷開始を予定している。
なお、これらの4製品はすべて、ファームウェアのインターフェイスにBIOSではなくUEFI(Unified Extensible Firmware Interface)を採用している点も特徴的である。日本IBMでは、従来ハードウェアで提供していた管理モジュールと同等の管理機能をUEFIに実装したため、新製品では管理モジュールを購入することなく、管理機能が利用できるという。さらに管理機能では、体系化されていなかった従来の製品群を「ToolsCenter」として8つのツールに体系化。仮想環境と物理環境を透過的に管理できる「IBM Systems Director 6.1」とあわせて新製品にバンドルしている。
さらに日本IBMでは、東京の箱崎事業所内に「System x 仮想化検証センター」を開設した。300台のサーバーやストレージを検証機材として用意したこの施設では、50名以上のITエンジニアが顧客の仮想化環境導入を支援するほか、検証結果をもとにホワイトペーパーの公開なども行っていくとのことである。
■ URL
日本アイ・ビー・エム株式会社
http://www.ibm.com/jp/
プレスリリース
http://www-06.ibm.com/jp/press/2009/03/3101.html
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( 石井 一志 )
2009/03/31 15:30
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