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インテルXeonプロセッサ5500番台
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Xeon 5500番台のチップとウエハーを手にする米Intel上席副社長 兼 デジタル・エンタープライズ事業本部長のパット・ゲルシンガー氏
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インテル株式会社は4月6日、Nehalemアーキテクチャを採用したサーバー・ワークステーション向けプロセッサ「インテルXeonプロセッサ5500番台(以下、Xeon 5500番台)」を発表した。
今回発表されたXeon 5500番台は、開発コード名「Nehalem-EP」と呼ばれていた2Wayシステム向けのプロセッサ。Xeon 5400番台と比べて、メモリ帯域幅を3倍にするなど、処理能力を大幅に向上。また、アイドル時とピーク時の消費電力を低減することで、システムレベルでの消費電力性能を向上させている。そのほか、仮想マシンの実装数や仮想マシンのレスポンスタイムなど、仮想化性能の向上も行われている。
米Intel上席副社長 兼 デジタル・エンタープライズ事業本部長のパット・ゲルシンガー氏は、「Xeon 5500番台は、1995年に発表したPentium Pro以来の革新的なサーバー向けプロセッサ」と紹介。「Pentium Proは、x86プロセッサとしてもっとも高性能なプロセッサとしてサーバー市場に投入した。当時は、企業内のファイルサーバーやプリンタサーバーとしての用途がほとんどだったが、現在では基幹業務を含めて80%以上のサーバーがx86サーバーになった。また、インターネットの基盤として利用されるなど、量産型サーバーの確立に貢献した」と、Pentium Proがサーバーそのものの変革につながったプロセッサであったと述べた。
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Xeon 5500番台の特長
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今回発表したXeon 5500番台は、サーバーの革新につながるプロセッサであるとし、Pentium Pro以来のもっとも重要な製品であるとゲルシンガー氏は強調した。「Xeon 5500番台は、45nmプロセスHigh-k技術で製造されたクアッドコアプロセッサ。高性能化といったコアの技術はもちろん、新しいメモリサブシステムやQuickPathテクノロジー、インテリジェントパワーテクノロジー、新しいI/Oサブシステムなどアンコアの技術でも大幅な改良を実現している。また、新プラットフォームは将来の32nmプロセス製品にも対応できるよう余裕を持たせた設計となっているので、今後発表になる6コアプロセッサなどへのスケールアップも可能」と、投資効果の高い製品であるとした。
ゲルシンガー氏が特に気に入っているテクノロジーがターボブーストテクノロジー。これはオーバークロック技術をプロセッサに搭載したもので、利用状況に応じて定格周波数以上でプロセッサを動作させたり、省電力モードで動作させる技術。これにより、4つのコアの周波数を高めて使ったり、2つのコアをオフにしながら、残りのコアの周波数を高めて使ったりといった柔軟な使い方が可能になっている。
パフォーマンスについては、「Xeon 5400番台と比べると、パフォーマンスで2倍近くまで向上しながらも、アイドル時の消費電力はプラットフォームあたりで50%近く減少している。これは、RISCプロセッサを含めた2Wayサーバー全体でみても記録的な性能」(ゲルシンガー氏)と、高性能かつ低消費電力のプロセッサに仕上がっていると紹介。「仮想化性能も、VMwareのベンチマークでは最大160%の性能向上を実現」したと述べ、仮想環境にも最適なプロセッサであると述べた。
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3チャネルのメモリサブシステムやQuickPathテクノロジーなど、最新のプラットフォームテクノロジーに対応
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利用状況に応じてパフォーマンスと電力効率をインテリジェントに提供するターボブーストテクノロジー
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システム全体で仮想化性能も大幅に向上
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1000個受注時の価格は、Xeon W5580(3.20GHz、TDP 130W、QPI 6.4GT/s)が15万5770円、Xeon X5570(2.93GHz、TDP 95W、QPI 6.4GT/s)が13万4930円、Xeon X5560(2.80GHz、TDP 95W、QPI 6.4GT/s)が11万4100円、Xeon X5550(2.66GHz、TDP 95W、QPI 6.4GT/s)が9万3270円、Xeon E5540(2.53GHz、TDP 80W、QPI 5.86GT/s)が7万2430円、Xeon E5530(2.40GHz、TDP 80W、QPI 5.86GT/s)が5万1600円、Xeon E5520(2.26GHz、TDP 80W、QPI 5.86GT/s)が3万6310円、Xeon L5520(2.26GHz、TDP 60W、QPI 5.86GT/s)が5万1600円、Xeon E5506(2.13GHz、TDP 80W、QPI 4.8GT/s)が2万5900円、Xeon L5506(2.13GHz、TDP 60W、QPI 4.8GT/s)が4万1180円、Xeon E5504(2.00GHz、TDP 80W、QPI 4.8GT/s)が2万1810円、Xeon E5502(デュアルコア、1.86GHz、TDP 80W、QPI 4.8GT/s)が1万8300円。
発表会では、既存サーバーからXeon 5500番台搭載サーバーに更新するメリットも紹介。「2004年から2006年にかけて出荷されたサーバーの多くがシングルコア・デュアルコアのサーバー。たとえば、2005年に購入したシングルコアXeonサーバー184台をすべてXeon 5500番台のサーバーに置き換えると、パフォーマンスで最大9倍になりながらも、消費電力では年間18%削減可能。また、仮想化技術でサーバー統合を行った場合、シングルコアXeonサーバー184台をXeon 5500番台搭載サーバー21台にまで集約することができる。今場合、8カ月で投資回収できるだけでなく、年間の電力コストを92%も削減できる」(ゲルシンガー氏)と、厳しい経済状況にありながらも、最新サーバーに更新するメリットを強調した。
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新規サーバーへ更新するメリットを紹介
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RISCサーバーとのコスト&パフォーマンス比較も
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代表取締役社長の吉田和正氏
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インテル代表取締役社長の吉田和正氏は、「厳しい経済状況ではあるが、企業は変革を行わなければならない。今回発表したXeon 5500番台を採用することで、高性能・低消費電力・仮想化対応といった付加価値を享受できる。特に、今回ベンチマークでも大きな差が出ているので、正しく性能を評価していただければスムーズな移行は進むのではないかと期待している。また、グリーンITは国内の企業にとっても大きなメッセージになるので、グリーンITの観点から各ベンダーとともに動かしていきたい」と意気込みを語った。
■ URL
インテル株式会社
http://www.intel.co.jp/
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・ 米Intel、Nehalemアーキテクチャを採用した「Xeon 5500番台」(2009/03/31)
( 福浦 一広 )
2009/04/06 15:18
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